カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報

強いオーストリアを目指す7つの政策パッケージ

2011年06月21日 

オーストリア連邦政府は、2011年5月30日、31日に連邦下院において非公開の会議を開催した。会議のテーマは、「オーストリアに刺激となる政策を実施すること」であり、連立政権を組む社会民主党(SPO)及び人民党(OVP)は、残された期間の政策とその行程表を発表した。90の施策を含む7つの政策パッケージが発表された。
 5月31日の会議に引き続いて実施された閣議では、教育、インフラ、規制緩和、行政の効率化、経済対策、長期的な社会福祉、代替エネルギーを含む環境政策に焦点を当てたこれらのパッケージを実施するための具体的な行程が承認された。フェイマン首相がマスコミに述べたところによれば、政府はオーストリアにとって非常に持続可能性があって、強い刺激となる(政策を実施する)ことを目指すとのことである。首相は同時に、社会福祉システムにおける行政のスリム化の重要性を強調し、これは連邦政府及び州政府の責務となる。社会福祉システムの財源は、「長期社会福祉基金」に置き換えられる予定であり、2014年まで、この基金に対して6億8500万ユーロの予算が充当される。加えて、社会福祉関連手当の給付を担当する機関について、これまでは303の機関が存在したが、これが8つの機関に削減される。
 またSPOとOVPは、様々な課税軽減措置についても合意した。具体例として、青年企業家への優遇策を講じるー現行制度では、1年以内に賃金税に係る雇用主負担免除分の還付申請をしなければならないが、この期間を3年とする、現在は、人権団体への寄付についてのみ認められている納税額の減免を、環境団体、動物愛護団体、消防関連団体への寄付についても認める、教会税に係る減免額を200ユーロから400ユーロへ引き上げることなどがある。この改革の目的について、首相は、失業者をさらに減らすこと、オーストリア経済を強化すること、賃金を上げること、そして消費者の購買力を向上させることとしている。併せて財務大臣は、2013年までに税制を大幅に簡素化する改革を実施することとなった。
 この7つの政策パッケージには、連邦全体で新しい包括的学校を導入することや、現在105,000ある終日保育施設を210,000まで増やすことなど、優先順位の高い政策が含まれている。長期社会福祉基金の例と同様に、これら全ての施策には、連邦政府と州政府との合意が基礎となる。連邦政府は毎年8000万ユーロを拠出することとしており、これに加えて州政府も拠出することになる。連邦政府は、現在56,000ある3歳児までの保育施設を増加させることも決定しており、これに対して2011年は1000万ユーロ、2012年から2014年までは年間1500万ユーロ拠出する予定としている。これについて、州は連邦と同額を拠出することを求められている。エネルギー政策ももう一つの重要な政策である。オーストリアは、2015年までに原子力発電を廃止することとしており、2050年までに連邦のエネルギー自給と持続可能エネルギーから十分な電力供給を達成することとしている。

【出典】
オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/7459/default.aspx#id43887


