2006年四月、ドイツ連邦政府は行政手続に伴う負担を軽減するプログラムを議決し、開始させた。
その目的は、連邦政府の規制で義務付けられている情報提供のために、企業、市民、そして行政自体に現在かかっている負担を軽減することであり、連邦レベルだけでなく、州及び地方自治体も含まれている。
情報提供のために現在かかっている負担とは、たとえば情報の提出、申請書等の記入、関連資料の収集や保存などである。目標は、2011年までに情報提供による負担をすべて把握し、25%カットを実現することである。このため、欧州で広く使われているオランダ政府が開発した「標準コストモデル」を利用することになっている。プログラムを発足させたと同時に、独立した機関として、「国立規制監理委員会Nationaler Normenkontrollrat」を設立した。この委員会は、目標を達成するために助言を行うほかに、新しい規制がもとらす負担を最低限に抑えるために行動する。
最初の軽減対象は企業に対する情報提供負担である。2006年末までの間、すべての連邦官庁は、企業に情報提供を義務付けられているEUまたは連邦規制による情報提供は1万900件が存在すると明らかにしてきた。そのうちの2100件の情報提供だけで、約270億ユーロの費用がかかった。負担の内容と分量が明らかになったため、次のステップはいくつかの段階に分けて負担を軽減することである。2009年末まで企業に対する情報提供の負担を4分の1に軽減する予定である。
他の事業もこれから始まっている。市民や行政に対する負担の削減が目的になっているため、地方自治体は市民にサービスを提供する重要な主体のひとつとして最初からこの問題への対応に参加していた。
2009年2月に初めて連邦、州および地方自治体すべてが関係するモデル事業が発足している。その内容は、住居手当(低所得者に対する手当て)と両親手当て(子供が生まれた後に子育てのために仕事が休めるよう、減った収入分を補填する手当て。両親のうち一人に支給される。)の申請と支給に関する負担の調査である。現在、年間では住居手当に対する申請は100万件(初申請、再申請、変更申請を含む)、両親手当ては75万件である。
モデル事業では、法に基づく申請から決定通知までその過程すべてにおける、市民に対する情報提供の負担、そして行政に対する情報提供の負担等を調査することとなっている。また、他のサービス(たとえば、両親手当ての場合、児童手当の申請とその支給)との重複や関連には配慮することも重視される。
地方自治体を代表する自治体3団体(ドイツ都市会議、ドイツ郡会議及びドイツ市町村連盟)はこのモデル事業へ参画し、地方自治体にとっては、行政手続による負担を軽減することは、市民のためだけでなく、行政内部の簡素化のためにも重要であると強調している。
【出典】
REGIERUNGonline, ‘Bürokratieabbau
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/DE/Buerokratieabbau/buerokratieabbau.html
Pressemitteilung der Bundesregierung 11. 2.;19.2.2008
http://www.bundesregierung.de/nn_1494/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-11-nkr-pilotprojekt.html
http://www.bundesregierung.de/nn_1272/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-19-buerokratieabbau-bund-kommunen-vereinbaren-zusammenarbeit.html