イギリスの総合大学UCL(University college London)では、2015年よりJapan Youth Challengeというサマースクールを実施しています。このサマースクールは、日英の高校生が約1週間のプログラムを通じて学習し、互いに文化交流を行うというものです。新型コロナウイルスの影響を受け2019年以降オンラインにより開催していましたが、2023年は4年ぶりにイギリスでの現地開催となりました。
今年は7月21日から30日にかけて開催され、28日には筆者の派遣元である福島県がUCLと共催で、サマースクールと同じく4年ぶりに、2回目となるシンポジウム及びレセプションを行いました。これは、福島県が2015年にUCLと国際交流の進展や情報発信の促進等に向けた覚書を締結したことに基づいています。シンポジウムでは県広報課長が「ふくしまの今」をテーマに講演を行い、レセプションでは筆者もスタッフとして参加し、福島県産の食品や日本酒、ジュースを参加者にふるまいました。会場は大盛況で、参加者から「この食品を買いたい。」といった声も聞かれました。
今回のシンポジウム及びレセプションでは福島の食の安全・魅力を発信しましたが、このような取組みの成果は数字にも表れています。福島県の農林水産物の輸出量は震災前を上回り、2021年には432トンと過去最高を記録しました。(※1)また日本全体においても、原発事故による海外の輸入停止や規制があったものの、同年には初めて農林水産物・食品の輸出額が1兆円を突破し、2022年には過去最大の1兆4,140億円に上るなど、これまで以上にその規模を拡大しています。(※2)
今年の6月にはイギリスで日本産食品への輸入規制が撤廃され、8月にはEUでも規制が撤廃されました。これらを契機にして、海外でより一層多くの人々が安心して日本産食品を食べる機会が増えることを期待します。
ロンドン事務所 所長補佐 佐々木
(参考資料)
(※1)復興庁「数字で「知って!」「食べて!」「行こう!」福島」
https://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2018/fukushimanoima/shiru/infographic/index.html
(※2)農林水産省「令和4年(2022年)農林水産物・食品の輸出額」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/attach/pdf/zisseki-11.pdf