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CLAIRメールマガジン vol.260(2020年10月9日)=コロナ禍におけるイングランド政府によるホームレス支援

2020年10月09日 

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【ロンドン事務所】コロナ禍におけるイングランド政府によるホームレス支援
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3月23日にロックダウンが始まった英国において、イングランド政府(※)は、ホーム
レスに対し”Bring everyone in”(すべてのホームレスに自己隔離のための場所を与える)
という思い切った政策を打ち出しました。長期にわたり路上生活を続けているホームレス
は健康状態も悪く、新型コロナウイルスに感染しやすいため、社会的距離を確保し、衛生
的な生活を送る必要があるためです。

320万ポンド(約4億4,400万円)がイングランド政府から自治体に託され、多くの行政
職員やボランティア団体の協力によってこの大規模なプロジェクトは動きました。ホテル
や学生寮が用意され、タクシーの運転手がボランティアでホームレスを移送しました。ホ
テル等で支援を行った、移住のアドバイザーやボランティア団体によると、主な支援は、
銀行口座の開設など仕事を見つけ路上生活から脱却するために必要な手続きでした。

イングランドでは、5月までにホームレス全体の90%以上にあたる約15,000人が収容さ
れました。国家統計局によれば、イングランドとウェールズでは、16人のホームレスが新
型コロナウイルスにより亡くなっていますが、この政策を講じていなければ、感染者数、
死者数はもっと多かったであろうと言われています。

さらに、イングランド政府はホームレスへの第2段階の支援として、ホームレス対策本
部を設置し、再びホームレスに戻ることがないよう、次の2つの政策を講じました。短期
的な宿泊施設の確保と一時的なサポートの継続に1億500万ポンド(約144億9,000万円)、
長期的な宿泊施設(3,300ユニット)の確保とサポートの提供に1億6,100万ポンド(約222億
1,800万円)です。

コロナ禍においては、家という居場所を保障することが、より求められています。パンデ
ミックは、これまで政府が数年間かけて取り組もうとしていたホームレス支援を推進する大
きなきっかけとなりました。

(※)英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランドから構成さ
れる連合王国です。外交を除く政策の多く(住宅とホームレスへの支援を含む)は、各自治
政府の所管となっており、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランド政府においても
イングランド政府と同様の政策が講じられました。

ロンドン事務所所長補佐 萩ノ脇

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