【記事】イギリスの地方における多言語施策
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ロンドンのまちを歩いていると、すれ違いざまに聞こえてくる会話では実に様
々な言葉が話されています。
2016年の統計(※)によると、イギリスでは7人に1人(14%)が外国生まれで
あり、また11人に1人(9%)が外国籍住民であると発表されています。あらた
めてこの数字から、イギリスが多文化社会であることが実感できます。
イギリスのケンブリッジシャーにあるフェンランド市では住民の約10%がリト
アニアからの移民であり、その多くが農業や食品加工業に従事しています。そ
うした状況のなか、新しい取り組みとしてフェンランド市では英語を話す人向
けにリトアニア語会話の講座を開講することが検討されています。この取り組
みは、地域に住むリトアニア語を話す人たちへの理解を深めることを目的とし
ています。この講座の導入については、市民が互いの理解を深める良い方法だ
と評価する声がある一方で、講座の運営に使われる税金を家賃高騰により住宅
入手が困難な人たちや、障がいを持つ人への手当に使うべきであるという意見
もあり、特定のコミュニティに対する施策は更なる社会の分断を生むという厳
しい意見まであがっているようです。
地方における多言語施策を進めるには、施策に対する住民の理解を深める等、
まだまだ課題がありそうです。
(ロンドン事務所所長補佐 山口)