2011年2月25日に行われたアイルランド下院総選挙(定数166)は、それまで最大野党だったフィネゲール党(Fine Gael)が76議席を獲得し第1党となった。しかし過半数には届かなかったため、労働党と連立政権を組み、フィネゲール党首のエンダ・ケニーが首相(Taoiseach)に就任した。
長期に渡って政権を維持してきた与党フィナフォール党(Fianna Fáil)は20議席にとどまり、第3党へと転落した。国際通貨基金(IMF)からの金融支援受け入れなどをめぐり強い批判を受けていた与党への国民の批判は強く、首都ダブリンでの同党の支持率はわずか8%にとどまった。なお、全体の投票率は70.1%だった。
フィネゲール党が総選挙の際に掲げたマニフェストにおいて、地方自治体に関連して言及した主な個所は以下のとおり。
・雇用や住宅といった分野の権限を外郭団体から地方自治体に戻す
・ダブリンに直接公選首長制を導入する
・地方自治体効率化レポート(Local Government Efficiency Review)において奨励されている、事務の共同化や幹部職員の削減といった、支出削減方法の少なくとも80%を実施する
・国営のアイルランド水道公社を設立し、各自治体の水道部門の機能を引き継ぎ、合理化する
・自治体が文化ツーリズムを促進できるように支援する。芸術専門職員の採用も奨励する。
また、農業分野に関しては、「Food Island」としてアイルランド島を売り込むことや、フードツーリズムの推進、また、観光分野においては、関係組織の合理化を進めること、アジア及び、ヨーロッパ大陸のうち未進出の地域にマーケティングを行うこと、2012年のロンドンオリンピックを観戦する観光客の取り込みを進めるなどとしている。
北アイルランドとの関係においても、グッドフライデー合意(ベルファスト合意)、聖アンドリューズ合意の完全実施を支持すること、アイルランド島における主要なインフラ整備(電力、交通、通信など)の整備において協力するとしている。
【出典】
BBCウェブサイト
http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-12585048
アイルランド総選挙結果2011
http://www.oireachtas.ie/documents/publications/2011_Electoral_Handbookrev.pdf
フィネゲール党 マニフェスト
http://www.finegael2011.com/pdf/Fine%20Gael%20Manifesto%20low-res.pdf