カテゴリー別アーカイブ: 調査・研究

スウェーデンの気候変動政策

2009年11月30日 

 スウェーデンは、二酸化炭素の排出を必要なレベルに削減することを目的とした国際的な取組に貢献するため、低炭素社会への移行を急いでいる。
 スウェーデンの気候変動戦略は国内手段とEU共通手段から構成されており、エネルギー、運輸、環境及び税政策の分野において1990年代初めから導入されている。主に炭素税の増税、投資助成金など、より目的を明確にした方策は2002年から導入されている。
 今年発表された新たな気候変動及びエネルギー政策では、スウェーデンの温室効果ガス排出量を、EU排出権取引による削減分を除き、2020年までに1990年比で40%削減する目標を掲げている。これは約2,000万トンの二酸化炭素排出量削減に相当し、主に運輸部門、住宅、廃棄物処理、農林水産業などが対象となっている。
 既にこの目標の20%は達成されており、残る80%は次の方法により削減される見込みである。

・税制の変更や経済手段の強化。炭素税等現在の制度は継続。
・自動車からの二酸化炭素排出規制等EU政策の実施。
・途上国へのグリーン投資や他の国々におけるイニシアチブを通した削減。
 三つのアクションプランの実行により、次の結果を見込んでいる。
・2020年にスウェーデンで消費されるエネルギーの半分を再生可能エネルギーとする。
・スウェーデンの温室効果ガス正味排出量を今世紀半ばまでにゼロとする。
・2020年に20%効率的なエネルギー消費を目指す。
・2020年に運輸部門における再生可能エネルギーの使用割合を10%とする。

【出典】
スウェーデン環境保護庁ウェブサイト
http://www.naturvardsverket.se/en/In-English/Menu/Climate-change/Climate-policy/Swedens-climate-policy/


リーズ都市圏が中央政府からより大きな権限を与えられる

2009年11月27日 

11月27日、中央政府とリーズ都市圏リーダー委員会は、雇用や職業技術、住宅、地域再生、交通に係る財政上の意思決定の権限を都市圏に与える協定を締結した。
リーズ都市圏パートナーシップは、都市圏の11の地方自治体(Barnsley, Bradford, Calderdale, Craven, Harrogate, Kirklees, Leeds, Selby, Wakefield, York and North Yorkshire)が集まって結成されたものである。リーズ都市圏は、10万社の企業と470億ポンドの経済力を含む、300万人を超える人口の経済圏であり、マンチェスターに続く2番目の都市圏(City Region)である。


「EUの定める支払命令」が、公共部門の財政に影響を及ぼす

2009年11月27日 

EUは、支払い期限までに支払われない各請求書の金額に対し、5%の課徴金を課すことを公共部門の機関に要求する「支払命令」を提案している。
この命令は、来年から導入される予定で、これによる公共部門の追加費用は、1億7000万ポンドから6億ポンドに及ぶと見積もられている。この他にも2つのEU命令が、地方自治体にさらなる負担を生みだしている。1つは、ゴミの埋め立てに対する支払命令で、地方自治体は、2009年夏に施行された法律により、廃棄物削減目標に到達しなかった場合に罰金が科されるもの。もう1つは、EU関係機関に勤務する職員に対する命令で、これは同じポジションに12週間勤めた臨時職員には正規職員と同様の雇用条件を与えるというものである。これら3つの提案はすべて、地方自治体にとっては大きな財政的負担を意味している。地方自治体は、ちょうど今厳しい財政的困難に直面しており、管理的経費の軽減に努めている最中であり、地方自治体協議会は、懸念を表明している。
*参照MJ 26.11.2009 Front page


