カテゴリー別アーカイブ: 調査・研究

金融危機のオーストリアでの影響等

2009年03月12日 

 オーストリア国内での失業率が急上昇している。これまで5%前後で推移していた失業率は、2009年の1月末の時点で8.3%まで上昇した。
 これは先月比の12.2%増となり、国内では301,529人が失業者として登録されている。この傾向は特に若い世代で顕著であり、若年労働層の22.9%が失業状態にある。
 これまでプラス成長を続けてきた国内経済も、8年ぶりとなるマイナス成長が見込まれている。国内需要の減少と、輸出相手国内の需要の減少を理由として急激に輸出額が落ち込んだ結果として、オーストリア国内の経済調査機関「WIFO(オーストリア経済調査研究所)」の調査では、2009年のGDPは0.5%のマイナス成長となる見込み(2008年12月時点での発表)、また1月19日に発表された欧州委員会の調査結果によると、前年度比でマイナス1.2%となる見込みということである。

【出典】
オーストリア連邦政府ウェブサイト
http://www.bka.gv.at/site/6632/default.aspx#id33669
在オーストリア日本国大使館
http://www.at.emb-japan.go.jp/jp/index.html

【参考】
CIA The World Factbook https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/
Budapest Business Journal
http://bbjonline.hu/
WIFO(オーストリア経済調査研究所)
http://www.wifo.ac.at/


連邦政府の行政手続簡素化・規制緩和に地方自治体の参加

2009年03月12日 

 2006年四月、ドイツ連邦政府は行政手続に伴う負担を軽減するプログラムを議決し、開始させた。
 その目的は、連邦政府の規制で義務付けられている情報提供のために、企業、市民、そして行政自体に現在かかっている負担を軽減することであり、連邦レベルだけでなく、州及び地方自治体も含まれている。
 情報提供のために現在かかっている負担とは、たとえば情報の提出、申請書等の記入、関連資料の収集や保存などである。目標は、2011年までに情報提供による負担をすべて把握し、25%カットを実現することである。このため、欧州で広く使われているオランダ政府が開発した「標準コストモデル」を利用することになっている。プログラムを発足させたと同時に、独立した機関として、「国立規制監理委員会Nationaler Normenkontrollrat」を設立した。この委員会は、目標を達成するために助言を行うほかに、新しい規制がもとらす負担を最低限に抑えるために行動する。
 最初の軽減対象は企業に対する情報提供負担である。2006年末までの間、すべての連邦官庁は、企業に情報提供を義務付けられているEUまたは連邦規制による情報提供は1万900件が存在すると明らかにしてきた。そのうちの2100件の情報提供だけで、約270億ユーロの費用がかかった。負担の内容と分量が明らかになったため、次のステップはいくつかの段階に分けて負担を軽減することである。2009年末まで企業に対する情報提供の負担を4分の1に軽減する予定である。

 他の事業もこれから始まっている。市民や行政に対する負担の削減が目的になっているため、地方自治体は市民にサービスを提供する重要な主体のひとつとして最初からこの問題への対応に参加していた。
 2009年2月に初めて連邦、州および地方自治体すべてが関係するモデル事業が発足している。その内容は、住居手当(低所得者に対する手当て)と両親手当て(子供が生まれた後に子育てのために仕事が休めるよう、減った収入分を補填する手当て。両親のうち一人に支給される。)の申請と支給に関する負担の調査である。現在、年間では住居手当に対する申請は100万件(初申請、再申請、変更申請を含む)、両親手当ては75万件である。
 モデル事業では、法に基づく申請から決定通知までその過程すべてにおける、市民に対する情報提供の負担、そして行政に対する情報提供の負担等を調査することとなっている。また、他のサービス(たとえば、両親手当ての場合、児童手当の申請とその支給)との重複や関連には配慮することも重視される。

 地方自治体を代表する自治体3団体(ドイツ都市会議、ドイツ郡会議及びドイツ市町村連盟)はこのモデル事業へ参画し、地方自治体にとっては、行政手続による負担を軽減することは、市民のためだけでなく、行政内部の簡素化のためにも重要であると強調している。

【出典】

REGIERUNGonline, ‘Bürokratieabbau
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/DE/Buerokratieabbau/buerokratieabbau.html

Pressemitteilung der Bundesregierung 11. 2.;19.2.2008
http://www.bundesregierung.de/nn_1494/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-11-nkr-pilotprojekt.html

http://www.bundesregierung.de/nn_1272/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-19-buerokratieabbau-bund-kommunen-vereinbaren-zusammenarbeit.html


