フィンランドの教育制度について紹介します。
1 フィンランド教育一般
・ 2006年PISA(OECD加盟57カ国の学習到達度調査)で科学的リテラシー第1位(日本第5位)、数学的リテラシー第2位(日本第10位)、読解力第2位(日本第15位)
・ 公立であれば授業料は無料
・ 学校評価は学校独自で行うことが義務付けられている(他校との比較を基本的にはしない。)。
・ 国全体の教育に係る公的支出は国内総生産の5.9%(日本は3.5%)(2002年)
・ 移民が少ない(総人口の3.6%)。
(教育課程)
・ 早期教育は0歳から5歳までで、義務教育準備期の6歳を経て、義務教育は7歳から16歳までの9年間行われる。ただし義務教育履修者の3%は10年間の義務教育を受けることができる。義務教育課程の第7から9学年は前期中等教育課程に分類される。
・ 前期中等教育課程修了者の55%は一般後期中等教育課程に進学し、38%は後期中等教育職業訓練課程に進学をする。後期中等教育課程は単位制であるため、生徒は一般課程と職業訓練課程で学習と実習を組み合わせることが可能である。
・ 大学教育は理工科大学と総合大学に分類される。
2 教育に係る行政組織の役割
(1)教育省
教育行政の根幹部分(教育基本法や科目ごとの授業時数など)の調整を関係省庁や国会と行う。
(2)国家教育委員会
教育省からは独立した機関ではあるが、下部組織的な役割を担う。教育省の決定事項に基づき、基本カリキュラム(学齢ごとの履修科目の具体的な内容の決定)の制定を行う。なお、現在は2004年に制定されたカリキュラムに基づき教育施策が実施されており、2014年に基本カリキュラムの改訂が予定されている。
また、国家教育委員会ではカリキュラムに基づいた教科書を作成する。教科書検閲は行われない(1990年代に検閲を行った時期があったが、必要性がないと判断され現在は実施していない。)。教科書作成会社は民間大手2社が引き受けている(寡占状態)。
(3)地方公共団体
基本カリキュラムに基づき、地方公共団体の地域の特色を踏まえたカリキュラムを作成する。公立学校教員の採用は原則として学校単位で行う。また、学校間や親と学校での問題に必要に応じて対処する。(教育施策はほとんど学校に委ねられている)
(4)学校
公立校の財源は国からの拠出金でまかなわれているが、その財源の使途の自由度はとても高い。テキストの選択は各教員(学年や教科担当者で相談して決定)にゆだねられている。