EUがヘッジファンドの監視に動いていることで、過去10年にわたり金融都市ロンドンの成長の原動力となってきたシティーの地位が脅かされそうだ。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、英国の首脳は2月22日、4月にロンドンで開かれる主要20カ国・地域(G20)の緊急金融サミットを前に、ベルリンで会合を開催。ヘッジファンドや格付け会社、あらゆる金融商品の規制を強化することで合意した。英財務省はヘッジファンドの監視には消極的だったが、より厳しい措置を望む他国に押し切られた格好だ。シティーは世界のヘッジファンド市場の21%を押さえ、欧州では5分の4を占めることから、規制強化の影響を受ける恐れがある。これに加え、欧州委員会は2月25日に銀行リスクや金融安定性を横断的に監視する2つの中央機関の創設を提言。すなわち「欧州システム・リスク評議会(ESRC)」と「欧州金融監督システム(ESFS)」で、各国の金融当局が協力する形を取る。英国のコメンテーターはこれについて、「シティーや加盟国の金融当局の役割が弱められる」(保守党のビル・キャッシュ下院議員)と指摘している。
【出典】
-欧州委員会プレスリリース“Recommendations of the De Larosière Group for reinforcing financial supervision”, 25 February 2009
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=AGENDA/09/7&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en#_Toc222891055