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【ロンドン事務所】移りゆくロンドンのアルコール飲料市場~大量消費時代からの変遷~
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英国と言えばサッカーや紅茶、最近ではブレクジットを思い浮かべる人も多
いかと思いますが、お酒やおしゃべりが好きならパブは外せません。パブでは
老若男女問わずグラスを片手に沢山の人がおしゃべりに興じています。ロンド
ン市内のパブは夕方になると混み合い、週末ともなるとどこも満員で店の外に
まで人があふれています(実は外で飲むことが好きな人も多く、店に入ると外
よりも空いていることもしばしば)。規模も、飲み物とスナック菓子程度しか
置いていないような小規模な店舗から、1階は酒中心、2階はテーブル席でフ
ィッシュ&チップスやパイなどの食事を提供するガストロパブなど、その種類
や規模はさまざまです。店舗によっては食事がタイ料理中心の所もあります。
このようにパブは英国文化を象徴する一つであり色々な楽しみ方ができます。
しかし、世界的な健康志向もあって英国のアルコール市場規模も縮小を続け
ています。英国ワイン・スピリッツ協会(WSTA)によると、2017年の英国のア
ルコール市場規模は£40.3bn(約5.5兆円)であり、2004年のピークを境に縮小
しています。また、2017年の15歳以上の一人当たりのアルコール消費量は9.7リ
ットルであり、これは2004年と比較して1.9リットルも減少しています。内訳を
みると、家での酒類の消費量は横ばいであり、消費の減少分はほぼ外食分とな
っています。ロンドン市の報告では、2011年には4,835店あった市内のパブは
2017年には3,530店と約4分の3になっています。
一方、アルコール飲料全体の縮小に反して、近年では味やスタイルを売りに
したクラフトビールやクラフトジンが増えています。2013年と2017年の比較で
はそれぞれビールの醸造所が1,352件から2,266件に、ジンの蒸留所も152件から
315件と大幅な増加を見せています。この流れはここ1、2年で少し落ち着いて
いるようですが、それでも醸造所や蒸留所の増加は続いています。製品には個
性豊かなものも多く、使用している原材料や、製造装置にこだわったりするな
ど、色々な付加価値を付けて売られており、価格も大手メーカーのものよりも高額です。
このようにアルコールの消費自体は減っていますが、安価で大量消費をする
というよりも多少高価でも飲料そのものの味やストーリーを楽しむというスタ
イルに移行しているようであり、この流れは英国市場で日本の食品をPRする際
に一つのポイントになると考えられます。
ロンドン事務所 所長補佐 野坂