調査・研究

ドイツの地方自治情報メモ

ドイツ

ドイツの公営銀行制度の動き

2008年11月25日 

 ドイツでは、銀行などの金融機関を三つに大別することができる。民間銀行、公営銀行及び共同組合(コオプ)銀行である。
 公営銀行は、州立銀行(Landesbank)及び自治体が関連する貯蓄銀行(Sparkasse)が主である。
 特に貯蓄銀行は自治体にとって重要な役割を果たしている。地方自治体が貯蓄銀行を通して、借り入れをしたり、さまざまな事業を開始したりし、また銀行があげた利益の一部も自治体に入る。また、貯蓄銀行はその地域の住民及び中小企業にとって主な金融機関である。というのは、公共の福祉を促進することが貯蓄銀行の任務でもあるので、住民の全てにサービスを提供し、そして中小企業に貸付を行うことなどで支援することで民間銀行より地元に根付いた金融機関となっている。このような公共の福祉の促進の原則とともに、地域内営業の原則により、営業区域がある地域内の活動に制定されていることも貯蓄銀行の特徴である。

 民間銀行は以前より公営銀行を不平等な競争相手と見ており、国際的な比較でも、ドイツの銀行制度は特に英米方式の銀行制度に立脚する立場、つまり公営銀行が存在しない立場から批判を受けてきた。
 数年前より、ドイツの民間銀行は経営が悪化し、公営銀行が競争で不平等な利点を持つという立場に基づき、EUの競争担当委員にクレームを申し立てた。2002年、EU競争委員会、ドイツ連邦政府及びドイツの民間銀行の間に、妥協が成立した。その結果として、公営銀行そのものは存在し続けることとなったものの、2005年までに、不平等な利点と批判された州や自治体が公営銀行の資金力に対して行っている最終的保証制度(Gewährträgerhaftung)が廃止された。

 このような制度改革の影響と効率を高めることを目的にして、2003年2月に初めての州立銀行の合併が実施された。ハンブルク州立銀行とシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州立銀行がHSH Nordbank となった。現在、ラインラント・プファルツ州とバーデン・ヴュルテンベルク州の州立銀行間でも合併の話がある。旧西ドイツの州(11州)は全て独自の州立銀行を持っていたが、旧東ドイツ地域の州(5州)は全てがそうではない。メックレンブルク・フォアポンメルン州とザクセン・アンハルト州は、90年のドイツ統一で州の組織を設立する際、自身の銀行を設立することよりも、すでに存在したニーダザクセン州立銀行に加盟することを選択した。

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