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CLAIRメールマガジン vol.202(2018年3月23日)=英国の大学の授業料について

2018年03月23日 

【自由記事】英国の大学の授業料について
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英国にはオックスフォード大学やケンブリッジ大学など、世界トップクラスの
大学が数多くあります。しかしながら、授業料の高さが進学の壁となっている
という現状があります。

例えば、現在イングランドの国公立大学の授業料は、年間9,250ポンド(約140万
円)を上限としています。上限とはいうものの、実際にはほとんどの大学がこ
の金額を採用しています。英国では1997年まで大学の授業料は無料でしたが、
大学進学者の増加に伴い、施設や教員の質を維持するため、段階的に引き上げ
られました。

英国では日本のように授業料を前納するのではなく、ローンを組み、卒業後に
返済するという形をとっています。「授業料ローン」のほかに「生活費ローン」
もあります。利子率は現在6.1パーセントで、大学入学時からかかってきます。
卒業時には1人あたり平均約50,000ポンド(約750万円)の負債がある計算にな
るとのことです。

卒業後に年収が一定額に達した時点で返済の義務が生じます。毎月の給与から、
その9パーセントが差し引かれる形になっています。本人の意思に関わらず給与
から引かれるため、確実性はありますが、30年経てば返し終わっていない分は
返済免除になります。実際に約半数から4分の3の人は全額返済することなく、
30年を迎えるとの調査もあります。

英国における大学の授業料については、昨年6月の総選挙時に野党・労働党が無
償化を公約に掲げたことから、若年層とその親世代から支持を得て、労働党躍
進の一因になったと言われています。これに対しメイ首相は、授業料の無償化
は増税を引き起こすとし、「高等教育の恩恵を直接受ける者がその費用を負担
すべき」との姿勢です。今後も議論は続きそうです。

(参考) http://www.bbc.co.uk/news/education-43106736

(ロンドン事務所所長補佐 丸山)

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