今年7月、熱波がヨーロッパを襲い、フランスやスペインなどでは大規模な山火事が発生しました。イギリスでも、7月19日にイングランド東部のコニングスビーで過去最高の40.3℃、ヒースロー空港周辺でも40.2℃を観測(2019年7月25日にケンブリッジで記録した38.7℃を更新)したほか、高温や乾燥が原因と思われる火災の発生、避暑を求めた子どもたちの水難事故などがトップニュースで終日報道されておりました。
さらに、身近なところでもこの熱波の影響を受けました。この日は高温による線路の歪み等で鉄道ダイヤの乱れが発生し、帰宅時に乗車した地下鉄が途中で運転中止となる事態が発生しました。家の近くの大型スーパーではトマトなどの一部の野菜やミネラルウォーターが品切れになり、またスーパーの冷凍・冷蔵ケースが十分機能しなかったために肉や魚などの生鮮食品が全く買えなくなるという事態が発生しました。
イギリスは通常であれば、最高気温が30℃に達することは少なく、また湿度も低いため、夏でも比較的快適に過ごすことができています。そのため、現在もほとんどの住宅に冷房機の設備がありません。私はこの熱波を冷房機なしで乗り越えることができるか不安でしたが、ニュースで「夜から朝方にかけて窓を開けて冷たい空気を取り入れ、とにかく部屋を冷やしてください。日が出てきたら、窓とカーテンを完全に締め切り、外から熱が入らないようにしてください。」と繰り返し注意喚起していたので、このやり方を試してみました。すると、家の外はうだるような暑さにも関わらず、家の中は意外と快適に夕方まで無事に過ごすことができました。
イギリスではNetZero(温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする)に向けた取り組みが進められており、我々の身近なところでもこのような動きが見受けられます。
例えば交通においては、2019年に車の排出ガスについてULEZ(超低排出規制ゾーン)がロンドンに導入されたところですが、そのさらなる削減のため、このULEZの拡大が現在検討されています。また、個人の消費においても、牛の排出するメタンガスが地球温暖化に悪影響を及ぼすという考え方がその他のベジタリアン志向の理由とあいまって、牛肉や牛乳を回避し、代替肉(大豆ミートやジビエなど)や代替乳(ヤギのミルクやオーツミルクなど)を選択する動きにさらなる拍車をかけています。
ニュースで知った今年6月の日本での記録的猛暑、そして今回のイギリスでの熱波の経験を通じて、地球温暖化が加速してきていることを、身をもって感じました。私も日本にいるときにはあまり意識できていませんでしたが、地球温暖化を防ぐために自分たちができることは何か、一度立ち止まって真剣に考えなければいけない時期が来ているのではないか、と強く感じています。
ロンドン事務所 所長補佐 西田