公文書に関する新政策

2009年11月27日 

マイケル・ウィリーズ司法相は、公文書に関する新たな政策「21世紀の公文書」を発表した。
今後、主要機関である国立公文書館、博物館・図書館・公文書館機構及び他の関係機関は、この政策を踏まえた10年間の行動計画を策定する。この計画の目的は、サービスを改善し、より広い利用を提供できるようにすることにある。
 「21世紀の公文書」では、上記の公文書関係機関が将来に渡って持続可能となるような基盤整備を行うため、またデジタル社会における課題に対処するための5つの主要提案がなされている。具体的には以下のとおり。
①パートナーシップによってサービスを向上させること―公文書関係機関において持続可能性拡大へ向けた取組を行う
②リーダーシップの強化、専門的知識・技術をもった職員の養成
③現在及び将来におけるアクセスを可能とするため、デジタル情報の取り扱いに関する課題に対し一体となって取り組むこと
④目録による公文書の利用・検索やデジタルアーカイブの利用について、一元的なオンラインシステムを構築し、利便性を高めること
⑤人々の地域社会とのつながりを強化するため、文化面、学術面でのパートナーシップに積極的に参画すること


地方自治体への配分が32億ポンド増額

2009年11月27日 

イングランドの地方自治体に中央政府から来年支給される予算額は、32億ポンド(約4800億円)増の760億ポンド(約11兆4000億円)となる見込みである。
政府は2007年に発表された歳出計画の実行に専念しているとコミュニティ・地方自治省政務次官のBarbara Follett議員は述べた。地方自治体協議会のMargaret Eaton議長は、過剰な規制により最前線のサービスは予算を奪われている、と指摘している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 27.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=6124956)


財務省が公営住宅要求の増大に応える

2009年11月27日 

公営住宅の建設に対する要求が政府の予想を遥かに上回ったことにより、財務省は来月発表予定のspending review(支出見直し)において追加予算を発表する。
約90の地方自治体が3500戸の建築を検討しており、また49の地方自治体は夏に2200戸の建築許可を得ている。これに対し、コミュニティ・地方自治省は僅か1200戸分の予算しか計上していなかった。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 23.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=5956022)


医療の質と効率の評価

2009年11月24日 

州議会医療委員会における新しい保健および医療の質と効率の評価結果
 
 本年度の医療における品質と効率の評価が完了した。例えば、乳癌やその他の癌における生存率は改善されている。脳卒中の死亡率は減少傾向、広域スペクトル抗生剤の処方箋発行数は減少し、受診などの医療資源や患者が受けている施療についても満足度は増加している。
 これらが、2009年度の報告書、”ありのままの比較 ― 各地州議会医療委員会の比較2009”における保健および医療の質と効率の評価結果である。本年度報告は、社会保健福祉委員会および地方自治体および州議会連合(SKL)が発行する第4版目に当たる。 

― 報告書の中で多くの項目に改善結果を見られることは大変喜ばしいことです。このことが、”ありのままの比較”報告の本来の狙いです。報告書は、医療の実情についての対話を創造し、保健および医療の改善を促進します。本報告書は、州議会医療委員会の指導部にとっては保健医療行政の現況を追跡し、改善・開発を図るための基盤です。患者達が診断結果に応じて医療施設(病院など)を選択出来ることは、医療選択権の思想が導入されて以来の大きな課題です。このようにホーカン・スールマンは語っている。
 報告書の図表には124項目の結果について各地州議会医療委員会のランク付けがされている。さらに報告書は、各病院のレベルについての資料の詳細を記載している。総括的な結論として、各州議会医療委員会はその活動を改善しつつあると言える。しかしながら、各州議会医療委員会のそれぞれの部門、および各州議会医療委員会間で結果に依然として大きな差がある。― すなわち、施療と手術、受診や施療までの待機時間、医薬品の処方箋発行、および医療資源の活用度などである。

― 保健および医療の現状は、数多くの改善事項を残しているものの正しい方向へ向かっています。今後、医療の質的改善推進作業の支援について大きな要請が州議会医療委員会からSKLに寄せられています。私達は、各医療分野における良質な医療について国家レベルの方向付けを確立し、さらにより多くの比較分析と、フォローアップ内容を綿密にする中でこの要望に応えるつもりです。各医療分野における不均衡は低減しなければなりません。 このように社会保健福祉委員会理事長、ラーシュ・エリック・ホルム氏は語っている。

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年11月24日発行分)
注:スウェーデンでは、医療サービス提供の責任は、主としてランスティング(州)にあり、ランスティングがほぼ全ての医療サービスを提供している。


