24箇所の初の地域事業パートナーシップの配置地図を見てみると、イングランド南部と中央部に集中していることが明らかである。南西部には一つだけ、そして北東部にもたった一つあるのみである。
一方で、歳出削減の影響は、北東部が一番ひどく受けることになるだろうと広く考えられている。それゆえ、開発を呼び込みビジネスの成長を支援する役割を担う地域事業パートナーシップが、これらの地域でほんの少ししか創設されないことは、大きな問題である。
*参照 MJ 4.11.2010 P3
カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報
ボランタリー部門の強化
2010年11月02日2010年11月2日、グレッグ・クラーク地方分権担当大臣は、政府の他のメンバーとともにボランティア団体のリーダー達とのトップ会議に出席し、ボランティア団体とコミュニティーとが、どのようにすれば地域公共サービス提供により活発に携わることができるかについて議論した。
このことについてはグリーンペーパー(政府の政策提案書)でも簡単に触れられるだろうが、この「権限移譲」の原則は、近々国会に提出される「地域主義法案(Localism Bill)」に位置づけられる見込みである。また、社会的企業(social enterprise)についても、14億ポンドの地域成長基金(regional growth fund)からの助成金に応募することが可能となる見込みである。
デンマーク首相が福祉国家を目指す意欲を表明
2010年11月01日国会の初日、ラスムセン・デンマーク首相は政治家、王族を含む来賓を前に、40分間の演説を行った。首相は、自身が所属する自由党及び連立パートナーである保守党が共に合意に至っていない税制や早期退職制度などの話題には触れず、福祉国家の実現に向けた取組を強化することに焦点を当てた。
演説において、最低学年の児童の授業時間数を一日6時間に延長することが提案された。これにより授業時間数を最大2時間延長することになり、これに要する経費は、自宅で生活している高校生に支給されている奨学金を削減することで賄う予定である。
また首相は、貧困地区を解消する手段として公営住宅を廃止する計画とともに、2050年までに石油、ガスの利用をやめ炭素ガスを排出しない国を実現するという政府目標、アフガニスタンに駐留するデンマーク軍を2014年までに撤退すること、若年層の年金制度改革を発表した。
野党である社会民主党のトーニング・シュミット党首は、首相の演説は成長のためのイニシアティブを欠いていると批判し、任期の2011年11月より前に総選挙を実施するよう求めた。
【出典】The Copenhagen Postウェブサイト
http://www.cphpost.dk/news/politics/90-politics/50172-pm-announces-ambitions-for-the-welfare-state.html
政府は24のLEPsを公表
2010年10月28日2010年10月28日、エリック・ピクルス・コミュニティ・地方自治大臣とビンス・ケーブル・ビジネス・改革・技術大臣は、地域事業パートナーシップ(Local Enterprise Partnerships – LEPs)の第一次設立者名を公表した。
これらのパートナーシップにより、今後の地域開発は、地域開発公社(RDA)がこれまで所管してきた地域の境界を越えて、経済的にまとまりを持ったエリアにおいて推進されていくことになる。
しかしLEPs自体は今後も自己資金を持たず、代わりに14億ポンドの地域成長ファンド(Regional Growth Fund)からの財源を申請することになりそうである。
【出典】コミュニティ・地方自治省ウェブサイト
http://www.communities.gov.uk/news/corporate/1753564
地域成長白書「白書がパートナーシップ活動の新時代到来を予告」
2010年10月28日政府は、新設される地域成長基金が、どのような仕組みとなるかに関する詳細を、地域成長白書の中で明らかにした。
14億ポンドのこの基金への申請は、民間会社又は地方自治体と民間会社とのパートナーシップによってのみ可能であり、地方自治体単独での申請はできない。また、申請金額には最低額が設けられる見込みで、これにより過剰な少額申請によって許諾手続がごった返すことはなくなる。
また、地域事業パートナーシップ(LEPs)は独自財源を持たず、様々な資金源から資金を得なければならないことや、必要に応じて個別に中央省庁と契約を結ばなければならなくなることも確認された。
*参照 LGC 2010年10月28日号1面
コミュニティー予算の試験的導入が発表
2010年10月22日政府は10月22日、「トータル・プレース(Total Place。地域総合予算)」の後継となる施策として、予算を1カ所にプールし、地方自治体が社会的課題解決のための地域支出により大きな権限を持てるようになる試験的枠組みを発表した。
本日、包括的支出見直し(Spending Review) の一環として、16の指定地域において、中央政府から強制されることなく、地域における予算を直接管理できるようになった。来年4月より、第一次指定地域である31の地方自治体やそのパートナー団体を含む16の各地域で、「コミュニティー予算」を管理することになる。このコミュニティー予算は、様々な中央省庁からの補助金を、単一の「地域指定口座」に集め、複雑な問題を抱える家庭に関する社会問題に取り組むための財源となる。
閣僚会議では、緊縮財政の中でも、地域の鍵となる優先課題を解決するための支出については、コミュニティにより多くの権限を委譲することが決定されている。 コミュニティは、限られた財源を確実によりよく利用していることについて、説明責任を自治体に求めることができるようになる。