ノルウェー政府が石油基金を景気対策に使用

2009年03月12日 

ノルウェー政府は石油売買の利益によって蓄えられた潤沢な2,220億ポンドの国家基金を使った新しい財政支出を行う見込みである。
ストルテンベルグ首相は、「好況時には基金は厳しく保持・管理されてきたが、景気減退が始まっている現在は、この基金を使いはじめる時である」と語っており、今後、中央銀行の利下げと共に大規模な財政支出が予定されている。この財政支出は主に、学校やインフラ建設といった公共事業に支出され、地方自治体に対して多くの予算が与えられる見込みである。
非EU国でありながら、順調な経済発展を遂げてきたノルウェーであるが、現在は失業率の増加、不動産価格の下落等、EU各国と同じ問題に悩まされている。

【出典】
Financial Times
http://www.ft.com/cms/s/0/c601f6aa-ca47-11dd-93e5-000077b07658.html


収斂プログラム2008の策定

2009年03月12日 

2008年12月、デンマークの収斂プログラム(Denmark’s Convergence Programme 2008)がEUに提出された。
EU加盟国は、EU安定成長協定(Stability and Growth Pact)に基づき、加盟国の財政政策の監視と協調等のため、中長期的な財政政策等について、EU加盟国のうちユーロ加盟国については安定プログラム(Stability Programme)を、ユーロ非加盟国については収斂プログラムを、毎年提出することとなっている。
今回のデンマーク収斂プログラム2008は、2007年8月に策定された2015年計画(2015-plan)のアップデートでもあり、2008年12月に発表された経済調査概況(Economic Survey December 2008)等に基づいて策定された。
当該プログラムは、2015年までの財政政策の基本方針と優先事項についてまとめたものであり、昨今の世界金融危機によって厳しい状況におかれてはいるものの、2015年までの財政の持続可能性と構造的な黒字化に向けて、順調に進んでいるとしている。
これらの目的を達成するため、2万人の雇用創出や、最近の平均従業時間の短縮に対抗するような構造的改革が、実施されているとしている。

【出典】
デンマーク財務省ウェブサイト
http://uk.fm.dk/Publications/2009/Denmarks%20Convergence%20Programme%2008.aspx
ECウェブサイト
http://ec.europa.eu/economy_finance/sg_pact_fiscal_policy/fiscal_policy528_en.htm


リージョン制導入への道が開かれる

2009年03月12日 

 Radio Swedenによれば、スウェーデンの連立与党である中道右派連合(穏健、中央、自由、キリスト教民主)は、今後の地方自治体の組織のあり方について、ついに合意に達した。
 その内容は、最近の政府の調査報告書が、すべてのカウンティを廃止してリージョン制へと移行すべきであるとの提案に対し、より緩やかな内容となっている。

・現行のカウンティカウンシル(County Council・・・県に相当する自治体)に代わり、これらが合併して、より広域のリージョン(region)を形成することを認める。
・リージョン制導入を希望する地方自治体は、政府機関に対し申請書を提出する。
・ただし、必ずしもすべてのカウンティがリージョンに移行することを強制するものではない。カウンティカウンシルがリージョンに移行することを望まなければその必要はない。
・既に、試験的にリージョンを導入しているヴェストラ・ヨータランドとリジョン・スコーネは継続することを認められる。

【出典】
Radio Sweden 2009年1月28日より
(http://www.sr.se/cgi-bin/International/nyhetssidor/amnessida.asp?programID=2054&Nyheter=0&grupp=3574&artikel=2597550)


必要とされる電子身分証明のための新しい方法

2009年03月12日 

 行政開発庁(Verva =Verket för förvaltningsutveckling)*は、そのレポートで、民間企業が将来も引き続き電子身分証明の全面的な責任を担い続けることを提案している。
 SKLは、その意見書の中で、電子身分証明には、現行のソリューションの修正ではない新しい方法を考案することを求めている。
 「電子身分証明は、電子による個人番号に相当するものを含むものですから、国が責任を持つべきです。市場は、それに従ってこの『電子個人番号』の保有者の電子身分証明書(カード)を発行することが可能となり、スウェーデンは、長期的に維持できる電子による認証処理のシステムを確保することができます」とSKL の議長アンダーシュ・クナーペは述べる。
 「Vervaの提案は、コミューンおよびランスティングの持つニーズに配慮していません。その上、コミユーンおよびランスティングへの影響の分析や結果の判断がなされていません」とSKL の議長アンダーシュ・クナーペは述べる。
 詳細はこちら(スウェーデン語)http://www.skl.se/artikel.asp?A=55811&C=2977

*英語でSALAR(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のことを指す。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2008年11月25日発行分)


