【自由記事】ナイトタイムエコノミー
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ナイトタイムエコノミーは、バー・ナイトクラブに限らず、ホテルやレストラ
ン、交通、倉庫、小売り、サポートサービスなど、夜間の経済活動を活性化さ
せることを指しますが、単なる夜遊び推進による経済活性化を意図するもので
はなく、地域、企業、行政等の関係者が一体となって、公に地域及び経済活性
化の可能性を高めようとするものです。同時に、夜間の活動範囲拡大による治
安の悪化が懸念されますが、関係機関と合意形成を行いながら公の秩序を守り
進めていくこともナイトタイムエコノミーの特徴です。
現在、英国内、欧州各国でナイトタイムエコノミーが一つの地域経済振興政策
として取り上げられています。ロンドンにおいては2016年にナイト・ツァー
(Night Czar、夜の皇帝(※1))をサディク・カーン市長が任命したほか、ナ
イトチューブ(地下鉄の深夜運行)を開始・順次適用する路線を拡大するなど
の取り組みが行われ、大変盛り上がりを見せています。ロンドンのナイトタイ
ムエコノミーによる経済効果は大きく、これに関連する職業はロンドンの8人に
1人の雇用を支えていると分析されています。
インバウンドを含む観光政策においてもナイトタイムエコノミーは一つの魅力
になっています。ロンドンなど大都市だけではなく、地方でもナイト・ミュー
ジアム、夜間のツアーやナイトマーケット等、日が落ちてからも楽しむことが
できるイベントがよく行われています。
一方で、多くの人がパブやナイトクラブでお酒を楽しみますが、安全確保のた
め徹底した年齢確認を行っており、また、泥酔者を入店させることは法律で禁
止されるなど、治安を守る取り組みも行われています。
英国においては伝統的なパブをツアースポットとして紹介している場合が多い
ですが、日本でも東京のゴールデン街などの歓楽街は外国人観光客に非常に人
気があります。昼間だけに限らず夜間まで観光に関するアクティビティーが存
在すれば、その地方での宿泊数が増え、観光客の満足度も高まり、地方経済に
も貢献してくれるのではないでしょうか。
(※1)ナイト・ツァー(夜の皇帝)とは、関係者との連絡調整を図りながらナ
イトタイムエコノミーの健全な発展をサポートしていく職
(ロンドン事務所所長補佐 吉嶋)