2009年9月、フィンランド地方自治協議会は、地方財政について次のとおり報告している。
それによれば、地方自治体の歳出規模は、38億ユーロとなっている。なおフィンランドの会計年度は、1月~12月である。
・地方自治体の歳出は、地方税、国からの補助金、手数料・料金収入等から賄われている。地方税収には、個人所得税、固定資産税、法人所得税(の地方還付分)があり、地方自治体は、個人所得税率を一定の範囲内で自由に決めることができる。なお個人所得税の平均税率は18.6%となっている。
・手数料・料金収入が、地方自治体の歳入の約4分の1を占めている。料金収入の大半は、水道光熱、廃棄物処理、公共交通等のサービスに係る料金として利用者から徴収されたものである。社会福祉および保健サービス支出の10%弱は、そのサービス利用者と患者負担分の料金収入によりカバーされている。教育費については、原則無償である。
・中央政府からの補助金は、地方自治体歳入の20%弱である。地方自治体への国からの補助金は、法律に基づいたものであり、それは地方自治体の財政を援助している。中央政府からの補助金制度はまた、地方自治体間で財政的な不平等が生まれないようにするためのもので、全国各地で平等なサービスを確実にする。
【出典】フィンランド地方自治体協議会のウェブサイト
http://www.kunnat.net/k_perussivu.asp?path=1;161;279;280;37561
3年毎に実施されている(前回は2006年に実施)OECDの学力調査、PISA調査において前回、前々回と第1位にランキングされたフィンランドの高い学力は世界中で注目を浴びているが、そのフィンランドでの教育事情を調査・視察したいという世界からの訪問者、研究者の要望にこたえるため、フィンランドでの教育視察(主にヘルシンキ市内)を手配するウェブサイトが開設された。
このサイトは、次の機関が協働で運営を行っている。
・フィンランド国家教育委員会(The Finnish National Board of Education (FNBE) )
・国家教育専門開発センター(Opeko – National Centre for Professional Development in Education)
・ヘルシンキ大学、応用科学教育部(University of Helsinki, The Department of Applied Sciences of Education)
・ヘルシンキ大学、教員養成学部(University of Helsinki, The Teacher Training Schools)
・ヘルシンキ大学、生涯学習センター(University of Helsinki, The Palmenia Centre for Continuing Education)
・シベリウスアカデミー(Sibelius Academy)
視察を希望する訪問者は、ウェブサイト上にあるリクエストフォームから申し込みでき、そのリクエストに基づいてプログラムが用意されるシステムとなっている。訪問者が受けられるサービスと内容は次のとおり(サービスを受ける際の使用言語はすべて英語)。
<サービス>
専門的なプレゼンテーション、ディスカッション、ワークショップ、セミナー、学校訪問、コンサルタント等
<内容>
教育制度、教育行政、教員養成(生涯学習・職業訓練に係る教員養成)他
【出典】
Eduvisits in Finlandのウェブサイトから
http://www.palmenia.helsinki.fi/eduvisits/index.asp
○国の住宅政策に関する各公的機関(政府関係機関)の役割について
・フィンランドの住宅局(housing administration)は、環境省の管轄下にある。環境省は、規制とガイドラインを通して住宅建設の質を向上させ、また居住環境の質を向上させる責務を負っている。
・政府関係機関であるフィンランド住宅資金調達機構(The Housing Fund of Finland)が、(住宅手当を除く)国の住宅補助の資金を提供し、管理・運営している。
・社会保健省は、住宅手当に関する法律の総合的な責任をおっており、一般的な住宅手当の制度を監督している。
・フィンランド住宅金融開発センター(The Housing Finance and Development Centre of Finland)は、国の補助による住宅建設や改築計画の建築費を規制・管理し、品質に関する指導を行う。
・財務省は、賃貸住宅や居住権のための国の補助によるローンを監督し、また貸付を行い、その返済を回収する責務をおっている。財務省はまた、住宅ローンの利子補給を、直接金融機関に支払う。
○地方自治体の役割について
・フィンランドの地方自治体は、住宅政策に対して重要な役割があり、どの公営住宅に国からの補助をあてるかを決めることができる。またいくつかの地方自治体は、自治体自身で制限付き住宅補助を行っている。
・賃貸住宅の最も大規模な所有者は、地方自治体である。地方自治体が、住宅建設計画に係る土地の利用管理、インフラ整備、その他サービスを提供している。
【出典】フィンランド環境省のウェブサイトから
http://www.environment.fi/default.asp?contentid=53140&lan=en
・フィンランドの地方自治体は、幅広い責務を負っている。自治体には自治の権限が与えられている。多くの責務を実行する法定義務がある。
・財務省の自治行政部(Department for Municipal Affairs)が、自治体の機能を管理する一般法を整備する責任を負っている。自治行政部の管理下にある法律は、次のとおり。
-地方自治法 (Local Government Act)
-地方自治体境界法 (Act on Local Authority Boundaries)