消費者の権限強化と消費者保護

2011年06月21日 

 より優れた消費者保護・助言サービスを提供するため、現在の施策を簡素化することを目的とした新しい政府提案が発表された。

 エドワード・ダビー消費者大臣は、本日、紛らわしく重複している消費者保護の条項を簡素化する新提案を行った。
 「消費者の権限強化と消費者保護」と題した新しい意見公募では、関係大臣は、現在消費者が助言を求めている二つの団体「Trading Standards」と「Citizens Advice service」に公的補助を集約することで、新たな消費者保護政策の展望を打ち出そうとしている。その主旨は下記のとおりである。
・ Citizens Advice serviceを、消費者が情報と助言を同時に求めることができる唯一のサービスとする。
・ 自治体間の境界をまたがる困難事例に対応する地方自治体のTrading Standardsのリーダーシップと調整能力を強化する。
 意見公募は9月末まで14週間にわたって実施されることになっており、政府は、消費者、ボランティア団体、民間企業から、改正案についての意見が寄せられることを期待している。
 エドワード・ダビー消費者大臣の発言は下記の通り。
「政府は、市民にもっと多くの権限を付与したいと考えている。我々の消費者政策はすべて、消費者が自ら購買する商品とサービスについて適切な判断を下すことが出来る能力を消費者に与えるためのものである。
 一方で、我々はまた、消費者が支援を必要とするときに、助力、助言、保護を提供するための適切な体制を確保する必要がある。なぜなら、あまりにも長い間、消費者は、役割や責任が重複している公共機関、民間、ボランティア団体によって混乱状態におかれてきたからだ。
 消費者が被害にあった時、消費者が正しい選択をし、権利を行使するために信用のおける助言や情報を求められる場所は、必ずしも明らかなわけではない。
 今日発表した申請は、このような混乱に終止符を打ち、消費者を力づけ、権利を与えるためのものである。Citizens Advice serviceは長い間信用のおける助言、情報と弁護サービスを提供していた。それゆえ、我々の計画の中心にCitizens Advice serviceが位置するのは当然である。
 同様に、Trading Standardsは、消費者の立場に立って消費者法を執行する役目をよく果たしていると国民に信頼されている。
 しかし、そこには、自治体の境界を超えて活動する悪党に対する効果的な対応を阻む障壁がある。我々の申請した改正案は、これら消費者に対する脅威に取り組む者の権限を強化することにある。
 消費者の権限を強化することは、競争を促し、ビジネスをより効率的かつ革新的なものとする一助である。消費者の置かれている状況を改善することは、予算策定時に発表された、強靭で持続可能なバランスの良い経済成長をもたらすために最適な状態を創造することに焦点を絞った政府の成長計画にとって重要な一部である。」

【出典】ビジネス・改革・技術省
http://www.bis.gov.uk/news/topstories/2011/Jun/consumer-protection-reform


2012年から2015年までの財政枠組

2011年06月17日 

 2011年5月18日、オーストリア連邦議会は、連立政権を組む社会民主党(SPO)と人民党(OVP)による賛成多数で、2012年から2015年までの財政枠組法案を可決成立させた。
 この法案には、同期間における、連邦予算の主要項目が含まれている。同法に規定されている、各省庁に対する歳出上限により、連邦の財政赤字を2013年までにマーストリヒト基準であるGDPの3%以下に削減することが目指されている。2011年度の財政赤字のGDP比は3.9%以下にすること、またそれ以降は、着実に赤字を削減し、2013年には2.9%、2014年には2.4%、2015年には2%にすることが計画されている。

 政府の長期債務残高は増加し続けており、2013年のGDP比は75.5%に達する見込みとなっている。(マーストリヒト基準は60%)これに伴い、国債の利払いは、2010年度分が64億ユーロになる見込みであり、2015年には、100億ユーロに達すると見られている。

 一方、この公共支出削減策は、教育、家族政策、司法及び医療の分野に対しては、緩和されることとなっている。上記の財政枠組法の中で、「アクション・プログラム」は1年延長され、2015年まで継続されることとなった。8000万ユーロが義務教育を修了した青少年への政策を拡大するために支出されることとなっており、8000万ユーロに上る特別の基金が大学へ、1億ユーロが研究機関へ、1億ユーロが熱を利用したリハビリテーション・プログラムへ配分されることとなっている。

 フェイマン連邦首相は、「財政枠組法を着実に執行していくことが、連邦の責務である。オーストリアは社会福祉政策において先駆け的存在となった。欧州及び国際社会には、社会福祉における公正性及び社会福祉政策の充実を図るために、適切な条件を求めていく。」と述べた。ただし、オーストリア財務相は、2015年までに連邦財政における収支均衡を図る可能性については言及しなかった。

【出典】
オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/infodate__23.05.2011/7459/default.aspx#id43719