子供の負債を防止するためには新しい法律が必要

2009年03月12日 

 より良い法律の制定によって、コミューンおよびランスティングへの支払い義務を、青少年ではなく両親に肩代わりさせることができるようにすべきである。
 SKLは、コンピューター監督局からのレポートでそう主張している。
 レポートは、債務が発生した時点で未成年だった人に対する現在続行中の支払い要求の案件が、79,500件余りもあることを示している。公共部門での貸付金には、予約無断キャンセル時に課される医療費、公共交通機関での罰金、返済されない図書館の書籍などがある。
 「現行の法律では、支払い義務が子供たちに課されることとなるため、子供たちが負債を負うリスクがあります。私たちは、両親がその子供たちの支払い義務を負うようにするために法律を改正することが望ましいと思っています」とSKLの法律担当、オロフ・モーベリィは述べる。
 詳細はこちら(スウェーデン語)http://www.skl.se/artikel.asp?A=55698&C=2977

*英語でSALAR(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のことを指す。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2008年12月02日発行分)


(国は)コミューンおよびランスティングに投資せよ

2009年03月12日 

 「現時点で未だにコミューン部門への資金配分が含まれていないことは残念です。政府からの地方自治体経済活性化措置についての返答を期待しています」政府の経済活性化パッケージについて、スウェーデン・コミューンおよびランスティング連合議長アンダーシュ・クナーペは、このように述べた。
 来年中には、ランスティングの半数が活動の低減を余儀なくされる。またそれはコミューンの多くにも当てはまり、すでに今年中に60余のコミューンは赤字決算を予想している。
 コミューンおよびランスティング内での就業率を維持するために特段の経済活性化対策が必要である。
 政府は、職業紹介所、職業教育、ROT税金控除の施行(持ち家およびマンション修理経費に対する税金控除制度、費用の50%を控除できる)、インフラストラクチャーへの特別な資金配分を決定している。
 詳細はこちら(スウェーデン語)http://www.skl.se/artikel.asp?A=55811&C=2977

*英語でSALAR(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のことを指す。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2008年12月09日発行分)


憲法による自治体自治権の大きな前進

2009年03月12日 

 SKLは、自治体の自治権の強化についての憲法調査会の提案を歓迎する。
 「(提案は)良い仕事をするための地方自治体部門の権限の拡大に重要な意味を持つ大きな前進です」とSKLの議長、アンダーシュ・クナーペは述べる。
 今日、発表される憲法調査会の提案によると地方自治体部門の地位について、憲法に特別の独立した章を与えられる。
 「これは、スウェーデンの民主主義に地方自治体の自治権が特別な意味を持つ事を非常に明確に意思表示したものです」とアンダーシュ・クナーペは述べる。
 調査会は、また自治権への不必要な侵害を不可能にする「均衡原則」の導入を提案している。政府はそれぞれの法案における自治体の独立決定権への侵害の程度が、達成したい目的に照らして妥当であるか否かの判断をしなくてはならない。さらにその後、立法委員会(www.lagradet.se)が最終的な監督機関の機能を果たす。
 「これは、自治権への制限の妥当性について検討する機関が2つあることを意味し、良いことです。このような「均衡原則」を私たちは長い間申し立ててきたのです」とアンダーシュ・クナーペは話す。
 「またそのような手順は、政府と自治体間における良く機能する正式な協議システムを前提としており、SKLはそれも求めてきました。継続的な対話は、政府と自治体部門の間での良い協力関係の最良の基盤です」
 憲法調査会は、また現在の自治体の税システムが憲法に反するものではないことを確保するため、このシステムを憲法に含める可能性も提案している。さらにコミューン法の幾つかの変更が提案されている。そのような提案の中には、コミューンが例外的な状況時においては選挙の実施を可能にすること、およびコミューンで住民投票を求める市民の権限を強化することが含まれている。

* SKLとは、英語でSALAR(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のことを指す。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2008年12月22日発行分)
http://www.skl.se/artikel.asp?A=55811&C=2977(スウェーデン語)


「沿岸の土地」(建築許可)を過疎地の誘致対策にせよ

2009年03月12日 

 過疎地のコミューンにはその沿岸の土地を競争上の強みとなるように利用できるようにさせよ。全国の多くの地域には、アウトドア活動や野生動植物に害を与えずに建築開発が可能である長い岸(湖岸/海岸)がある。
 SKL議長、アンダーシュ・クナーペは討論記事にこのように書いている。
 環境省は、過疎地ではより建て易く、過密地では建てにくくなるようになる良い提案を作成している。
 コミューンは、この提案を歓迎しており、従ってその方向に従った法案が提出されることを期待している。私たちは新しい沿岸保護規定を100%サポートする、とアンダーシュ・クナーペは書いている。
 現行のシステムは、非効率的で一貫性がなく、不明瞭である。現在、利害の対立による数百件もの沿岸保護の(裁判)案件が全国各地で進行中である。しかもそれらの最終判断が、合理的に決まるのかまたは行き当たりばったりなものになってしまうのかも判断しにくい状況にある。

*SKLとは、英語でSALAR(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のことを指す。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年1月13日発行分)
http://www.skl.se/artikel.asp?A=55811&C=2977(スウェーデン語)


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