カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報

労働党新党首、地方自治体の権限を強化する方針「エド党首、地域主権を言明」

2010年09月30日 

労働党のエド・ミリバンド新党首は、党首選後初となる演説において、地域社会を再構築したいと述べた。
ミリバンド党首は、労働党政権下において、地域の課題が無視されてきたことや、実質的な地域政策に対してあまりにも多くの官僚主義的なハードルが設けられてきたことを認めた。彼は党首選の選挙運動中、地域社会の権限強化への熱意について、ことあるごとに強調していた。
*参照 The MJ 2010年9月30日号 1面


新規則により自治体の広報紙は年4回までに制限

2010年09月29日 

2010年9月29日、エリック・ピクルス・コミュニティ・地方自治大臣は、自治体自身による広報紙(新聞)の発刊および自治体によるロビー活動に関する新しい規則について発表した。
自治体は自らの広報紙の発行を年4回までに制限しなければならず、また行政サービスに直接関係のある事柄だけを取り上げるようにしなければならないこととされた。この制限の目的は、民間の地方紙との競合を回避することにある。これに加えて、自治体は今後、政府機関に対するロビー活動を行うために私企業を雇うことや、政党の党大会会場でロビー活動のための出展スペースを購入することが出来なくなる。


連立政権による特殊法人の「間引き」に対する怒り

2010年09月27日 

労働組合の代表や公共部門の職員、労働党議員は昨日、177の特殊法人を廃止するという連立政権の計画に対して怒りを表明した。
94以上の特殊法人が廃止の危機にあり、4特殊法人が民営化、129特殊法人が合併される予定という内閣府のメモが不安を引き起こしたことに対して、政府は特殊法人の職員に陳謝した。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 27.9.2010


監査官が「イージーカウンシル」モデルに異議

2010年09月24日 

格安航空会社のサービスを手本とした、英国初の「イージーカウンシル」(※)としての改革を試みるロンドン北部バーネット区の取組は、区のリーダーたちは適切な事業計画の策定に失敗しているとする独立監査の指摘を受けて難航している。
外部監査官のグラント・ソーントン氏は、イージーカウンシル方式は主要な公共サービスの削減や民営化についての充分な費用便益分析が欠けていると警告した。バーネット区は勧告を受け入れる予定だが、施策のガバナンスについては、全般的にしっかりしていると主張している。
※イージーカウンシル
全ての住民に提供される公共サービスを減らして基本的なもののみとし、それ以上のサービスの利用に対しては利用者に料金を課す方式をとる自治体の通称。イージージェット、ライアンエアなど格安航空会社の業務方式をモデルにしている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 24.9.2010


サフォーク株式会社:これが自治体の将来の姿?

2010年09月23日 

イングランド東部のサフォーク県は、専門家による検討の過程で、実質的にすべての公共サービスを外注する「バーチャル」自治体となることを提案している。これが実現すれば、サフォーク県は公共サービスを住民に全く直接提供しない初めての自治体となる。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 23.9.2010


新たな借入権限を手にした地方自治体(クレッグ副首相がTIF借入権限を提案)

2010年09月23日 

増加税収財源措置(TIF)とは、地域的に引き上げられたビジネスレートによる見込み増収額を担保に、地方自治体が借り入れを行うことを許可する制度である。ニック・クレッグ副首相は、マンチェスターで開催された自由民主党総会で、この施策を10月に公表される「包括的支出見直し」に盛り込む予定であることを発表した。
この制度は、シカゴ市では成功を収めたが、カリフォルニア州ではそれほど成功していないとの批判がある。
*参照The MJ 23.9.2010 and internet


自治体の委員会制執行機関への復帰が可能に

2010年09月20日 

2010年9月20日、アンドリュー・スタンネル・コミュニティ担当副大臣は、自治体が希望すれば、その執行機関を従来の委員会制に戻すことが許可されるようになるだろうと発表した。2000年地方自治法により、人口8万5千人以上の自治体は、それまでとは異なる内部執行体制、すなわち、「リーダーと内閣制」又は「直接公選首長と内閣制」のどちらかを採用することが強制されていた。


