就職もせず職業訓練も受けていない「失われた世代」の若者数が初めて100万人を突破したことが、昨日の発表で明らかになった。
約5人に1人の割合で、学校を卒業した16~24歳の若者がニートとなっており、彼らの多くは給付金で生活をしている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 20.11.2009
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クィーンズ・スピーチ
2009年11月20日政府は昨日のクイーンズ・スピーチ(女王による政府の施政方針演説)で、今季国会で法制化を目指す優先事項の概要を示した。
スピーチで示された法案には、貧困者への在宅介護の無償提供、教員に新たな教員免許の取得を要求すること、地方自治体に洪水の危機管理への責任を与えることなどが盛り込まれている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 19.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=5925895)
待ち望んでいた提案
2009年11月17日 職業紹介所および保険局と各自治体の生活援助部門、労働市場部門、および難民担当部門との密接な協調関係を築く試みに少なくとも15自治体が参画することとなった。
この試みは、調査グループ“地域サービスの連携改善”から行われた提案によるものであるが、SKL、スウェーデン地方自治体および州議会連合は、この提案を賛意をもって迎えている。
― この提案を私達は待ち望んでいました。私達は長い間、地域レベルでのリハビリテーリング、労働および生活を担当する部門の関係者相互間における協調関係を強化することのメリットを主張してきました。と、SKL、スウェーデン地方自治体および州議会連合のアンデシュ・クナーペ理事長は語っている。
SKLでは、“共通の入り口”と言う呼称の下に地域レベルでの組織統合化のモデルを独自に立案していた。すなわち、複数の組織から何らかの措置を受ける必要のある人々は、各組織間の間隙に埋没するリスクを負ってはならないとするものである。 例えば、ノルウエー、デンマーク、イギリスなど幾つかの国々においては類似の福祉組織が開発されている。
第一段階として調査グループは、政府の専任チームに改善組織を創設する任務を付与し、少なくとも15地方自治体が参画して試験的に運営するよう提案している。この試行結果は、全国的規模で新組織を運営する際の基盤とし、最終目的は 長期的、かつ協調して活動し得る福祉組織を形成することである。
― この組織改善計画、“共通の入り口”は、各地方自治体から非常に高い支持を受けているため、2010年度中にも試験的運営を開始できるよう国会のすべての政党が合意することをSKLは期待しています。
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年11月17日発行分)
オーストリア公共放送に対する欧州委員会の調査
2009年11月16日 10月28日に欧州委員会は、オーストリア放送協会の財政状況に関する調査を終了した。
オーストリア政府が個別の法律の改正に合意し、国家補助に係る同協会の財政計画はEU規制を遵守しているという結論となった。欧州委員会のコミッショナーは、「オーストリア政府の合意内容は、高い質の公共サービスを提供しつつ、放送・通信分野における競争性を維持するという観点からバランスがとれた内容となっている。」と話している。これにより、5年間にわたって実施されてきた調査が終了した。
放送・通信省大臣のジョセフ・オスターメイヤーは、調査結果にとても満足しているとし、
・質の高い放送
・多様な公共放送
・高い透明性
・新しいサービスと受信料へのコントロール
と、欧州委員会から評価された点を繰り返しながらそれへの同意を表明した。また、欧州委員会との合意内容についても、1年以内にオーストリア国内で実施するとしている。
詳細な内容としては、同協会の新しいメディアサービスは、事前に審査されなければならないとされた。これを受けて、今後同協会から独立した放送・通信審査機関が設立される見通し。これによりオスターメイヤー大臣は、提供するサービスのコンセプトを明確にし、オーストリアのメディア業界における透明性を向上させたいとしている。
加えて、サービスの質を保証するための機関も設立される。この機関の設立は、オーストリア視聴者協会が中心となって行う予定で、同機関はオンラインのサービス、テレビチャンネルも含めた全てのサービスについて質の基準が遵守されているかを審査することとなる。
