【テーマ記事】ドイツにおけるLGBT施策
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2017年6月、ドイツにおいて同性婚が合法化され、同年10月より施行されました。
それまでドイツでは、パートナーシップ制度により同性のカップルには一定の
権利が保障されていましたが、今回の合法化により、異性のカップルと同等の
権利が認められるようになりました。同性カップルが養子を迎えることも可能
になり、今後、多様な家族が誕生することが予想されます。
しかし、第2次世界大戦中には、同性愛者はユダヤ人と同様、ナチスドイツに
より迫害され、数多くの人が強制収容所で虐殺されました。ドイツではその後
も東西ドイツ統一後の1994年まで、刑法175条の規定により、同性愛は違法と
されていました。社会の変化により、徐々にLGBTの人々の人権に目が向けられ
るようになり、長い年月を経て、今回法律で同性婚が認められるようになりま
した。
ドイツの首都ベルリンは、ヨーロッパの中でも特にLGBTにフレンドリーな街の
1つとして知られています。前ベルリン市長のクラウス・ヴォーヴェライト氏
も自らがゲイであることを公言しており、「私はゲイであり、それもまた良い
ことだ」という彼の言葉は、数多くのLGBTの人々を励ましたと言われています。
さらにドイツでは、2017年11月、出生届に「第3の性」を記載することが合法と
されました。新生児の中には、性分化疾患により、男女両方の特徴を持って生
まれてくる子どもや染色体と外性器の形状が一致しない子どもがいます。その
ような場合、出生届の性別欄を空欄にしておくことは認められていましたが、
それだけでは不十分だとして、立法府に対応を求める判決が出たものです。性
や結婚に関しては、文化や宗教によりさまざまな考え方の人がいますが、誰も
が個性を尊重され、幸せに暮らせる社会を求める動きは続いていくものと思わ
れます。
(ロンドン事務所所長補佐 丸山)