情報公開法は自治体にとって高く付く(情報開示請求にかかる費用が3,400万ポンドに増加

2010年09月16日 

2005年情報公開法の施行以来、開示請求件数が毎年増加しており、あわせて地方自治体への開示請求件数も増加している。
2005年における全自治体への開示請求件数は60,000件であったが、2008年には118,000件まで増加した。開示請求1件の処理時間は平均11.6時間である。1時間あたりにかかる経費を25ポンドとすると、2008年に全自治体において開示請求への対応に費やされた経費は3,400万ポンドに上る。英国最大の自治体であるバーミンガム市(※)では、2008年にかかった経費は79万1,000ポンドと算定されている。
※ ロンドンは分割されたそれぞれの区が自治体であり、どの区もバーミンガム市より小さい。また大ロンドン(グレーター・ロンドン・オーソリティ)は、地域政府であって地方自治体ではない。
*参照 LGC 16.9.2010, page 12 and following


世界最大級の洋上風力発電所

2010年09月15日 

デンマーク議会は、40万世帯に環境に優しい電力を供給する風力発電所をアンホルト(Anholt)島沖に建設する計画を許可した。
デンマーク議会は、アンホルト洋上風力発電所の建設と運営について、DONG Energy社からの応札の受入れをほぼ満場一致で決定した。
入札結果に基づき、Lykke Friis気候・エネルギー大臣は現在のエネルギー政策を支持する各政党と、洋上風力発電所の建設に関する将来モデルの分析を開始することについて合意した。この調査の目的は、将来の投資に向けた土台を築き、消費者に可能な限り安価な電力を提供することである。
400メガワット発電可能なこの発電施設は、デンマーク最大の洋上風力発電所で、2012年から2013年には、40万世帯の電力消費量に相当する環境に優しい電力を供給できる予定である。また同時に、このプロジェクトは雇用を創出し、最大8000人が建設期間中に職を得ることができる。さらに、デンマークは2020年までに再生可能エネルギーの割合を30%にするという目標に、1%近づくことになる。
唯一の応札者であったDONG Energy社は、発電施設の寿命の約半分の期間を、1kwあたり1.051デンマーク・クローネで落札した。残りの期間は、補助金などはなく市場価格で販売される。これは現在建設中の風力発電施設Rødsand IIより高額であるが、隣国の同様の風力発電施設と同等の価格である。
また、アンホルト洋上風力発電所は、消費者にとって最終的には安い買い物となるだろう。年間の補助金は1kiw当たり0.01デンマーク・クローネの見込みで、平均的な家庭(4000kw使用)に換算すると年間44デンマーク・クローネとなる。しかし、この発電所で生産される電力により、電力価格が抑制され補助金分は相殺されると考えられている。
気候・エネルギー大臣は、電気・天然ガスの輸送システムを運営する国営会社であるEnerginet.dkに対し、風力発電所とアンホルト島を海底ケーブルで結び、電力網に接続するよう指示した。これにより、島の140人の住民は軽油発電機に替わり、環境に優しい電気を利用することができる。このプロジェクトは、化石燃料からの脱却を目指す国のエネルギー政策に基づくものであり、さらに地域環境の改善に貢献すると考えられる。

【出典】
デンマーク 気候・エネルギー省ウェブサイト
http://www.kemin.dk/en-us/newsandpress/news/2010/sider/greenlightforoneoftheworldslargestoffshorewindparks.aspx


ローカル・エンタープライズ・パートナーシップ(LEPs)の最終的な姿は依然不透明

2010年09月09日 

コミュニティ・地方自治省は、全国から56のローカル・エンタープライズ・パートナーシップの申請を受理した。
しかしこれらの多くは小規模で、一つの自治体のエリアのみをカバーするものもあり、申請の多くがカウンティ(日本の県に相当)の境界を反映したものとなっている。これは、政治家がこのようなパートナーシップの内容として期待していた内容を反映しているとは言えない上、エリアが重複する申請も多い。この新しいパートナーシップの最終的な形が明らかになるまでにはまだしばらくかかるだろうが、他の自治体の先導的な役割を果たすため、いくつかのパートナーシップについては、早急に立ち上がるものとみられている。
※ローカル・エンタープライズ・パートナーシップLocal Enterprise Partnerships(LEPs)
新連立政権がEnglandに現在9つある地方開発公社Regional Development Agency (RDA)を2012年までに廃止し、それに代わり地域経済を発展させることを目的に設立を計画している地方自治体と企業による新しい形態の広域パートナーシップ。
*参照 The MJ 9.9.2010, front page


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