【特集記事1】居住者も旅行者もアクセスしやすい街を目指して
(スウェーデン・ヨーテボリ市)
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日本ではバリアフリー(Barrier free)という用語を使う場面において、こち
らではアクセシビリティ(Accessibility)という単語がよく使われています。
すべての人にとってアクセスしやすい、利用しやすいという状態を指し、バリ
アフリーより広い概念のように感じます。ヨーテボリ市(スウェーデン)は、
人口約52万人、首都ストックホルムに次ぐ国内第二の都市で、2014年に高いア
クセシビリティを持つ都市として欧州連合(EU)から表彰されました。同市の
主な取り組みについて紹介します。
◯特性にあわせた移動についての情報提供と訓練
交通局が提供する移動方法の検索システム「Travel Planner」では、検索の際、
個人の障害や特性に応じた条件を設定することができます。例えば、ベンチ付
きのバス停、車内における音声案内、車椅子やベビーカーのスペース、ノンス
テップなどの条件です。システムはスウェーデン語と英語で提供されており、
旅行者も使うことが可能です。また、公共交通機関を使って一人で移動したこ
とがない人に対しては、専門知識を持つインストラクターのサポートのもと、
一人で移動できるようにするための訓練が受けられます。
Travel Planner
< http://www.vasttrafik.se/#!/en/ >
◯市内3,000の公共施設・空間のアクセシビリティ状況の公開
ウェブで公開されているアクセシビリティ情報のデータベース「TD」に、市内
の公共施設・空間の登録を義務付けています。施設ごとに、駐車場、エレベー
ター、受付カウンターなどの有無やその詳細が、写真を添えて紹介されており、
誰でも簡単にその施設や空間のアクセシビリティについて知ることができます。
TDは元々この地域の観光局が中心になって作られたデータベースですが、現在
ではストックホルムやその他のエリアの情報も含め約5,300件の情報が登録さ
れ、5言語で提供されています。
TD
< http://www.t-d.se/en/TD-2/ >
◯ユニバーサルデザイン製品の利用拡大
公共施設で利用する物品について、ユニバーサルデザイン製品の調達を推奨し
ています。具体的には、調達についてのガイドライン制定、専任コーディネー
タの設置、調達プロセスにおける当事者の関与(例えば、高齢者施設における
物品調達については高齢者団体から意見聴取)などにより、調達を進めていま
す。
(ロンドン事務所所長補佐 高坂)