サイクリング・シティの混乱を一掃する提案

2011年06月15日 

コペンハーゲン市民の1/3が自転車を通勤に利用している。この活用実態は政界中から賞賛されているため、都市が自転車インフラを整備する方法を議論するときにはいつもコペンハーゲンが話題になる。
 しかし良いことばかりでなく、市内には毎日、大量の自転車が駐輪し、中心部の鉄道駅の外では乱雑さと混乱を招いている。観光客にはそれがデンマーク人のアウトドア好きを代表する魅力的な場所に映るかもしれないが、住民たちはうんざりし始めている。

 フランク・ジェンセンFrank Jensen市長は、違法駐輪した利用者に50クローナーの罰金を科すことで、駐輪が許された場所への移動を促し、都市のイメージの向上を図りたい考えである。
 しかし市長の提案は多くの反対に遭っている。デンマーク自転車協会(DCF)は、「市がやるべきは、罰金を科すより前に、まずは清潔でより多くの駐輪施設を増やすことだ。
充分な駐輪施設が整備されれば、その時点で我々は市長の提案を支持するかもしれない」と主張している。
 もっとも駐輪場を増やしただけでは混雑の原因を解消することにならない。なぜなら多くの盗難自転車や放置自転車が正規の駐輪場に置かれるからである。自転車にラベルを貼り、申し出が無ければ撤去するという警察の計画はこの問題解決に攻を奏すであろうし、技術者のJen Junker Eriksen氏が開発したパーキング・ディスクparking discs(※)の活用も放置自転車を特定するための信頼できるシステムとなり得るだろう。
 現在、パーキング・ディスクの活用をするかどうかが議論の的になっている。全国導入には法令が必要で、コペンハーゲン市の都市計画局はまずはもっと小さな都市でテスト導入すべきとの考えを示している。
 
※注:パーキング・ディスク
 自転車のハンドルバーに取り付け、置かれた時間を表示する装置。駐輪取締官はその自転車がどれくらいの期間、駐輪しているかをすぐに判別でき、30日間以上経った場合は撤去するしくみ。
 
【出典】コペンハーゲンポストのウェブサイト
 http://www.cphpost.dk/news/local/87-local/51664-proposals-compete-to-clean-up-bike-city-mess.html


深刻な児童虐待が過去最高を記録

2011年05月01日 

 NSPCC(※)のヘルプラインへの連絡を通じて警察や地方自治体の社会サービス部に持ち込まれた深刻な児童虐待の件数が、昨年度、過去最高を記録した。

 同団体の電話カウンセラーが2010年4月から2011年3月までの1年間で、前年比37%増の16,385件を警察や自治体に持ち込んだ。NSPCCの最近の別の調査によれば、英国の中等学校の生徒のうち5人に1人近くが児童期に虐待を受けていて、その大部分がネグレクト(養育放棄)を通じたものであることがわかっている。
 同団体は、児童虐待におけるより早期で効果的な介入に向かうよう、英国の児童保護政策の大きな変革を求めている。これは、児童が虐待を受けていることについて疑義がある場合に通報をするといった、地域住民の素早い行動を当てにしている。
 NSPCCのヘルプラインの責任者は「我々は、虐待を止めるために、できる限り早く子供の問題に気がつかなければならない。ソーシャルワーカーがいつもコミュニティにいることはできないが、地域住民こそが情報源になりうる。」と話した。
※NSPCC: National Society for the Prevention of Cruelty to Children
児童青少年の福利厚生を推進するため、調査研究や情報提供、政策形成への働きかけ等を行う慈善団体。

【出典】
・地方自治体協議会(Local Government Association)の「Daily News headlines」について 2011年4月21日
・NSPCCウェブサイト
http://www.nspcc.org.uk/news-and-views/media-centre/press-releases/2011/11-04-21-Serios-child-abuse-reports-to-NSPCC-Helpline-at-all-time-high/11-04-21-Serious-child-abuse-reports-to-NSPCC-Helpline-at-all-time-high_wdn82023.html