財政計画については、EUから特段の批判はなく、受信料は5年間は変動しないこと、またその額については放送協会会長からの提案を受けて視聴者協会が合意することなどがあげられている。
【出典】
オーストリア連邦政府ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/6632/default.aspx#id37088
地方自治体には地域のごみ処理の十分な権限がない(地方自治体がごみ処理問題への不安を認める)
2009年11月13日地方自治体には産業廃棄物等の民間部門から出るごみを管理する権限が十分になく、このことが、ごみのリサイクルや埋め立てに関するEUの基準を達成することへの重大な障害になるおそれがある。
家庭ごみのリサイクルに関しては2000年度と比較して11.2%の大幅な改善を見せているが、地方自治体の管理が及ばない産業廃棄物に関しては異なる結果となっている。地方自治体協議会の環境部会は、地方自治体がごみ処理施設を改善できるようにするために、政府に対して埋め立て税(Landfill Tax)を地方自治体に配分するよう要望している。
*参照MJ 12.11.2009 p.5
地方自治体に影響を及ぼす数々の法案が女王の裁可を受ける
2009年11月13日①地域民主主義・経済開発・建築法
地域の経済政策や協働を保証し、また地元の意思決定に住民が直接的に参加できる機会を提供するため、地方自治体にさらなる権限を与える法律
②徒弟制度・技能・児童・学習法
義務教育を18歳までに延長し、25歳までの学習障害者及び少年犯罪者たちに教育の機会を確保する法律
③検視官及び司法法
イングランドとウェールズで全国検視官サービスを開始し、遺族のため上訴制度を含めた新しい権利を創出するとともに、検視官に新たな権限を与えるための法律
④平等法
人種、性別、障害、年齢、性的志向、宗教や信念、妊娠と母性や性転換の権利を守り、また年齢差別と戦うための、全体的な単一公的団体である「Equality Duty」を創設するための法律
⑤健康法
国民医療サービス(NHS)の質を改善し、また公衆衛生の改善を目的とした法律。特に自分で成人社会福祉サービスをアレンジしている人々からの苦情を考慮して、地方自治体オンブズマンによる監視事項を拡大する。
⑥海洋沿岸アクセス法
海域をよりよく保護し、海岸線沿いに途切れのない海岸道を整備し、これに地方自治体が関与できるようにするための法律。
⑦福祉制度改革法
給付金生活から働く生活に変えようとする人々に対する奨励と支援、また障害者に対してより多くの選択と自己決定の機会を与えることを含む福祉と社会保障体系の改革を目的とした法律。
⑧警察業務・犯罪対策法
警察業務の有効性と説明責任を増加させ、警察業務の意思決定において地元住民により強い発言権を与え、さらに地元の警察業務の優先事項に集中させるため、警察機関により大きな自由裁量を与えることを目的とした法律。
⑨追加的ビジネスレイト法
経済開発を促進させる事業の支出を増加させるため、ビジネスレイトの納税義務者に対して付加的な税を課すことができるようグレーター・ロンドン・オーソリティ(GLA)や一定の地方自治体に権限を与える法律
労働党のマニフェストに有名百貨店John Lewis方式の公共サービスを盛り込む
2009年11月13日病院、学校、レジャー施設や住宅施設で、職員や利用者は、投票で賛成が得られれば、自分たちでその施設を管理できるようになる。
このJohn Lewis型共同経営方式が、労働党の総選挙用マニフェストでの急進的な中心政策となりそうだ。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 12.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=5612435)
公共部門の1000億ポンドの経費削減により、8700人が解雇されると労働組合が警告
2009年11月13日政府の今後二年間で1000億ポンド(約15兆円)の経費を削減する計画により、公共サービスは前代未聞の歳出カットを迫られている。
地方自治体における失業者数は、過去3ヶ月の1700人から次の3ヶ月で7000人に増加し、3倍に達する見込みである。地方自治体は、図書館やケアホームのスタッフ配置など「必須ではない」サービスの削減から着手している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 09.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=5520296)
