カテゴリー別アーカイブ: 調査・研究

外国人児童・生徒への教育を強化する必要がある

2010年12月01日 

 スウェーデンのプレスクール(就学前教育)や基礎学校(義務教育)で、教師が外国人児童・生徒のニーズに対応できないため、生徒たちが授業についていけなくなっていることが学校監察庁(Skolinspektionen)の調査によって明らかになった。
 学校監察庁は、12都市で21のプレスクールと21の基礎学校を対象とした調査を行い、様々な文化的背景を持った児童・生徒たちへの教育を改善・強化するための手段を検討した。「スウェーデンのすべての子どもたちは母語がスウェーデン語であるなしに関わらず、教育を受ける権利がある。しかし学校運営において、そうした子どもたちへの対応が不十分であるため、学習に遅れが生じ、学習目標を達成することが難しくなっている」と学校監察庁の調査担当者Agneta Ericsson氏は述べている。スウェーデン・ラジオは、外国人児童・生徒のうち、4人に1人が義務教育終了時に到達すべき学力を達成しないで義務教育課程を終えていると伝えている(スウェーデン人生徒の場合、10人に1人の割合)。
 学校監察庁の調査によると、学校での指導では、多言語・多文化の視点が欠けているため、外国人児童・生徒が授業を理解しやすい状況を生み出すことができていないと指摘している。教員も外国人児童・生徒が話す言語や文化についてほとんど知らず、授業や学校活動において、子どもたちの持つ様々な文化的背景や経験が活用されていない。そして、学校側は子どもたちの教材や学習の習熟度の追究ができていない。このため学校側には、子どもたちの持つ様々な文化的背景を理解し、学習カリキュラムに反映させるなど、外国人児童・生徒の教育に早急に取り組むことが求められているとしている。またプレスクールでは、子どもたちの母語習得を補助する必要があるとしている。そして必要があれば、子どもたちの母語での指導を行うことで、第二言語としてのスウェーデン語の習得を促すことを提案している。

【出典】The Localのウェブサイト
http://www.thelocal.se/30518/20101130/


基本法における自治の強化

2010年11月30日 

 本日国会は(2度目となる)地方自治を明確に強化する基本法の改正を議決した。自治の強化によって、地方自治体と州議会がよりよい業務を行い、住民の日常生活に密接した施策決定を行なうことが容易になる。
今回、国会での決定によって、地方自治体は基本法内に特別な条項を与えられ、そこでは地方自治の原則が顕著に示されている。地方及び広域行政区の公共関連諸事業については、当該地方自治体の実情や状況を基準として運営・管理することが、新しい条項に明記されている。また国会は基本法の改正と併せ、地方自治体法についても、特別選挙を可能にする要件や住民投票の手続といった、重要な改正について決定した。
 「今回の国会の決定は、スウェーデンの民主主義における地方自治体の特別な立場を明確に示したものだ。またこれはEUの法律制度への適合でもあります。国民にとっては、彼らの選択した地方自治体や州議会の政治的代表者よる自治を強化するという意義がある。」と、SKLのアンデシュクナーペ理事長は語っている。
 本改正事項では、例えば、 政体法における均衡に関する重要な原則が明記され、これによって政府と国会が自治を制約することが困難になっている。またこの原則によって、立法機関は最小限の介入措置により目的を達することができるように、代替案について充分な調査検討を行なう責任を負うことになる。もし同等の目標を達するのに幾つかの選択肢があるならば、国会は自治体の自主的な意思決定権に出来る限り抵触しない方法を選択する義務が課される。
 「基本法により明白な支援が得られたことは、地方の民主主義にとって非常に喜ばしいことだ。」とアンデシュ・クナーペ理事長は語っている。

【出典】
スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2010年11月30日発行)http://www.skl.se/web/Starkt_sjalvstyre_i_grundlagen.aspx


身寄りのない年金生活者から成る、行き場のない世代

2010年11月23日 

社会的正義をテーマに研究を行う独立系シンクタンクの「Centre for Social Justice」は本日、離婚や家庭崩壊、職を求めて移住する人々の増加傾向により、介護者の当てのない身寄りのない年金生活者世代が生み出されているという報告書を発表した。この報告書ではまた、現在に加えて170万人の年金生活者が今後20年以内に自立して生活できなくなる見通しだと述べており、「不気味に迫る危機」に対処するよう政府に要求している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 23.11.2010