政府が「2050年エネルギー戦略」を発表

2011年04月15日 

デンマーク政府は本日(2011年2月24日)、2050年までに国がどのように石炭、石油及びガスに依存せず、温室効果ガスを飛躍的に削減していくかをまとめた「2050年エネルギー戦略」を公表した。
 このエネルギー戦略では、化石燃料の産業利用を2020年までに2009年比で2割削減する多くの提案が含まれており、2050年までに完全に化石燃料から脱却することを目指している。
 気候・エネルギー省大臣は、デンマークはこのような詳細で野心的な戦略を提示する世界で初めての国になると述べた。
 戦略では、風力、バイオマス、バイオガスといった再生可能エネルギーを大幅に増やしていくことを盛り込んでいる。
 2020年までに風力発電だけで全体電力消費量の40%以上をカバーし(現在は20%)、再生可能エネルギーで全体の60%以上を賄う計画だ。同時にエネルギー効率を高める努力を強化することで2020年までに総エネルギー消費量を2006年比で6%減らす。
 企業には2020年までに総収益成長率の0.1%相当の追加負担が生じる見込みだ。
 大臣はグリーンエネルギーへの転換に係るコストは化石燃料費の今後の上昇を考慮して判断されるべきであるとして次のように強調した。「エネルギー効率を高めるための大規模な投資と再生可能エネルギーの利用拡大がタダで出来ると考えている者など誰もいない。しかし化石燃料に今後も依存し続けることは、あらゆる兆候が示しているように将来かえって高くつくことになる。次のステップは議会でこの政府提案を審議してもらうことであり、広範な合意が得られるものと期待している。」
 政府提案には次の内容が盛り込まれている。
・バイオマス及びバイオガス
・風力
・エネルギー効率
・研究、開発及び実証

【出典】気候・エネルギー省ウェブサイト(2011年2月24日)
 http://www.kemin.dk/en-us/newsandpress/news/2011/sider/energystrategy2050.aspx


福祉手当申請の却下件数が上昇

2011年03月15日 

社会保険庁に福祉手当の申請を却下された件数が増加していることが明らかになった。
北部スウェーデンのベステルノルランドでは、社会保険庁による申請却下の決定を不服として上訴した件数が、2010年は前年に比べて60%増加した。
国内全体では平均35%の増加であった。福祉手当の請求を却下された申請者のうち、裁判所でその訴えが認められたのはわずか5人に1人だった。
社会保険庁によると、2010年、福祉手当申請却下に対する行政裁判所への上告が19,385件あった。2009年は14,731件であった。福祉手当請求却下に対する不服申し立てがあった場合、社会保険庁がまず再審理し、申請者がその結果に不服がある場合は、行政裁判所で審議されることになる。裁判所による審議の結果、社会保険庁による申請却下決定が覆された件数は、2010年は2009年の20%から数ポイント下がった。裁判所の決定に対して、再抗告することができる。
【出典】The Localのウェブサイト
http://www.thelocal.se/32446/20110307/


住民への情報伝達方法の改善

2011年03月03日 

(オーストリア地方自治体の新しい取組)
 オーストリアの自治体は、「DigiLight」と呼ばれる歩道などに設置されたタッチパネルを使用して、住民との相互情報伝達を向上させている。
 このタッチパネルは、歩道や待ち合わせ場所等の人通りの多い場所に設置され、通行人にニュース、イベント、天気、地域コミュニティの情報、その他一般の宣伝広告を提供している。デジタル技術を利用していることから、自治体は迅速に提供情報を変更することが可能で、効率的に住民に情報を提供することができる。
 1万人以上の自治体は、無料でこのDigiLightシステムを調達、インストールすることができ、1万人未満の自治体でも、費用を複数の自治体で共同して負担したり、人口や使用頻度に応じた費用負担で利用することができる。
 オーストリア都市協議会及びオーストリア自治体協議会の会員である、Klosterneuburg町も、このDigiLightを既にインストールした町の一つである。

