カテゴリー別アーカイブ: 調査・研究

最初の支出削減

2010年05月24日 

ジョージ・オズボーン財務大臣は本日、60億ポンドの支出削減政策を発表する。この政策において、政府省庁全体を通じての効率性の波及と、政府以外をも含めた広範な公共部門における痛みを伴うスクラップにより、何千もの公務員の削減が行われる見込みである。
これには、外郭団体における5億1300万ポンドの削減や公務員の採用凍結といった内容が含まれている。大臣はまた、新型速度監視カメラ導入のための資金として毎年地方自治体に渡っている数千万ポンドもの補助金を廃止することも計画している。中央政府及び地方自治体は、現在政府が20億ポンド、地方自治体が25億ポンドを費やしている、コンサルタントや臨時職員の経費の総額を削減しなければならなくなる。 ビジネス・イノベーション・技能省のヴィンス・ケーブル大臣が自らの省における9億ポンドの節約を行うため、イングランド南部の地域開発公社が廃止されることが予想されている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 24.5.2010


連立政権が政策を発表

2010年05月21日 

デービッド・キャメロン首相とニック・クレッグ副首相は昨日、連立政権による5年間の行動計画を発表したが、この計画には、それぞれの政党の特徴的ないくつかの政策が含まれていなかった。
自由民主党は、財政赤字削減を今年から始めるべきだという保守党の要求に従ったが、一方で60億ポンド(約7800億円)に上る削減額の一部は雇用支援に支出することを認めさせた。地方自治体関係では、保守党は、イングランドのみでのカウンシル・タックス(住民税と固定資産税の性格を併せ持つ地方税)引き上げの1年間凍結を受入れたが、地方自治体については、「一般的事務処理権限」が与えられ、おそらくは他の公共サービスとの共同でという条件付きで、支出をより柔軟に行うことができる権限を手にすることとなる。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 21.5.2010


エクセター市とノリッジ市のユニタリー化を中止

2010年05月21日 

政府は総選挙前にエクセター市及びノリッジ市をユニタリー(一層制の自治体)へ移行する決定を撤回した。ユニタリー化に向けた作業を停止し、デボン県及びノーフォーク県を二層制として維持する法案が、近日中に議会に提出される予定である。 


中央政府から地方自治体への権限委譲に疑問符(CIPFAが地方自治体の財政制度の包括的見直しに警鐘)

2010年05月20日 

新政府は、首相の提唱する「大きな社会」の推進の一環として、地方自治体に「一般的事務処理権限(注:法令で明確に禁止されていない行政事務について自治体が一般的に行うことができるとする権限。現在は、地域社会および住民の福祉の増進に関する三分野-経済、社会福祉、環境-以外の政策については、法律により個別に授権された事務しか処理できないとされている)」を与えることを約束している。同時に、地方自治体の財政制度の包括的見直しを行うことについても発表した。
しかし、このことについてすべての関係者が賛同しているわけではない。英国勅許公共財務会計協会(CIPFA 、Chartered Institute of Public Finance and Accountancy)の事務総長は、「今は、地方自治体の財政制度を根本的に見直す適切な時期ではない。」と述べている。また他の専門家は、「2007年に公表された地方自治体財政に関するライオンズ卿報告書(Lyons Review)の内容を再度考慮すべきである。」と強く主張している。
*参照The MJ 20.5.2010, front page


「どのように政府を小さくするのか」クレッグ副首相による提案

2010年05月19日 

ニック・クレッグ副首相は本日、政府の規模縮小に関する概括的提案を発表する。
彼の計画は、CCTVカメラの設置規制強化、DNAの記録・保管に関する改革、IDカード導入計画の廃止等、広範囲に渡るものであることが期待されている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 19.5.2010


