【記事】「British Sake」は日本酒の英国市場拡大の起爆剤になるか?
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5月に、ロンドン南東部のペッカムに、英国で初めての日本酒の酒蔵「Kanpai」
がオープンしました。日本へ旅行した際に日本酒に感銘を受けた英国人夫婦
が作った醸造所で、現在「純米酒」と「にごり酒」の2種類が作られています。
6月中旬からはロンドン市内の有名百貨店・セルフリッジズにて、各16ポンド
(2017年6月現在約2,300円)で購入することができます。
また、大阪の酒造会社「堂島麦酒醸造所」も英国ケンブリッジシャーにおける
日本酒の酒蔵の設立を進めており、来年1月にフルオープンすることとされて
います。
ロンドンでは、日本食材店や日本食レストランで有名銘柄の日本酒が売られ、
楽しまれているものの、高価で「富裕層が楽しむもの」といった印象が強くあ
り、日本酒に関する理解は進んでいるとはまだまだ言えません。
例えば、日本酒を飲んだことのないヨーロピアンの方からのよくある質問のひ
とつに、「日本酒は強いお酒なのではないか」というものがあります。日本酒
をおちょこで飲むスタイルは、ショットグラスで飲むウォッカなどの強い蒸留
酒を想起させるそうです。そこで、ワイングラスでサーブし、「ワインと同程
度かわずかに高い度数」であることや「ゆっくり楽しむお酒であること」など
を説明することで、安心して飲んでいただけます。
英国での酒蔵の相次ぐオープンにより、英国における日本酒市場全体の今後の
拡大だけでなく、日本酒の楽しみ方や知識の浸透も期待されます。言い換えれ
ば、日本の自治体や日本酒の作り手にとっては、近い将来、英国における日本
酒PRの好機が訪れるのではないでしょうか。
(ロンドン事務所所長補佐 高桑)