-地方公務員雇用保障法 (Act on the Employment Security of Municipal Officeholders)
-地方公務員年金法 (Act on Municipal Officeholders’ and Employees’ Pensions)
-地方公務員交渉権法 (Act on the Bargaining Rights of Municipal Officeholders)
-地方自治体雇用委員会法 (Act on the Commission for Local Authority Employers)
-中央政府から地方政府への財政移転法 (Act on Central Government Transfers to Local Government)
-地方自治体保証局法 (Act on the Municipal Guarantee Board)
-ヘルシンキ首都圏評議会法 (Act on the Helsinki Metropolitan Area Council)
・各自治体が住民にサービスを提供するには特別法に基づいて行われる。フィンランドの自治体にとって最も重要な分野は、社会福祉・保健、教育・文化で、これらのサービスを保護する法律は、教育省や社会保健省の責任にある。
・地方自治体は、道路の維持・整備の責務も負う。また土地利用計画、建築法規、環境保護、廃棄物処理といった環境行政の分野の機能を実行する責務もある。自治体は、地方産業に係る多くの機能や消費者カウンセリングを行う責任がある。地方自治体はまた、選挙法により、国政や地方選挙の組織に対して協力体制を構築しなければならない。
【出典】フィンランド財務省のウェブサイトから
http://www.vm.fi/vm/en/15_muncipal_affairs/01_legislation/index.jsp
フィンランドの社会福祉制度は、主に社会保険と各種サービスの2つの部門から構成されている。
<社会保険>
・社会保険は、疾病手当や失業手当などの手当関係や、年金を保証している。また民間保険団体や社会保険団体、そして多様な失業基金が、社会保険に対する責任を負っている。しかし根源的な責任をおっているのは国である。
<サービス>
・社会福祉サービスや保健医療サービスは、すべて地方公共団体によって行われている。自治体職員の半数以上が、社会福祉や保健医療サービスに従事しており、地方公共団体の支出の約50%を、これらのサービスに費やしている。
・フィンランドの社会保障制度に含まれる各種手当やサービスは、普遍的な権利とみなされている。これは、誰もが手当やサービスを受ける権利をもつということを意味している。
【出典】フィンランド地方自治体連盟のウェブサイトから
http://www.kunnat.net/k_perussivu.asp?path=1;161;279;280;37562
・フィンランドの地方自治体と市町村連合を合わせた職員数は、42万4千人。この国の総労働人口の19%にあたる。自治体職員の8割が、保健、教育、社会サービスに従事。今後数年間で、保健、社会サービスに従事する職員がさらに増える見込み。
・フィンランドの自治体においては、女性がその大多数を占めており、10人に2人が男性職員である。自治体職員の平均年齢は現在45.3歳で、比較的高い。
・今後数年間で1/3の職員が退職。地方自治体は、新たに多くの職員を採用する方針
・年間の人件費総額は、17.5億ユーロ。そのうち13.3億ユーロが給与費で、残りがその他の人件費。
・フィンランド地方自治体連盟、地方団体経営者委員会、地方自治体年金基金の団体が、職員雇用に関する共同プロジェクト「Local Jobs 2010」を開始。これは、ますます競争の激しい市場で有能なスタッフを集め、自治体の立場をより強化することを一つのねらいとしている。またこの共同プロジェクトの目的は、雇用の競争を促進し、より魅力的な自治体の雇用を生み出すこと。
【出典】フィンランド地方自治体連盟ウェブサイト
http://www.kunnat.net/k_perussivu.asp?path=1;161;279;280;37565
・2008年10月26日に、フィンランド(オーランド州除く)で地方議会選挙が実施される。フィンランドの地方選挙は、4年毎、10月の第4日曜日となっている。
・4年前の地方選挙以来、自治体の合併が進められており、今回フィンランド全土の332の自治体で選挙が行われる。(前回実施時には416の自治体で実施)
・今回は、初めてとなる電子投票を3つの自治体で実施。合計で約34000の住民が、投票所で電子的に投票を行う(選挙当日または事前に)。インターネットによる投票は、不可。
・自治体議会の議員定数は人口区分に従って定められており、地方自治法(1995年)によれば、議員の数は次のとおり。
人口区分 議員定数
2千以下 17人
2千1以上 4千以下 21人
4千1以上 8千以下 27人
8千1以上 1万5千以下 35人
1万5千1以上 3万以下 43人
3万1以上 6万以下 51人
6万1以上 12万以下 59人
12万1以上 25万以下 67人
25万1以上 40万以下 75人
40万を超える 85人
<参考>
・フィンランドの地方自治体の行政区分には、ラーニ(県レベル)とクンタ(市町村)が存在する。ラーニは国の行政単位であって、自治体ではないので、基本的には国と市町村(クンタ)の二層制。それゆえフィンランド本土では、州(県)レベルでの議会はなく、国会と市(町村)議会の二つのみが、直接選挙による議員選出となる。
【出典】
フィンランド法務省のサイトから
http://www.vaalit.fi/15522.htm
http://www.om.fi/en/Etusivu/Ajankohtaista/Uutiset/1222680429473