1 内容
6月21日に約3百年間デンマーク統治下にあったグリーンランドがその自治権を拡大することとなった。
グリーンランドの人口は5万7千人で、その財政の約30%はデンマーク政府からの補助金に依存している。自治権の拡大に伴い、補助金が打ち切られることはなく、デンマーク政府はグリーンランドにおける防衛や外交については最終的な意思決定を行う。グリーンランドでは警察と裁判所については責務を負う。グリーンランド語が公用語となり、グリーンランド人は国際法上デンマーク人とは別の人種に位置づけられることとなる。
2 経緯
1979年にグリーンランドは自治権(限定的自治権)を付与され、2008年11月の国民投票でデンマーク政府からの独立を推進するという意見が大多数となった。デンマーク政府はその投票の結果を重く受け止め、グリーンランドの自治権を拡大することとなった。
3 背景
この自治権拡大の背景としては、グリーンランドに住む人々の次のような考え方が挙げられる。第一に、地球温暖化により、北極圏の氷床が減少し気温が上昇したことで、グリーンランド北部にあると考えられる石油、天然ガス、レアメタルなどの天然資源がより簡単に入手できるかもしれないということである。第二に、産業が現在の主要産業である漁業だけでなく多様化できるかもしれないということである。しかし、完全な独立について全体的にまとまった動きはなく、現グリーンランド自治政府は、独立よりもまずアルコール中毒問題、家庭内暴力や高い自殺率への対応に現在は焦点を当てる必要があると述べた。
(参考)
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/greenland/5594140/Greenland-takes-step-toward-independence-from-Denmark.html
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/8111292.stm