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フィンランドにおける教育(続き)

2010年11月01日  ,

フィンランドにおける教育制度について紹介します。

3 フィンランドの教育目標
(1)平等性
・年齢、地域、性別、所得や言語に関係なく均等な教育機会を提供する。
・教育を無料で提供(私立を除く)する。
・国で策定された基本カリキュラムを基礎とした同質の教育を提供する。
(2) 柔軟性
・親が学校を自由に選択できる。
・義務教育課程で科目を選択できる。
・高等教育過程で生徒個人の目標ごとに学習計画を立てる。
(3) 自由度の高さ 
・Spirit of Trust(信頼性)を基にして、国レベルで基本カリキュラムを制定し、地方自治体が運用する。
・教育に係る国の監査を受けない。
・義務教育課程で全国テストを行い点数はつけるが、成績の順位をつけない。
・中等教育過程の最終学年で再度全国テストを行う。
(4) 生徒に対する支援
・学習到達度が低下しないように早い段階から生徒指導を行い、生徒の学習と環境を整える。
・生徒個人の学習計画を支援し、カウンセリングを行う。
・教員はレベルの高い資格を有している教育の専門家である(教員なるためには修士号が必要)。

4 教員資格と研修
・ 教員(すべての教育課程)になるためには修士号を取得しなければならない。
・ 教員資格取得は難しく、給与水準も高くないが、社会的な地位がとても高いため、教員志望者が多い。
・ 教員研修は中央教育委員会や地方公共団体が企画する。研修費用は原則国が負担する。研修内容としては、地域の大学で科目ごとの教授法セミナーなどがある。

5 問題点
・ 科目が細分化され科目数が多いため、科目ごとの授業時数が少なくなっている。
・ 一般的に楽手時間が少ないと考えられつつある(学校授業日の延長が必要では?)。
・ 学校評価が自己評価だけであるため、他者との比較が難しい。
・ 高齢化が進み、政府財政を逼迫しつつあるため、教育費の確保が難しくなる。
・ 移民の増加による社会構造の変化が教育環境を変えてしまう可能性がある。
・ ITを活用した授業の運用方法が難しい。
・ 生徒の読解力が男女間で差が出てきている(女子が男子よりも優れている。)
なお、上記のことについては、2014年の基本カリキュラム改訂の際の検討事項となっている。


フィンランドにおける教育

2010年09月15日  ,

フィンランドの教育制度について紹介します。
1 フィンランド教育一般
・ 2006年PISA(OECD加盟57カ国の学習到達度調査)で科学的リテラシー第1位(日本第5位)、数学的リテラシー第2位(日本第10位)、読解力第2位(日本第15位)
・ 公立であれば授業料は無料
・ 学校評価は学校独自で行うことが義務付けられている(他校との比較を基本的にはしない。)。
・ 国全体の教育に係る公的支出は国内総生産の5.9%(日本は3.5%)(2002年)
・ 移民が少ない(総人口の3.6%)。
(教育課程)
・ 早期教育は0歳から5歳までで、義務教育準備期の6歳を経て、義務教育は7歳から16歳までの9年間行われる。ただし義務教育履修者の3%は10年間の義務教育を受けることができる。義務教育課程の第7から9学年は前期中等教育課程に分類される。
・ 前期中等教育課程修了者の55%は一般後期中等教育課程に進学し、38%は後期中等教育職業訓練課程に進学をする。後期中等教育課程は単位制であるため、生徒は一般課程と職業訓練課程で学習と実習を組み合わせることが可能である。
・ 大学教育は理工科大学と総合大学に分類される。

