Japan Local Government Centre (JLGC) : London > 調査・研究 > クレア本部メールマガジン > CLAIRメールマガジン vol.268(2021年2月12日)=ジョンソン首相のインフラ戦略

調査・研究

クレア本部メールマガジン

英国

CLAIRメールマガジン vol.268(2021年2月12日)=ジョンソン首相のインフラ戦略

2021年02月12日 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ロンドン事務所】ジョンソン首相のインフラ戦略
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
英国政府が2020年11月に発表した中期支出計画(Spending Review)には、今後の新型コロナウイルス対策のほかに、もう
1つの柱としてインフラ整備が盛り込まれました。この計画に併せて発表された約100ページにも及ぶ「国家インフラ戦略」
には、英国におけるインフラ計画の長期ビジョンが事細かに記されています。具体的には、バスや自転車の道路網の拡充・新設、
イギリスの高速鉄道であるHS2(※1)の開通といった交通インフラから、高速データ通信の改善によるブロードバンド網の増
強や、電動自動車の導入による2050年までのネットゼロ実現といった環境対策まで掲げられています。
また、地域経済の活性化を目的とした地域インフラ投資として、40億ポンドのレベルアップ基金(Levelling up Fund)の設
置も盛り込まれました。今後、エリアごとの道路や鉄道駅の交通整備から地域コミュニティである芸術文化施設等の改修について、
各自治体の申請に基づき基金の拠出を行っていく予定です。

このような国家的なインフラ戦略を打ち出した背景には、ジョンソン首相の強い意志が込められているように見えます。
ジョンソン首相は2019年7月の就任演説で、すでに交通インフラへの投資拡大を掲げており、それ以来、2019年12月の総選挙の
公約や、2020年6月の大規模インフラ投資による経済復興計画「英国版ニューディール政策」など、インフラ戦略はジョンソン
政権下において繰り返し強調されてきました。

世界経済フォーラムが2019年に発表したインフラランキングで、英国は世界11位に位置づけられており、決して低い順位では
ないものの、最先進国とは言えない状況にあります。質の高いインフラ整備は経済成長を促し、生産性を高め、雇用を創出する
ために不可欠な存在である。今後、この戦略がコロナ後の経済回復の要になるのか、引き続き注視していきます。

(※1)HS2についてはロンドン事務所ADレポートもご覧ください。
https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/hs2/

ロンドン事務所所長補佐 高橋

ページの先頭へ