州における様々な連立政権
2009年11月11日2009年9月27日に、連邦議会の選挙と同時にシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州のそれぞれの州議会議員選挙も行われた。
2009年には、16の地方選挙と欧州議会議員選挙を含む選挙が実施されたため、「スーパー選挙年」と呼ばれることもあった。そのうち6州で州議会議員選挙もあり、その結果生まれた連立政権を見ると、連邦レベルでの政治的傾向と異なるため興味深い。
最初の州議会議員選挙は、ヘッセン州で1月18日に行われた。ここでは、2008年秋に最後に州選挙があったが、その後連立政権成立が失敗し、選挙をやり直す結果となった。この結果、キリスト教民主同盟(CDU)がトップに出て、自由民主党(FDP)と緑の党も得票率を伸ばすことができたが、社会民主党は敗北し、今度はCDUとFDPの連立政権が無事成立した。
次に、8月30日には、欧州議会選挙と同時に、ザクセン州、テューリンゲン州とザールラント州において州議会議員選挙が行われた。ザクセン州では、CDUは少々票を落としたが、全体では最も強い政党としての座に残った。FDPも票を伸ばし、SPDの得票は減少した。結果として、前のCDU-SPDの「大連合」が崩壊し、ここでもCDUとFDPの連立政権が誕生した。テューリンゲン州では、単独で政権を取っていたCDUは過半数を失ったが、最強党としての座を維持した。左党とSPDは両方得票を伸ばし、緑の党とFDPは1990年以来となる議席を獲得した。SPDと左党の連立は計算上では可能であったが、SPDはCDUの州首相が率いる大連立を選択した。ザールラント州では、CDUとSPDは票を伸ばすことができず、FDP、緑の党及び左党が得票率を伸ばした。ザールラント州における連立形成のための交渉に時間がかかり、11月9日にCDU,FDPと緑の党からなる政権が誕生した。このような連立政権はドイツで初めてである。それは企業優先の政策をとるFDPと環境政策を第一にする緑の党が今まで共有する分野をあまり持っていないためである。
最後の州選挙が行われたシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州は、連立政権を決めるのにそれほど時間がかからなかった。シュレスウイヒ・ホルシュタイン州は他州と同様、大きな政党(SPDとCDU)は票を落としたが、小さい政党は票を伸ばした。結果的にCDUとFDPによる少数連立政権が誕生した。ブランデンブルク州は、以前CDUとSPDの大連立政権であったが、SPDがほぼ支持率を維持することができ、今度は左党との連立を選んだ。しかし、それについて
は批判も多かった。
州政権の構成は、地方を代表する連邦参議院の構成に直接反映される。
連邦参議院では、州及び地方自治体に影響を及ぼす法律を議論し、議決することとなっている。
シュレスウイヒ・ホルシュタイン州のCDU・FDP連立政権が最近成立したため、
連邦議会及び連邦参議院では同じくCDU・FDPが与党となっている。
地方自治体自身による支出割合は、当該地域における公共支出の5%に過ぎない
2009年11月06日13の地域で試験的に実施されているトータル・プレイス事業によって明らかになった数字によれば、地方公共支出のわずか5%にしか、地方自治体の権限が及んでいないことがわかった。
ある地域では、公共サービスについて一人当たり7000ポンドが支出されているうち、350ポンドのみしか地方自治体の民主主義的コントロールの下にないことが明らかになった。総額に換算すると、一地域平均30億ポンドの公共支出のうち、およそ1億5000万ポンドのみが地方自治体の権限下にあることになる。
この試験事業の報告書では、異なる公的部門による重複支出も明らかにされている。具体的には、ダラム市には住宅供給のために47の異なる補助金が支出されていた。また、ルートン市、セントラル・ベッドフォードシャ-市には、49の異なる公共組織があった。
これらの数字は、地方自治体の公共支出に関する権限が小さいこと、地方における多くの意思決定は、地方自治体ではなく当該地域のニーズを反映しているとは言えない中央政府寄りの他の機関によってなされているということを明らかにしている。LGAと地方自治体は、この結果をもとに、地方歳出における地方自治体の権限拡大を求めていくこととしている。
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