オーストリア連邦政府は近く銀行税を導入することを検討している。これは、2010年2月22日に行われた連邦財務相を議長とする銀行首脳会議(サミット)の結果を受けたものである。同サミットには、金融担当相のほかオーストリアの大手銀行頭取たちが参加し、オーストリア国立銀行が提示した調査結果に基づき議論が行われた。
検討中の銀行税について、まだ詳細は決まっていないが、導入は2011年以降になる見込みである。連邦財務相は同銀行税による歳入は約5億ユーロになるとの試算を発表した。また税率については、連結財務諸表上の額から様々な控除を差し引いた後の課税標準に対し、0.07%から0.1%が適用される見込みである。連邦財務相は、銀行に対するこのような一体課税は十分正当化されると強調している。
連邦財務相及び金融担当相双方ともに、同銀行税が顧客手数料に上乗せされることにはならないと述べている。顧客手数料への上乗せを防ぐため、銀行手数料は厳格に調査されることとなる。加えて、銀行間の競争が銀行にかかる負担の問題を解決するだろうと連邦財務相は説明している。財務相を議長とする新たな検討部会の初会合が2010年3月8日に開催されることとなっており、政府の閣僚及び各銀行の代表者から構成される同部会において政府に対する専門家の意見、答申が取りまとめられる予定である。
2010年2月24日国会の一般討論において、金融担当相は、銀行も含めた社会における全ての法人・団体が公平に国家歳入に貢献しなければならない必要性を繰り返した。同相によれば、デリバティブ、オフ・バランスシート取引等の投機的金融派生商品が銀行税の課税対象となる見込みである。加えて、同税の導入はローン契約にかかる手数料の廃止と同時に実施することを金融担当相は強く求めている。この同時実施により、民間企業等への財政負担を軽減できると見られており、毎年1億5千万ユーロもの歳入をあげているローン契約にかかる手数料を廃止することでwin-winの状況になると述べた。
【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id38670