日時:2012年11月11日(日)14:00-16:00
場所:ロンドン大学 SOAS(東洋アフリカ学院)Brunei Gallery Lecture Theatre
主催:Tohoku Earthquake Relief Project London (TERP London) 【http://terp-london.co.uk】, Sakura Front 【http://sakurafront.org.uk】
共催:ロンドン大学SOAS Japan Research Centre (JRC) 【http://www.soas.ac.uk/jrc】
東日本大震災発生から611日目にあたるこの日、震災で何が起こったか、その後どのような復興の取り組みが行われたか、震災の過去・現在・未来を見つめる震災復興支援イベント「TSUNAMI, 611 days later」がロンドン大学SOAS(東洋アフリカ学院)のキャンパスで開催されました。
イベントが開催された11月11日は、英国にとって特別な日です。第一次世界大戦の戦闘が終結した日で、多くの市民が赤いポピーの花を身に着け、戦没者への思いを新たにする日です。同日に開催されたこのイベントでは、「サクラのブローチ」を参加者が身に着けました。英国のポピーをヒントに、東日本大震災を後世まで「忘れない」というメッセージを込めて、ロンドン在住の日本人がデザインしたものです。
本イベントは、ロンドン在住の英国人及び日本人に東日本大震災にかかる支援への謝意の表明をし、その被害の状況、復興の現状を伝えるもので、後援団体として当事務所もイベントの企画・準備の支援に関わり、在英国日本国大使館をはじめとする日系関係諸機関やJETAA(JET Alumni Association, JETプログラムのOB・OGによる団体)にも広報等に御協力をいただきました。その結果、会場は290人の定員を上回る参加者で満杯となり、主催団体によればその半数以上は英国人でした。
イベントは、アカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた英国人監督ルーシー・ウォーカー氏による映画「津波そして桜 The Tsunami and the Cherry Blossom」の上映で幕を開けます。この映画では、震災直後の津波の映像と被災地が復興へと移りゆくさまが桜の花をキーワードとして描かれ、当時の被害のすさまじさをあらためて感じるとともに、被災から立ち直ろうとする人の姿に心を動かされました。参加者の方々も、言葉を失いながらも食い入るようにスクリーンを見つめている様子が印象的でした。
次に、イベントに招かれた村井嘉浩宮城県知事から、被災地の被害の状況と復興の現状について講演が行われました。
冒頭、英国をはじめとする世界各国からの多大な手厚い支援に対し感謝の意を表されるとともに、復興こそが世界への恩返しであるとの決意を力強く示されました。
日本観測史上最大となるマグニチュード9.0の地震は、宮城県沿岸部で20mを超える津波を引き起こしました。村井知事からは、津波や震災直後の写真とともに、宮城県での犠牲者数が日本全体の犠牲者数のおよそ60%にも上ることや、宮城県内で発生した震災がれきが1,200万トンにもなり、宮城県の廃棄物量の23年分に相当することなどが紹介されました。震災がれきは2014年3月までにすべて撤去すべく作業を進めているとのことですが、想像を絶する災害であったことがあらためて思い起こされます。
宮城県では「宮城県震災復興計画」を策定し、今後10年間での復興を計画しています。これは公共施設・防災施設の整備・配置などを抜本的に「再構築」することにより、最適な基盤づくりを目指すもので、被災地の「復旧」にとどまるものではないということ、10年後の世界情勢を見据え、さらなる発展への取り組みが重要であるということを村井知事は力強く述べられました。
最後に、村井知事は宮城県の四季折々の姿を紹介し、日本への観光の際には宮城県を訪れ、復興に取り組み元気で頑張っている宮城県の姿をぜひ見てほしい、そのことこそが復興への支援となると会場に訴え、講演を終わりました。
その後行われたパネルディスカッションでは、英国人学生ボランティアとボランティアを受け入れ復興に取り組んでこられた酒造会社社長を交え、被災地での活動の報告や今後のボランティア支援について議論が交わされました。
物的な支援はもちろんのこと、ボランティアとの交流など心的な部分での支援、心のケアがなによりも重要となります。また、本当に必要な支援は何かという問いに対して「必要なものは人それぞれ違う。そして毎日変わっていく」との答えが印象的でした。
イベントの最後に、村井知事が「被災者は自分たちのことが忘れ去られてしまうことを心配している。忘れないで、できる範囲で結構なので支援を続けてほしい」と会場に語りかけました。「サクラのブローチ」に込められた思いを忘れず、今後英国からどのような支援ができるかを考える機会となりました。
(ALL Images © Saera Jin )