4月25日大統領選結果

2010年05月15日 

 オーストリアでは、4月25日に大統領選挙が行われ、現職のハインツ・フィッシャー大統領が再選を果たした。
 選挙結果を得票率から見ると、社会民主党及び現職大統領にとっては良い結果となっている。ハインツ・フィッシャー大統領は無所属の立候補者であったが、社会民主党から多くの支援を受けていた。その結果、78.9%の得票で右派系立候補者のバーバラ・ローゼンクランツ氏を退けた。バーバラ・ローゼンクランツ氏は、移民政策への反対、ヨーロッパ・オーストリア自由党への反対を訴え、15.6%の得票率に終わった。キリスト教原理主義者のルドルフ・ゲーリング候補は、社会における女性の役割など、いくぶん時代錯誤な主張が原因となり、得票率5.4%と大敗した。

<低い投票率>
 ただし、49.2%という低い投票率を見ると、状況は楽観視できるものではない。オーストリアの新聞「Die Presse」紙が述べているように、少なくとも2回目の選挙を回避できたことはよかった。同紙は、「私たちはとてもこれ以上の緊張状態に耐えられなかった」と述べている。

 再選を果たしたハインツ・フィッシャー大統領は、祝賀パーティにおいて、自分が大勝した州を列挙し、この低投票率の問題には触れなかった。確かにオーストリア9州のうち8州において、ハインツ・フィッシャー氏は4分の3の得票率を獲得し、最も得票率の高かった州では80%を得た。しかしこれらの結果はいずれも自由選挙、秘密選挙が保障された地域での得票率でしかない。というのも、社会民主党と連立を組む中道右派政党のオーストリア人民党は、今回ハインツ・フィッシャー氏を支援せず、また独自候補を立てることもしなかった。その上選挙の直前には数名のオーストリア人民党員が有権者に大統領選では白票を投じるように訴えたのである。

<野党候補>
 今回の大統領選挙では野党も支持者拡大に苦戦した。野党陣営では選挙戦が始まった段階で、バーバラ・ローゼンクランツ氏は30%から35%の票を獲得できると見込んでいたが、結果的にはその2分の1の得票に終わった。右派色が強いバーバラ・ローゼンクランツ氏は、彼女の国家社会主義への考え方等から保守層の票を多く獲得できると見込まれていたが、彼女の夫が現在は法的に禁止された極右政党に属していたことなどが裏目に出てその目論見がはずれる結果となった。

【出典】雑誌「Spiegel」
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,druck-691206,00.html


ソーシャルメディアの利用は自由

2010年05月15日 

 「特徴を活かした実際的な助言があれば、これらの道具の利用を企画している組織にとって非常に有益であると考えている。」このようにSKLの情報部長、モニカ・ビョルクルンド・アクネスは述べている。このようなSKL連合内における要請に応じるため、SKL連合の法務部弁護士スタファン・ウィーケル及びペニッラ・クルースベリーは法的適合性審査を実施した。
 「特徴を活かした実際的な助言があれば、これらの道具の利用を企画している組織にとって非常に有益であると考えている。」このようにSKLの情報部長、モニカ・ビョルクルンド・アクネスは述べている。このようなSKL連合内における要請に応じるため、SKL連合の法務部弁護士スタファン・ウィーケル及びペニッラ・クルースベリーは法的適合性審査を実施した。

<法的適法性審査の結果概要>
-「重要なことは地方自治体や州議会がソーシャルメディアをどのように利用するかを明確にし、更に誰がどのようにそれらメディア・チャンネルの利用作業を進めるかを決定することだ。このような決定があれば、例えばある職員がソーシャルメディアを職務の一部として利用しているか、或いは個人的に利用しているかの判断を容易にすることができる。」とスタファン・ウィーケルは述べている。

-「最も一般的な疑問の一つはFacebookや同種のサイトに記載した事項をすべて保存しておくべきかだが、そうではない。自治体、州議会及び各地方自治体組合は、投稿記事を取捨選択できるようあらかじめ決定できる。つまり、投稿記事が過去のものになった段階で消去することも許容できる。」とペニッラ・クルースベリーは述べている。
また、ソーシャルメディア利用のスタートを容易にするため、SKLは、市民と自治体の情報連絡手段としてソーシャルメディア利用を計画する際に考慮するべき事項についてのチェックリスト案を取りまとめた。