官公庁の60パーセントがソーシャル・メディアを利用

2010年11月23日 

 SKLが実施したアンケート調査によると、コミューン(基礎的自治体。日本の市町村に相当)、ランスティング(広域自治体)、リージョン(州)のうち60%がYou Tube、Twitter、Facebookやブログなどのソーシャル・メディアを利用している。利用目的は主に市民との意見交換や広報活動である。
 現在、ソーシャル・メディアを利用していない他の公的機関も、大部分がすでにその活用計画に着手している。

—「コミューンやランスティングでは、どのようにこれらのソーシャル・メディアを利用すればよいか、非常に高い関心を持っている。これらの公共機関が互いの経験や利用結果を活かし、最適な方法でソーシャル・メディアを利用できるよう、我々は今回のアンケートで得られたデータを分析している。」とSKLのモニカ・ビョルクルンド・アクネス情報部長は述べている。
コミューンとランスティングはすでにソーシャル・メディアの熱心なユーザーで、それらの60%以上が何らかのソーシャル・メディアに参加している。さらに現在、同メディアを利用していないコミューンとランスティングの大部分も、市民との意見交換や広報手段としての利用を計画している。 『当面、利用計画無し』と回答したランスティングは皆無で、コミューンでも10%にとどまった。また様々なソーシャル・メディアのうち、最も多く利用されているのはFacebookで、続いてYou Tube、Twitter、ブログの順であった。

—「この他、コミューンの場合は例えば文化やレジャー、学校関係にFacebookを利用しているのが一般的だ。」とモニカ・ビョルクルンド・アクネス情報部長は述べている。
ソーシャル・メディアに参加する二つの主な理由は、住民との意見交換及びニュースの伝達手段としてであるが、社会環境の保護や職員の採用のための広報手段としても多く利用されている。

—「しかしアンケートの結果からは、いまだ法的な位置づけに関する疑義があることが伺われる。この点に関してSKLは、すでに法的適合性審査を行い、チェックリスト案を紹介しているが、引き続きこの分野での状況変化を注意して見ていきたいと考えている。」とモニカ・ビョルクルンド・アクネス情報部長は述べている。
アンケートの回答者の多くは、ソーシャル・メディアの活用を思い切ってやって見ることが必要、と明確に指摘している。

—モニカ・ビョルクルンド・アクネス情報部長は「回答者の多くが、なぜソーシャル・メディアを活用することが必要であるかを熟考し、リスクも覚悟で試してみることが必要と答えている。ある回答者は、『ソーシャル・メディアの利用は思っているほど危険ではないし、恐ろしいことでもないだろう』と書いている。」と述べている。

【出典】
スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2010年11月23日発行)http://www.skl.se/web/Over_60_procent_anvander_sociala_medier.aspx


駐車違反の罰金が2倍の120ポンド(約16,200円)に

2010年11月22日 

全国的に自治体が駐車違反の罰金値上げを予定しており、現在の約2倍である120ポンドになりそうな見込みである。
自治体は、ロンドン以外における現在の罰金の最高額70ポンド(約9,450円)は、駐車違反を抑止するには不十分だと主張しており、また英国駐車場管理協会(British Parking Association)も、駐車場管理にかかる費用の増加に対応するには更に資金が必要だと述べている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 22.11.2010


校長が当局を欺く

2010年11月18日 

校長たちは政府による査察をごまかしており、公立学校生徒の行動については、公式見積数値より悪いはずだと国会議員が警告している。
下院教育特別委員会に出席したベテラン教員は、教育評価局の査察の際、学校は生徒たちの問題行動から注意をそらすような様々な手段を用いたと証言した。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 18.11.2010


コミュニティ・インフラ税にコミュニティへの支出を含める

2010年11月18日 

2010年11月18日、グレッグ・クラーク地方分権担当大臣は、前政権が創設したコミュニティ・インフラ税(CIL)については継続するが、若干の制度変更を行う旨を発表した。
この税は、開発業者にインフラの費用を負担させる上での公正な手法と認められている。新政権が変更を予定しているのは、徴収された税の一部について、新たな開発が行われる地域のコミュニティに配分されるようにし、そのお金が当該地域の何に支出されるべきか(例えば、公園の改良や自転車道の整備などといった小規模なプロジェクト)について住民がより直接的な発言権を持てるようにしたり、あるいは青少年センターやレジャー施設などの自治体による大規模プロジェクトに貢献できるようにしたりするということである。