(オーストリアの地方関連団体)
 オーストリア都市協議会及びオーストリア自治体協議会は欧州地方自治体会議(CEMR)の会員である。双方の団体とも、法的に位置づけられた団体であり、国家レベル、EUレベルにおける意思決定に参画する義務を課せられている。
 加えて、両団体は、連邦政府、県、市町村間の共同税として知られている、税収の共同、税制権限に関する交渉において、地方自治体の利害を代表する役割を果たしている。また、地方自治体に関連する自国の法律及びEU法に影響を与えることで、自国内及びEU内における、オーストリア地方自治体の自治権を強化するための働きも担っている。
 オーストリア自治体協議会は、大都市を除く2,345の地方自治体を代表する組織である。1999年以来、同協議会会長であり、Hallwang町の町長でもあるHelmut Moedlhammer氏は、次のように述べている。「多くの山と谷というオーストリアの風景を前提とすれば、我々の明確な焦点は、地方の自治体にある。地方の発展は、現代科学技術を利用することで実現される。オーストリアの地方においては、観光、農業、サービス業と同じくらい、中小企業、革新的な企業の活躍が重要である。」
 一方、オーストリア都市協議会は、1万人を超える都市を含む、246の会員で構成される。会長のMichael Haupl氏は、ウィーン市長であり、2004年から2010年までCEMRの会長も務めていた。同氏は、CEMR会長として、EUレベルにおける地方自治体のプレゼンスを高め、また特にリスボン条約において多大な功績を残した。

(オーストリアの地方自治体)
 オーストリアは、地方自治体及び州から構成される連邦国家である。2,357の地方自治体及び9の州が存在している。地方自治体の規模は小さく、人口数千人を超える自治体は数少ない。

