【自由記事】英国のジンブームについて
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ジンは原料に大麦、ライ麦、ジャガイモ等を使った蒸留酒で、カクテルによく
使われます。日本ではマティーニ、ジントニック、シンガポール・スリング等
のカクテルベースとして使われているので、ご存知の方も多いと思います。
そのジンですが、過去に英国で大ブームとなったものの、近年はまったくと言
っていいほど人気はありませんでした。数年前までは、ロンドン市内のパブに
ジンをおいてあるところはほとんどなく、ジンを好んで飲むような人もあまり
いませんでした。
しかし、数年前に、小さな蒸留所から生み出される質の高い「クラフトジン」
が英国人のハートを捉えました。クラフトジンとは、職人が手間暇かけた特色
のあるジンで、少量生産されるものです。各蒸留所がより特色を出すために、
製造される地方特有の素材が使われます。クラフトジンは日本で言う、全国各
地にある地酒のようなイメージです。そのクラフトジンがブームの火付け役と
なりました。
5年前、英国のジン蒸留所の数は152か所でした。そして、そのほとんどがスコ
ットランドにありました。しかし、その後、ロンドンを中心にジンブームが起
こり、現在では、イングランドにも多くの蒸留所ができ、5年前の約2倍にあた
る315か所のジン蒸留所があります。
工場で大量生産されるジンに飽きた消費者が、地方の小規模な蒸留所で丁寧に
製造される特色あるクラフトジンを求めるようになり、消費者ニーズが大きく
変化すると同時に、市場も大きく拡大しています。昨年、ジンの売り上げは過
去最高を記録しました。
現在では、ロンドン市内のほとんどのパブにさまざまな特色のあるクラフトジ
ンが並んでいます。また、ジン専門店がオープンするなど人気はますます盛り
上がりを見せています。今後も、英国のジン市場はさらなる成長が見込まれて
います。
(ロンドン事務所所長補佐 本谷)