20歳未満の若者達の生活状況の継続管理責任が地方自治体にあることは、自治体が就業施策を彼らに提供する責任があることまでを意味するものではない。こちらは明らかに国の職業安定局の責務であるが、残念ながらこの責務は不十分にしか遂行されていないのが現状である。このため、求職者のための新しい地域的組織の必要性が明白になってきている。
毎年、相当多数の若者が高等学校を早期退学している。その大部分は学業を継続することよりも働くことを望んでいる若者であるが、一方高等学校の卒業資格なしに就職機会を得ることは非常に困難である。この状況に対処するため、何らかの特別な施策が必要とされている。この特別施策なしには、彼らは社会から疎外され、個人的にも、そして自治体にとっても、さらに社会全体にとっても大きな問題をもたらす結果となるだろう。
20歳未満で、すでに義務教育を修了した若者達の卒業後の就学・就職状況については、2005年以来、地方自治体の情報把握責任事項として法的に定められている。地方自治体は、法制化の初年度には、これら16歳から20歳の若者達に対し、教育と労働施策に関する責務を有していたが、2007年度になって自治体の青年を対象とした法制度が廃止され、就職保証制度が導入されると共に、職業安定局がすべての労働施策について責任を有するようになった。以降、地方自治体の役割としては、第一に若者達の就学・就職状況について継続的に情報を把握する義務を有することのほか、彼らに対して教育機会を与えることとなっている。
時折、地方自治体は18歳未満の若者に対して労働関連の支援をしていない、と各方面から批判を向けられることがあるが、この批判は本来、職業安定局に向けられるべきものである。一部の自治体では自主的に高校早期退学者向けの広範な労働施策を実施しており、同様の施策を実施していない他の自治体との比較において不合理にも一つの模範とされているが、このことによって法に則って責務を果たしている自治体が非難を浴びることとなっている。
一方、職業安定局では、各地方自治体が歴史的に有していた若者達の就業についての責務を、自らの手から手放そうとしていない。義務教育は16歳で完了し、高校教育は自由意志に基づく任意であるため、自治体は教育のみを提供することができる以上、今日、就職を希望する若者達には、職業安定局の積極的な支援が必要である。
すなわち就職も就学もしていない16−20歳の若者は、職業安定局(職業)と地方自治体(教育)の間でその対応責任が分割され、それゆえに多くの個人が不幸にも両組織間の狭間に転落する結果となっている。これらの関係官庁が地方レベルでの完全な協調体制を採っているならば、より良い合理的な対応ができるであろう。
一つの好例は、スーデルハームン市における機能的な活動である。ここでは自治体、職業安定局および社会保険局が協同して若者の求職者に対応している。この活動には自治体の情報把握責任部署も参加している。 同様に地方レベルで成功裏に活動している多くの例が全国で見られる。
協力体制強化のため団結した地方組織では、若者達の就業あるいは就学を促進するためのリソースの集約が可能になり、若者個人に焦点を当てた、より効果的な活動ができるだろう。またこの施策によって接点が拡大し、アイデアの交換や当事者間の関係改善も行われ、自らの責務もより明確にすることができるだろう。SKLは、実態調査結果から、解決策として共通の窓口設置と、さらに試験的活動を早期に開始する必要性について政府に提案した。
SKLは、広範な解決策の実施と協調の拡大を期待し、国と地方自治体間の責任の明確化の重要性を強調したい。これは、若者に関する情報把握義務、教育上の責任、若者の求職者への対応策と同様、良好な協調体制確立のための前提条件である。
【出典】スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2010年6月8日発行)
http://www.skl.se/web/Veckobrevet_2010-06-08.aspx