フィンランドにおける教育制度について紹介します。
3 フィンランドの教育目標
(1)平等性
・年齢、地域、性別、所得や言語に関係なく均等な教育機会を提供する。
・教育を無料で提供(私立を除く)する。
・国で策定された基本カリキュラムを基礎とした同質の教育を提供する。
(2) 柔軟性
・親が学校を自由に選択できる。
・義務教育課程で科目を選択できる。
・高等教育過程で生徒個人の目標ごとに学習計画を立てる。
(3) 自由度の高さ
・Spirit of Trust(信頼性)を基にして、国レベルで基本カリキュラムを制定し、地方自治体が運用する。
・教育に係る国の監査を受けない。
・義務教育課程で全国テストを行い点数はつけるが、成績の順位をつけない。
・中等教育過程の最終学年で再度全国テストを行う。
(4) 生徒に対する支援
・学習到達度が低下しないように早い段階から生徒指導を行い、生徒の学習と環境を整える。
・生徒個人の学習計画を支援し、カウンセリングを行う。
・教員はレベルの高い資格を有している教育の専門家である(教員なるためには修士号が必要)。
4 教員資格と研修
・ 教員(すべての教育課程)になるためには修士号を取得しなければならない。
・ 教員資格取得は難しく、給与水準も高くないが、社会的な地位がとても高いため、教員志望者が多い。
・ 教員研修は中央教育委員会や地方公共団体が企画する。研修費用は原則国が負担する。研修内容としては、地域の大学で科目ごとの教授法セミナーなどがある。
5 問題点
・ 科目が細分化され科目数が多いため、科目ごとの授業時数が少なくなっている。
・ 一般的に楽手時間が少ないと考えられつつある(学校授業日の延長が必要では?)。
・ 学校評価が自己評価だけであるため、他者との比較が難しい。
・ 高齢化が進み、政府財政を逼迫しつつあるため、教育費の確保が難しくなる。
・ 移民の増加による社会構造の変化が教育環境を変えてしまう可能性がある。
・ ITを活用した授業の運用方法が難しい。
・ 生徒の読解力が男女間で差が出てきている(女子が男子よりも優れている。)
なお、上記のことについては、2014年の基本カリキュラム改訂の際の検討事項となっている。