現在は、様々な問題を抱える約12万世帯のために、年間約80億ポンドが支出されているが、これらは何百もの異なる事業や省庁・政府関係機関を通じてのみ地域に流されている。このような投資にも関わらず、家庭に関する様々な課題は解決されていない。行政サービスが連携し、問題に早期に関わることで、家庭が自らの生活を好転させる機会が与えられるようになることが必要である。また、この統合された早期介入手法は、行政コストを削減することもできる。
コミュニティー予算は、政府は2013-2014予算年度までに全国的に展開することを予定しており、地方自治体とそのパートナーは、各家庭が抱える諸問題の解決のための財源を一元管理し、地域の問題を地域で解決できるようになる。
試験的な試みがなされる16地域は、以下のとおりである。
グレーター・マンチェスター、レスターシャー、クロイドン、ブラックプール、イズリントン、ハル、ケント、ブラックバーン・ダーウェン、ブラッドフォード、スウィンドン、バーネット、ルイシャム、エセックス、リンカーンシャー、バーミンガム、および4区合同によるロンドン区グループ(ウェストミンスター区、ケンジントン・チェルシー区、ハマースミス・フルハム区、ワンズワース区)
財政赤字削減に向けたジョージ・オズボーン財務相の4年間の戦い
2010年10月21日ジョージ・オズボーン財務相は、福祉、高等教育、公営住宅、警察から自治体に至るまで広範囲にわたって歳出削減を行うことで、英国国家の中心深くまで大なたを振るうこととなる「包括的支出見直し(Spending Review)」を昨日発表した。
彼は、この計画によって英国は財政破綻の瀬戸際から脱するだろうと述べている。自治体の予算は今後4年間にわたって総額28%が削減されることになる。LGA(地方自治体協議会)のマーガレット・イートン議長は「自治体は今後、どのサービスを提供し続けることができるかについて、極めて厳しい選択を迫られることになるだろう」とコメントしている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 21.10.2010
tensen
ソーシャル・ワーカーが独立したベンチャー事業を設立する可能性(ソーシャル・ワーカーによる開業の可能性
2010年10月21日政府は成人社会福祉サービスを行う社会福祉士(ソーシャル・ワーカー)が地方自治体から独立して自らの事業所を開業できるようにすることを検討している。
現在児童福祉サービスの分野において、教育省の支援により同様の取組が試験的に行われている。
独立成人社会福祉事業所は、保健省の支援を受けることとなる見込みである。ランベス区の成人及びコミュニティー・サービス担当上級部長は、自治体の職員により設置された協力組織(いわゆる「先進者協力」(pathfinder mutuals))を支援した内閣府の取組との関連を挙げ、試験的取組はランベス区において導入可能であると述べた。また現職職員が相互協力組織を設立する以外にも、元自治体職員がチャリティー団体を拠点に、専門家チームを形成することも可能と考えられる。しかし労働組合の代表は、現在自治体に雇用されている職員が本当に独立を望んでいるのか疑問を呈し、新しいタイプの事業所の導入に対しては組合は反対の立場を取ることを示唆した。
*参照LGC 21.10.2010, p. 4-5
50万の公職が廃止
2010年10月20日本日発表された公共支出の包括的支出見直し(Spending Review)の結果として、50万人の公務員が職を失うことになりそうである。
ダニー・アレクサンダー副財務大臣は、部外秘の説明資料に目を通しているところを写真に撮られたことから、現在見込まれている人員削減の全容を公表した。それによると、数千人に及ぶホワイトホールの公務員(訳注:国家公務員)が解雇を迫られるとともに、公務員の給与は凍結される見通しである。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 20.10.2010
長期失業者向け 適格性構築プログラムの導入
2010年10月19日 SKL(スウェーデン地方自治体及び州議会連合。英語ではSALAR)は政府宛て公文書にて、新しい社会政策のツールとして適格性構築プログラムを制定するよう提案した。本提案はより適切な支援を必要とする長期失業者が、労働市場に参入できるよう援助するためのものである。
構造的に存在する失業者の多くが職を得るため関連行政機関からの適切な支援措置を必要としている。これらは生活扶助受給者、身体障害者、また他国からの移民を背景とする人々である。これらの失業者は職業安定所が提供している各種支援プログラムに適合しないため、労働市場の枠外に置かれている。
自治体はこの公的保障制度に適合しない長期失業者に対して責任がある。現行の法律においては社会サービス機関がこれらの人々が必要とする支援措置を与える最終的な責任を有する。従って、各行政機関間の境界を越えた協調的解決策が不可欠である。
—「自治体は人々が就職できるよう様々な方策を実施している。しかし私達は特別な支援を必要とする求職者に対するサポートを強化する必要がある。従って適格性構築プログラムはすべての人々の働く権利を促進するため、よいツールになると思う。」と、SKLのアンデシュ・クナーペ理事長は述べている。適格性構築プログラムの実施期間は一年間を予定しているが、目的達成のため必要がある場合は延長することもできる。
【出典】スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2010年10月19日発行)
http://www.skl.se/web/Inratta_ett_kvalificeringsprogram_for_langtidsarbetslosa.aspx