<ソーシャルメディア・チェックリスト案>
(このチェックリストは地方自治体(自治体、州議会又は地方自治体連合)向け)

1. 職員が就業中にソーシャルメディアを利用することは所属長による命令でなければならない。この命令により職員が業務としてソーシャルメディアを利用していることが明白になる。
2.当該自治体は、自治体の必要のためにソーシャルメディアへの投稿を許可する職員を指名しなければならない。
3.自治体は活動の対象となるFacebook、Twitterなど自治体が関与する外部のウェブサイトを自分のウェブサイトに掲載しなければならない。
4.当該自治体の議員が自治体のウェブサイトから自身の私的ブログ又は自己の所属する政党のサイトへのリンクを希望する場合、これを許可することができる。この可否決定は当該自治体のウェブサイト管理責任者に委任される。しかし、例えばブログなどで表明される見解や所感などは、自治体の所見ではなく政治家個人の責に帰する旨を明白にしなければならない。
5.自治体は自らが参画しているソーシャルメディア内、
例えばTwitterやFacebookへの投稿
又はその他の投稿された論評などに対する応答について、採否の決定をしなければならない。
またこれらの投稿を消去することもできる。同様に自治体自身がソーシャルメディアに掲示する
情報についてもこの基準は適用される。
6.自治体に帰属するソーシャルメディア内の情報を記録するため、6ヶ月毎或いはウェブサイトの
大きな変更に先立って、PC画面のスクリーン・ショットを保存しなければならない。
7.部外秘情報についてはソーシャルメディアに公開してはならない。
8.自治体は脅迫又は人種的差別などの違法性のある案件を削除しなければならない。
9. 私的目的のためソーシャルメディアを利用する職員は、
自治体の活動について記述することができる。
表現の自由と情報伝達の自由は本件についても適用される。
10.自治体は職員による就業中のソーシャルメディア利用規則を定めることができる。

本件については、各自治体が適用する規則を独自に定められる。

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2010年5月4日発行分)
http://www.skl.se/web/Fritt_fram_for_social_medier.aspx


100万人の子どもたちにとって英語は第二言語である

2010年05月14日 

全国の約90万5千人の生徒は、英語を第一言語として話していない。
そのような児童の割合が特に多い地域は、ロンドンのタワーハムレット区(78%)、イングランド中部のレスター市(48%)、ブラッドフォード市(43%)である。保守党と自由民主党の連立新政権は、EU以外の国々からの移民の数に年間制限を設けるための計画素案の準備をしているが、一方で、英語を第一言語としない子どもの増加は、児童の多文化理解を促進するメリットがあると言う教育指導者もいる。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 14.5.2010


タワー・ハムレット区の直接公選区長制に関する住民投票

2010年05月14日 

英国総選挙と同日、タワーハムレット区長を直接公選区長とするかどうかを問うための住民投票があり、その結果、賛成多数で導入が支持された。
この結果、10月に直接公選区長を選ぶ選挙が行われる予定となり、それが実施されればロンドンで4人目(ルイシャム、ハックニー、ニューハムの各区では、既に直接公選区長が選ばれている)の直接公選区長が誕生する。


投票システムの現代化が必至(投票事務の失敗後、選挙担当職員が見直しを求める)

2010年05月13日 

5月6日の総選挙当日、投票終了時刻直前に投票を待つ長い人の列ができたことによって、いくつかの投票所では投票できなかった人が出た。
英国のような先進国でこのような問題が生じたことは大きなスキャンダルとなり、自治体選挙総括責任者(returning officer、投票過程を監督する最高責任者。たいていの場合、自治体の事務総長が務める)が非難の多くを受けることとなった。しかしながら、全国地方自治体事務総長・上級職員協会(SOLACE)は、このトラブルが起こったのは、投票システムが時代遅れ(なにしろ、その基本的な部分はすでに19世紀に始まっているのだ)であるからであり、抜本的なシステムの現代化が必要であると述べている。具体的には、自治体選挙総括責任者の職務能力基準、電子選挙人登録、電子投票、投票日の多様化が含まれるべきだとしている。
*参照The MJ 13.5.2010, front page


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