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英国の国立博物館・美術館の入場料無料政策導入10年

2011年12月15日 

2011年12月1日、英国の国立博物館・美術館の入場料の無料化が施行されて10年の節目を迎え、昨年度(2010年度)の入場者は、約1800万人と過去最高を記録した。国内の人気観光アトラクショントップテンのうち8つが、文化・メディア・スポーツ省が補助を行っている国立博物館・美術館であった。

ジェレミー・ハント文化・オリンピック・ メディア・スポーツ大臣は、「文化というものは、国民すべてのためにあり、国立博物館・美術館の入場無料政策はそれを可能にしている。厳しい財政状況下でもこの政策を継続する」と述べている。文化・メディア・スポーツ省が補助を行っている国立博物館・美術館の常設展示の入場料無料化は、前労働党政権下の2001年12月1日に始まった。1999年4月から子どもが無料、2001年4月から60歳以上が無料、2001年12月にすべての人が無料となった。国立博物館・美術館の入場無料政策の維持は連立政権の公約の一つで、継続のための財源は、昨年の「支出見直し(Spending Review)においても確保された。

文化・メディア・スポーツ省が補助を行っているロンドンにある国立博物館・美術館の入場者数は、入場料が有料であった2000年度と比べて、2010年度は151%を記録した。特に多かったのは、国立海洋博物館の204%、自然史博物館の187%、ヴィクトリア&アルバート博物館の180%であった。また、ロンドン以外の国立博物館・美術館では、入場者数は148%増加した。リバプールにある国立博物館が269%、マンチェスターにある科学産業博物館が122%であった。
国立博物館・美術館の入場料無料化は、海外からの多数の観光客を招き、英国の観光経済に大きく貢献をしている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)25ドル、パリのルーブル美術館10ユーロ、トロントのロイヤルオンタリオ博物館22カナダドル、アムステルダムの国立博物館12.5ユーロなど、世界の主要都市にある博物館・美術館では入場料がかかる。英国観光庁(ビジット・ブリテン(VisitBritain))によると、海外からの観光客は、国内の博物館・美術館に年間、10億ポンドの利益をもたらしているとされる。英国の文化・歴史的遺産に関する最近の報告書によれば、ワールドクラスの所蔵品を誇る博物館・美術館に無料に入ることができることは、海外からの多くの観光客が、英国を旅行先として選ぶ重要なポイントとなっていることがわかった。

【出典】英国文化・メディア・スポーツ省のウェブサイト
http://www.culture.gov.uk/news/media_releases/8659.aspx

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