【出典】欧州地方自治体会議ウェブサイト
http://www.ccre.org/news_detail_en.htm?ID=1998


スウェーデンの公的個人認証サービスを再検討せよ

2011年03月01日 

電子個人認証の調査グループは、インターネット上で我々が身分証明するための公的個人認証サービスをどのように発展させて行くか、提案書を提出した。しかしこの提案は不十分で、議論から除外されるべきものであり、再調査が妥当である、とSKLのホーカン・スールマン事務総長はSvD(スウェーデンの日刊紙)の論考欄で発表している。以下はその論考の邦訳である。
インターネット上における身分証明の必要性は増加しているが、今日の手段は継続的に維持できるものではない。したがって今回のスウェーデンの電子個人認証に関する調査によって、全ての公的機関に有効で、また新しい電子サービスの開発にもより良い環境をもたらし、さらにコストも低減するような解決方法が提案されるものと、我々は信頼を持って期待していた。提案書が提出された今では、それはつまらない読み物に過ぎない。同提案書は一項ごとに疑問を感じるものであり、初めからやり直す以外に方法はないと考えざるを得ないほどのものである。
 ここでいう公的個人認証サービスとは、出生証明書に比べて、プラスチックカードなのかそれとも小さな箱なのかといったことではなく、我々一人一人の個別の電子セキュリティ番号のことである。レポートにおいて、電子個人認証(証明書)の開発は、誰もが考えるような税務局や警察ではなく、今後も継続的に民間の事業者により運営されるべきだと提案されている。
 証明書の発行を民間市場の事業者が請け負うべきでないということは、我々にとって基本原則である。民間事業者は、市民の身元といったデリケートな機密情報を取り扱うべきではない。したがって、銀行やその他の民間事業者がプラスチックカードや箱その他のものに置き換え、電子個人認証として利用できるよう、政府が証明書を発行するべきである。民間事業者の場合、証明書の発行を中止したり、また破産したり売却されたりする可能性もあるが、政府による証明であれば万全であり、継続的に維持することができる。これは我々が民間市場による解決策について常に否定しているということではない。むしろ逆であり、民間市場に開放された医療選択の自由や新しい公共交通機関法について我々は積極的である。しかし本件に関しては民間市場による解決策は適切ではない。
同提案での解決策は、例えば医療といった分野において課されている、個人情報に関する安全基準も満たしていない。調査グループの提案によれば、異なる事業ごとに並行したシステムを構築することが予想されるのだが、スウェーデンの公的個人認証サービスがそうなることを意味する。銀行で電子認証を使い、医師と連絡するのに別の電子認証、またネット上で税務申告に署名するのにさらに別の電子認証を用いることが必要になる。人々にとって大変不便なだけではなく、このことはリソースの巨大な浪費も意味するのである。
 この提案における別の問題点は、システムの財源となるビジネスモデルがすべて、公的個人認証サービスの需要像についての時代遅れな見方に基づいていることである。需要は多様であり、法的にこのモデルがLOV(選択の自由システム法)による選択オプションを許容することが出来るかは疑問である。このビジネスモデルは技術的にも複雑であり、公的個人認証システムを必要以上に割高にすることは明らかである。
 地方自治体や州議会は、市民との接点のうちの80%を占める。すなわち、自治体と州議会に適した解決策を見つけることを最優先にすべきである。すでに自治体や州議会は、公的個人認証システムに多額の投資を行っており、我々はそれが将来の解決策の基礎になると常に思ってきた。しかし今や今回の調査ではこれらの投資は考慮されず、無駄になることが明らかになった。我々が非常に批判的にならざるを得ない、社会的リソースの大きな損失である。
 最後に、今回の調査で提案された解決策は、技術的に非常に複雑なもので、地方自治体や州議会の諸活動に理解のないITコンサルトにより立案されたものである。同提案モデルは技術的、法的な両観点から複雑・不可解なものであり、それを理解し検討するためには、情報技術に関するトレーニングを要する。議論が行われないのは、それが理由なのだろうか?
 多くの人々が今回の提案に批判的である。事実、良好な解決策であると捉える人が仮にいるとしても、それはごく少数である。国家の認証による公的個人認証サービスシステムを、現在そして将来の諸活動の必要性に基づいて開発するよう、政府は再調査を早急に始めるべきだ。
【出典】スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2011年3月1日発行)
http://www.skl.se/press/debattartiklar/utred-svensk-e-legitimation-pa-nytt


教育改革は読むことに重点を置く-授業数の増加、読解力の向上、テストの上乗せを提案-

2011年02月15日 

Nedergaard教育大臣は、教育改革に関する政府提案を発表し、読解力の改善に大きな重点を置くと述べた。「能力と自由」と名付けられたこの提案は、生徒の成績を教育に要する費用に見合うものとすることを目的とした19のイニシアティブを含んでいる。
「教育システムに要する予算が高額であることを考慮すると、現在の結果は我々の期待に見合うものではない」と教育大臣は述べた。
このイニシアティブは、PISA(OECD生徒学習到達度調査)読解力テストの結果によると、デンマークは前回から3つ順位を落とし、33の参加国中18位となったことを受けて発表された。
計画によると、全学校の生徒が2年生終了後読むことができるレベルに達するよう求めている。また保育園のリーダーは今後、保育園レベルのデンマーク語を教えるためのトレーニングを受けることになる。2年生の生徒は読解力に関するテストを受け、その結果が公表される予定である。
また、生徒の一般知識を向上するため、デンマーク語、数学、英語及び自然科学の授業が増加される予定である。

【出典】コペンハーゲンポストのウェブサイト
http://www.cphpost.dk/news/education/198-education/50628-school-reform-focuses-on-readin-readin-and-more-readin.html


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