地方自治体の自主的な合併が増加する見込み(市町村の.完全合併の計画によって地方議員は削減に直面)

2010年11月18日 

イングランド地方自治体境界委員会(LGBCE)は、たとえ当該自治体が反対であっても合併を強制的に行わせる権限を持っており、かつて政府がユニタリー(一層制自治体)化を推し進めるにあたって行使されたこともあるが、現在ではその権限が行使される予定はない。
しかしながら、現在の地方自治体を取り巻く厳しい環境下で、いくつかの小規模自治体では、単なる管理部門や特定サービスの統合のみならず、自治体自体の合併についても検討が行われている。このため自治体境界委員会では、地方自治体による課題への取組を支援するため、地方議員の定数変更や自主合併といった問題に対処する方法を示した2つの専門文書の作成に着手した。
*参照 The MJ 18.11.2010, front page


自治体は余剰人員のコストを懸念

2010年11月16日 

政府の決定した予算編成方針に伴い、自治体は歳出削減を行うために人員削減を強いられることとなるが、いくつかの自治体ではその余剰人員削減コストの支払いに苦しむことになると自治体が政府に警告している。
今回のケースでは、定年退職者不補充などの人員の自然減だけでは対応は不可能だろう。なぜなら、歳出削減の前倒しに対応するため、自治体は仕事を先に削減しなければならなくなるからだ。LGA(地方自治体協議会)のマーク・ルートレイ財務部長は「今回の歳出削減は前例のない規模のものであり、職員配置をどうするかは大きな問題である。自治体の余剰人員削減がどれくらい難しいことであるかについて、決して思い違いをしてはならない」と述べている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 16.11.2010


連邦政府が予算案に合意

2010年11月15日 

 与党の社会民主党(SPO)と人民党(OVP)は、2010年10月22日、23日に温泉地ロワパースドーフの非公開会議をへて2011年予算について合意に達した。これに伴い、2014年までの予算基本計画、税制及び緊縮財政計画も同時に合意された。
 この中では、鉱油税(2011年増収額 4億1700万ユーロ)、タバコ税(同 1億ユーロ)の税率引き上げ、銀行税(同 5億ユーロ)、航空券税(同 6千万ユーロ)の導入、株式投資に係るキャピタルゲイン税(同 3千万ユーロ)、株式投機のブロッキング期間の廃止、及び各財団への課税強化(同 5千万ユーロ)が含まれている。
 これに加えて、年金について受給対象となる労働者や病気事由に関しての規制がより厳格化される。年金及び家族手当に係る歳出削減(2011年削減額 約2億5400万ユーロ)及び長期介護手当に係る歳出削減が計画されている。
 一方、1億ユーロ規模の温泉リハビリテーション施設への投資が行われるほか、大学(8千万ユーロ)及び学校(8千万ユーロ)への補助金が増額配分される。研究報奨金が8%から10%へ引き上げられ、これに1億ユーロの予算が充てられる。医療保険機構の構造基金には4千万ユーロが充てられる。また毎年、4億ユーロの予算が特別優先事業に充当されることとなった。

 会議後に予算の概要を発表した財務相及び財務副大臣は、今回の予算に満足していること、及び会議において建設的な議論ができたことを強調した。「今回の予算は、安定的な経済社会運営を保障するものであり、社会的に均衡のとれたものとなっている。我々は近年、予測よりも大きな財政赤字削減を達成しており、歳入増加の3分の2は家庭に負担増を求める一般国民向けの税からでなく、銀行や金融資産に起因するような仕組みとしている。」と財務相は強調している。財務副大臣も「公正な負担配分」であることをアピールした。この新しい予算は、財政赤字の罠からの脱却の起点となる。

 財務相によれば、2011年の総税収額は12億ユーロ(ここから通勤者、運送業者、債務者への還付金が支払われる)となる見込みである。税収は2014年までに22億ユーロへ増加することが予想されており、財政赤字は2011年の3.2%から継続的に減少して2014年には2.2%となると見込まれている。歳出は2011年に16億ユーロ削減され、2014年には33億ユーロ削減される計画となっている。

【出典】オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6892/default.aspx#id41359


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