2 教育に係る行政組織の役割
(1)教育省
教育行政の根幹部分(教育基本法や科目ごとの授業時数など)の調整を関係省庁や国会と行う。
(2)国家教育委員会
 教育省からは独立した機関ではあるが、下部組織的な役割を担う。教育省の決定事項に基づき、基本カリキュラム(学齢ごとの履修科目の具体的な内容の決定)の制定を行う。なお、現在は2004年に制定されたカリキュラムに基づき教育施策が実施されており、2014年に基本カリキュラムの改訂が予定されている。
また、国家教育委員会ではカリキュラムに基づいた教科書を作成する。教科書検閲は行われない(1990年代に検閲を行った時期があったが、必要性がないと判断され現在は実施していない。)。教科書作成会社は民間大手2社が引き受けている(寡占状態)。
(3)地方公共団体
  基本カリキュラムに基づき、地方公共団体の地域の特色を踏まえたカリキュラムを作成する。公立学校教員の採用は原則として学校単位で行う。また、学校間や親と学校での問題に必要に応じて対処する。(教育施策はほとんど学校に委ねられている)
(4)学校
  公立校の財源は国からの拠出金でまかなわれているが、その財源の使途の自由度はとても高い。テキストの選択は各教員(学年や教科担当者で相談して決定)にゆだねられている。


フィンランドの文化政策(一般情報)

2010年02月22日  ,

・フィンランドの文化政策全般は、教育省が担っている。主要な文化政策の取組みは、創造性の育成、アーティストの地位確立、地方の文化サービスのネットワーク構築、多文化主義、国際協力そして文化の輸出である。
・文化面は、公的資金と著作権補償制度によってサポートされている。文化面の第一の資金調達源は、教育省である。例えば2006年に文化・芸術に投入された予算は、合計360百万ユーロで、それらのほとんど(約85%)が、国の文化施設や地方自治体に配分されている。
・教育省の付託された権限は、国の文化施設全般にわたり、例えば、公的資金や補助金を受けた博物館・美術館や劇場、またオーケストラ、地方への文化供給、補助金を受けた組織や市民活動等にまで及んでいる。
・フィンランドにおける文化供給は豊富で、フィンランドの人々は、文化サービスのアクティブユーザーである。52の劇場、25のオーケストラそして132の博物館・美術館が、政府の資金援助を受けている。博物館・美術館の来館者数は、年間500万人であり、国立オペラ劇場やオーケストラには、年間90万人以上の観衆が集まる。

【出典】フィンランド教育省ウェブサイトから

http://www.minedu.fi/OPM/Kulttuuri/?lang=en


フィンランドで教育視察(有料)を手配するウェブサイトが開設

2009年09月21日  ,

 3年毎に実施されている(前回は2006年に実施)OECDの学力調査、PISA調査において前回、前々回と第1位にランキングされたフィンランドの高い学力は世界中で注目を浴びているが、そのフィンランドでの教育事情を調査・視察したいという世界からの訪問者、研究者の要望にこたえるため、フィンランドでの教育視察(主にヘルシンキ市内)を手配するウェブサイトが開設された。
 このサイトは、次の機関が協働で運営を行っている。

・フィンランド国家教育委員会(The Finnish National Board of Education (FNBE) )
・国家教育専門開発センター(Opeko – National Centre for Professional Development in Education)
・ヘルシンキ大学、応用科学教育部(University of Helsinki, The Department of Applied Sciences of Education)
・ヘルシンキ大学、教員養成学部(University of Helsinki, The Teacher Training Schools)
・ヘルシンキ大学、生涯学習センター(University of Helsinki, The Palmenia Centre for Continuing Education)
・シベリウスアカデミー(Sibelius Academy)

 視察を希望する訪問者は、ウェブサイト上にあるリクエストフォームから申し込みでき、そのリクエストに基づいてプログラムが用意されるシステムとなっている。訪問者が受けられるサービスと内容は次のとおり(サービスを受ける際の使用言語はすべて英語)。

<サービス>
専門的なプレゼンテーション、ディスカッション、ワークショップ、セミナー、学校訪問、コンサルタント等

<内容>
教育制度、教育行政、教員養成(生涯学習・職業訓練に係る教員養成)他

【出典】
Eduvisits in Finlandのウェブサイトから
http://www.palmenia.helsinki.fi/eduvisits/index.asp


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