デンマークが環境技術国として第1位となる

2009年11月23日 

 Cleantech Groupのウェブサイトで、Shawn Lesser氏(Sustainable World Capital 代表)が2009年の環境技術国トップ10を発表した。
 この格付けには、政府の主導性や施策、大規模投資の枠組み、企業の技術革新や文化的社会的要因が考慮され、この格付けでデンマークは第1位となった。
 デンマークが1位となった理由は、デンマークが脱化石燃料100パーセントという目標を掲げただけでなく、環境技術で先進的な役割を担っていることが考えられる。また、風力技術発祥の地であるデンマークは、ヨーロッパ最大のエネルギー技術輸出国であり、ATP年金基金、AP年金やDONGエネルギーからの資金援助もある。またデンマークでは公共部門と民間部門の連携により知識の共有が促進され、起業を推進する雰囲気もあるため、環境技術モデル国としてふさわしいと考えられている。
 同氏の研究では歴史的な見解は含まれていないが、北ヨーロッパの小国であったデンマークは、1973年のオイルショックの時に外国の石油と石炭に依存することの危険性を突如認識させられてから、化石燃料依存からの脱却に長い間着実に取り組んできたことを忘れてはいけない。
 北海のデンマーク領では石油や天然ガスが産出されているが、その資源は時限的なものであり、国内で再生可能エネルギーを活用してエネルギーを自給自足でまかなうという政府の長期目標に影響を与えるものではなかった。この目標にさらに必要なものは、エネルギー利用を最大限に効率化させ、二酸化炭素排出を最小限に抑えることである。
(環境技術国 上位10位)
1. Denmark
2. Germany
3. Sweden
4. United Kingdom
5. Israel
6. Switzerland
7. United States
8. United Arab Emirates
9. China
10. Canada

【出典】デンマーク政府ウェーブページ
http://www.denmark.dk/en/servicemenu/News/Environment-Energy-Climate-News/DenmarkTheWorldsTopCleantechCountry.htm?wbc_purpose=B&WBCMODE=presen


スウィンドン市が、英国初のWi-Fi無料タウンになる

2009年11月20日 

スウィンドン市は、18万人の住民に無料で基本的なブロードバンド・インターネット・アクセスを供給することを目的として、官民のパートナシップを開始するため、IT会社「aQovia」との交渉を行った。
このパートナーシップにより、基本的なブロードバンド・アクセスを提供する「Digital City UK」という会社を創設する予定である。ユーザー(住民)は、おそらく1日につき2時間までという利用制限を受けるものの、希望によっては有料でより高速のサービスや利用時間を追加できるアップグレードをすることや、また自宅やビジネスでのセキュリティのようなサービスも追加可能となるだろう。また遠隔医療ソフトウェアを使用することで、医療を行うようなアプリケーションを認可する計画もある。もしこの事業がうまくいけば、住民すべてによりよいサービスを提供できるばかりでなく、自治体にとって副収入も見込まれる。


地方自治体協議会(LGA)が政府全般にわたる行政支出の節約を目指すよう提案

2009年11月20日 

(地方自治体協議会が財務大臣に政府による規制のコストを削減するよう働きかけ)
地方自治体協議会は、予算経過報告書(pre-Budget report)への準備として、行政管理コストを減らす提案を用意している。
これは地方自治体だけが公的分野の支出カットの責任を負わなければならなくなるのを避けるため、自ら提案を行おうとするねらいである。この提案には外郭団体の数を削減するとともに検査や規制を減らすことが含まれている。
報告書案は40億から50億ポンドの節約が達成可能であると提言している。
節約が可能と見込める分野の詳細は次のとおり。
・自治体が多くの異なる政府機関から課せられている(統計や監督のための)データ作成の負担を減らす
・検査や規制を減らす(例えば監査委員会や他の検査機関の業務)
・省庁間の連携を良くすることにより、自治体に関係する中央省庁のコストを削減する
・中央政府の不要な活動を減らす
・自治体に対しより大きな支出の裁量を認める
・幾つかの外郭団体を廃止し、残った外郭団体全体を通じた管理支出を減らす
・特定助成金に係る管理コストを減らす
*参照MJ 19.11.2009 Front page


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