「ノーザン・パワーハウス(Northern Powerhouse)」は、産業界や政策に関係する分野(学会やメディアなど)では良く知られた英国政府の政策であり、EU離脱決定を受けて政府が今後、ロンドンのみならず英国全土への投資誘致を強化するにあたり、重要性を増すと思われる。その一方で、世論調査会社イプソス・モリによる2016年の調査では、イングランド北部に住む成人の半分がこの言葉を聞いたことがないとの結果も出ている[1]。ノーザン・パワーハウスは、幾つかの要素(異なる政策、資金源、優先事項等)及び行政組織(後述する合同行政機構など)で構成されており、「全ての人のために機能する」経済を実現するというテリーザ・メイ保守党政権の試みにおける要の部分であり続けている。 続きを読む
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英国で「全国生活賃金」が導入 ~ 「高賃金、低負担、低福祉」の社会への移行目指す
2016年05月28日 産業・経済, 福祉・2016年4月1日、「全国生活賃金」が導入された。今年度は1時間あたり7.20ポンドに設定された。
・英国では既に1999年に法定最低賃金が導入されている。全国生活賃金は実質的に、25歳以上の被雇用者を対象とする法定最低賃金に新たな名称を与えたものである。
・今回、全国生活賃金が導入される以前から、英国では、「働く人が十分な生活水準を維持するために必要とする賃金」を意味する「生活賃金」という概念が存在し、一部の雇用者によって採用されている。
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ノーザン・パワーハウスの中の日本: イングランド北東部ストックトン・オン・ティーズ市 ~ 英国の地方自治体による投資・ビジネス誘致のケース・スタディ
2016年04月28日 ノーザン・パワーハウス, 産業・経済ストックトン・オン・ティーズ市(Stockton-on-Tees Borough Council)は、イングランド北東部に位置するユニタリー(unitary、一層制の地方自治体)である。イングランド北東部は、サンダーランド市の日産やゲーツヘッド市の小松製作所など日系企業の拠点となっていることで知られており、ストックトン・オン・ティーズ市でも、幾つかの日系企業が事業を展開している。ストックトン・オン・ティーズ市は、同市に投資している日系企業の長年にわたる成功、そしてそれら企業と築き上げてきた強固な関係を背景に、日本からさらなる投資を誘致し、日本の産業界との繋がりをより一層発展させたいと望んでいる。
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ヨーロッパにおける「ベイシック・インカム」(1)オランダ ユトレヒト市
2016年02月28日 産業・経済欧州では、いわゆる「ベーシック・インカム」(最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想)が最近注目を集めている。
2015年には、フィンランドが国家レベルで「ベーシック・インカム」の導入を検討していること、またはオランダ第4都市ユトレヒト市とその周辺の地方自治体も2016年から、「ベイシック・インカム」を実験的に導入する準備を行っていることが明らかになった。
このレポートでは、2回に分けて、今回はオランダのユトレヒト市とその周辺地方自治体、次回はフィンランドにおける「ベーシック・インカム」を巡る動向について紹介する。
英国政府によるMICE産業支援の戦略について ~ 官民のメンバーで構成される「ビジネス関連訪問・イベント委員会」の設置など
2015年12月28日 産業・経済・文化・メディア・スポーツ省は、2015年3月、英国のMICE産業の支援を目的とする戦略文書を発表した。
・政府によると、同戦略は、既に政府の個々の省や英国貿易投資庁(UKTI)などが行っているMICE支援を土台としながら、より連携の取れた、的を絞ったMICE支援の方法を打ち出すものである。
・同戦略では、官民のメンバーで構成される「ビジネス関連訪問・イベント委員会」が、英国にとって最も戦略的重要性が高いMICEを特定し、それらの誘致に向けて政府が取るべき措置を提案するなどの計画が掲げられている。
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「2015 年支出見直し」について(その2) ~ 財政赤字解消目指し、公共支出削減を継続 ~ 地方自治体への政府補助金はまたも大幅減
2015年12月28日 産業・経済・2015年11月、「2015年支出見直し・秋季財政報告書」が発表された。財政赤字解消を目的とする公共支出削減の方針に沿って、大半の省の支出が削減された。イングランドの地方自治体への政府補助金も、連立政権下に続き、さらに大きく削減された。
・その他にも、ビジネスレイト及びカウンシルタックスに関する地方財政制度の大きな変更のほか、地方自治体の効率性向上や地域の経済成長支援を目的とする施策などが盛り込まれた。
・イングランドの地方自治体の代表団体である「地方自治体協議会」の議長は、今回の「支出見直し」を受けて声明を発表し、政府補助金の度重なる削減で地方財政が大きな打撃を受けている事実を訴えた。
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田園地域の生産性向上と経済成長促進を目的とする政府の10カ条計画について ~ 企業支援、住宅供給、職業訓練の拡大など多岐にわたる計画
2015年11月28日 産業・経済・政府は、2015年8月、イングランドの田園地域の生産性向上と経済成長促進を目的とする10カ条計画を発表した。
・政府は、10カ条計画で、英国経済は速いスピードで成長を遂げているものの、生産性が低いという問題を抱えていることを指摘し、生産性向上が優先課題であると述べた。
・10カ条計画は、高速ブロードバンドの普及、職業訓練プログラムの拡大、規制緩和などの企業支援、住宅供給、地域への権限移譲など多岐にわたり、田園地域の生産性向上を図る施策が挙げられている。
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働く人に、「十分で、人間らしい」生活水準を確保する「生活賃金」とは ~ 英国ではロンドンの地域政府が導入の先駆け
2014年05月28日 ロンドン, 産業・経済, 福祉「生活賃金(Living Wage)」とは、衣食住を賄うことができ、十分な生活水準を維持するために必要な賃金の額である。国が定める法定最低賃金(National Minimum Wage)と異なり、雇用者に遵守義務はないが、英国では、ロンドン及びロンドン外の地域の生活賃金が、雇用者へのガイドラインとして、それぞれ毎年発表されている。
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ヘルシンキ市がフィンランドの食文化を発信
2011年11月01日 フィンランドの地方自治情報メモ, 産業・経済ヘルシンキ市は「2009年-2012年戦略プログラム」で、ヘルシンキをフィンランドの食文化の中心とすることを目指している。
同プログラムの目標は、食品業界の環境への影響を小さくすることとヘルシンキをヨーロッパで美食を楽しむことができる都市として、ますます魅力的な街にすることである。市は、既存のヘルシンキ食品卸売市場を個人客やレストランへの卸売を強化することで、ヘルシンキの食文化の中心にすることを進めている。ヘルシンキ食品卸売市場の再開発は、カラサタマ地区(ヘルシンキの湾岸地域で、住宅やオフィス等の開発が進められている地域)の開発の一環でもある。
アクションプランでは、デイケアセンターにおいて2015年までに有機食品の利用を50%にするなど、食品業界における有機食品の使用の増加、市民菜園を増やすことで市内での食物栽培を促進すること、食品廃棄物のリサイクルや堆肥化を進めることで食品産業由来の温室効果ガスの削減を目指している。
【出典】ヘルシンキ市のウェブサイト(2011年10月26日付)
http://www.hel.fi/wps/portal/Helsinki_en/Artikkeli?WCM_GLOBAL_CONTEXT=/Helsinki/en/news/helsinki+promotes+culinary+culture
ヘルシンキにおける観光統計(2010年)
2010年12月15日 フィンランドの地方自治情報メモ, 産業・経済 2010年のヘルシンキにおける観光の状況は2008年に実施された前回調査時よりも好況の見込みである。
ヘルシンキでの観光客の宿泊日数は2010年1月から9月にかけて9%増加した。同期間のうち1月を除きすべての月で宿泊日数は増加した。フィンランドの国内旅行の目的地としてヘルシンキは人気が高く、2010年の第1四半期から第3四半期にかけてフィンランド国民のヘルシンキでの宿泊日数は15%増加した。外国人観光客のヘルシンキでの宿泊日数は5%の増加であった。
2010年においてフィンランド国内のすべての宿泊施設における宿泊日数は平均で3%増加した。フィンランド国内で宿泊日数が最も増加したのはヘルシンキで、同市における宿泊の約55%が外国人観光客によるものである。ヘルシンキにおける主要外国人観光客の国籍は、ロシア、ドイツ、イギリス、スウェーデン、アメリカと日本である。特に、外国人観光客の宿泊日数について、ロシアからの観光客は8%の増加、英国からの観光客は4%の増加、スウェーデンからの観光客は15%の増加、アメリカ及び日本からの観光客は10%の増加となったが、ドイツからの観光客は6%の減少となった。
その他の国では、ノルウェーからの観光客による宿泊日数は24%増加した。これは、主にヘルシンキ・オスロ間の格安航空会社の利用によるものである。この格安航空会社はヘルシンキ・ストックホルム間も運航しており、スウェーデンからの観光客数の増加に大きな影響を与えている。また、エストニアからの観光客による宿泊日数は47%と大幅に増加した。
ヨーロッパ主要都市観光状況調査によると、ヨーロッパ内の主要30都市における観光客の宿泊日数は平均で7%の増加であった。ヘルシンキにおける観光客の宿泊日数はこの平均値を上回っている。ヘルシンキは、日本人観光客の北欧における旅行目的地としては2006年以来1位であり、ロシア人観光客の旅行目的地としても常に上位を占めている。前述の調査結果によると、ロシア人はプラハ、ローマやウィーンよりもヘルシンキでの宿泊日数が長いとのことである。
【出典】ヘルシンキ市ホームページ(11月12日)
http://www.visithelsinki.fi/In_English/Media/Press_releases.iw3?showlocation=5dbd2240-e503-4078-81b4-46d338ea60ec&newsID=b9d50a77-8b83-4e66-9dd7-f47b27433694