ファイナンシャルタイムズ紙は、地方公共団体における民間企業との共同プロジェクトの実施について中央政府は学ぶべきことがたくさんあると報じた。
この背景には、リバプール市とBTの共同計画により、リバプール市が抱えていた7000万ポンドの負債が返済されつつあるという実績がある。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 03.07.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2269128)
カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報
仕事も希望もない100万人のニート
2009年07月03日今日発行された新しい報告によると、100万人の若者が不況の犠牲となり、職場にも大学にも居場所を確保できない見込みであることが分かった。
ニート(学生でもなく、仕事にもつかず、専門的技能を学んでもいない若者)と見なされる16歳から24歳の若者の数は、統計が始まって以来の最高値に向けて着実に増加している。地方自治体協議会のマーガレット・イートン議長は、次のように述べている。「100万人もの若者が教育や労働から外れるよう国が道筋をつけているように思われることには、非常に懸念を抱いている。」 政府機関、ボランティア機関、地方自治体が、めいめい異なった目的や課題に向けて活動してしまっているため、問題が複雑になり、問題に対する明確なアプローチが妨げられている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 30.06.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2184866)
アルメダール会議で活発な経済論議
2009年07月02日 スウェーデン南部のゴットランド島にあるヴィスビーで開催されたアルメダール(注1)会議において、SKL(スウェーデン地方自治体協議会および州議会連合)の初のセミナーを開催したところ、活発かつ建設的な討論が行なわれた。
市町村や州議会の財政について論議された際、公開討論会は白熱化した。
SWED銀行の主席エコノミスト、セシリア・ハーマソンは、現在の経済不況は単に一時的なものではないと懸念を表明した。
セシリア・ハーマソンからの論評に対し、穏健党のウルフ・ウイックマンは自治大臣マツ・オデルに対して、政府の追加経済措置に関する情報を提供するよう求めた。この情報が、自治大臣マツ・オデルの所管外にも関わらずである。
これに対して、経済の追加経済措置が採られるのであれば、各自治体に振り向けられるべきであろう。このように自治大臣マツ・オデルは応じた。
また大学卒業者協会(SACO)(注2)のアンナ・エークストルーム会長は、不況下の予算削減時期における追加経済措置については、 支出先を振り替えるよりも事業への投資に重きを置くべきであると提案した。
SKLのアンデシュ・クナーペ会長は、地方自治体にとっての今後の最も大きな挑戦は、経済状況に関わらず福祉の必要性は増加しており、これに伴って費用が増大する現状があり、これに対してどのように公共福祉の財源を確保するかにある、と見解を述べた。
(注1)アルメダール(Almedalen)
政治政党各派が集合し政治上の諸問題について語り、討論する場。毎年一回、6月の第一週にゴットランドで開かれる。Almedalenは、ゴットランドの公園。
(注2)大学卒業者協会(SACO)
学卒者の中央機関。23の労働組合、職業組合により構成。学生、研究者、個人事業者、官公庁職員を含み60万人。
【出典】
スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年7月2日発行)
http://www.skl.se/artikel.asp?C=361&A=61007
デンマーク環境政策
2009年06月29日昨年度の11月に首相より「Green Growth Vision」(環境成長指針)が発表された。
(指針概要)
デンマークを環境技術の中心地へと変貌させることで多数の雇用創出を図ることを目的とする。目的の主なものとしては、再生可能エネルギーの開発、エネルギー効率の高い技術を持つ産業の育成、長期間安定してエネルギーを生み出す建造物(住宅など)の建築、環境に配慮した交通システムの研究、環境に配慮した飲食産業の育成があげられる。
以下その指針に基づいた環境に配慮した政策について報告する。
1 環境交通センターの設置(2009.7.7)
・環境に配慮した交通技術の向上を目的として交通省が設置。
・自動車排気ガスの二酸化炭素排出量の減少や自動車数の断続的な増加などの環境問題への解決の糸口となるさまざまな計画について検証を行う。
・二酸化炭素排出量を減少させるため、特定の地域において、タクシーへのエネルギー効率の規制、バンのエネルギー表示や空気力学を応用したトラックの導入などを行う。
・民間企業や地方自治体と協力してエネルギー効率の高い交通に係る大規模な調査を実施する。
2 デンマーク最大規模の沖合風力発電所設置準備(2009-5.5)
・2012年に完成予定であるこの風力発電施設では年間400メガワット(約40万世帯分)の発電能力を持つ。
・環境大臣はこの風力発電施設について「化石燃料に依存しないことを目標とした政府の指針を現実的なものとする大きな一歩であり、再生可能エネルギーの開発と二酸化炭素削減という目標に向けた重要な政策である」と述べた。
・この風力発電所の入札に先立ち、Energinet.dk(デンマークの通信システムオペレーター)が事前に海底地勢調査を行い、また地域住民集会も実施される。
・なお、Energinet.dkは海底の地下鉄の設置と風力発電所と地上の発電所の接続を担当する。
・入札期限は2010年4月7日である。
・デンマークでは現在8基の沖合風力発電施設があり、その総発電能力は424メガワットである。
(関係リンク先)
デンマーク外務省ホームページ
http://www.investindk.com/visNyhed.asp?artikelID=22213
http://www.investindk.com/visNyhed.asp?artikelID=20734
デンマーク環境省ホームページ
http://kemin.dk/en-us/newsandpress/news/sider/denmarkslargestoffshorewindfarmreadyfortender.aspx
地方自治体協議会が、Place Survey*の公表遅れを批判
2009年06月26日地方自治体協議会は、今週公表されたPlace Surveyの結果は、住民に調査を行ってから時間が経っており、その間にも経済の状況は変動しているので、住民が現在思っていることを反映していない、と主張した。
概略すると、ほとんどの住民(80%)は、自分たちが住んでいる地域に満足しているが、一方で住民の45%は地元の自治体に満足していないという。住民は、自分たちが住んでいる地域の性質と地方自治体の貢献には関係がないと見ている。この調査を実施した英国の調査会社イプソス・モリ(Ipsos MORI)のチーフ・エグゼクティブ、ベン・ペイジ氏は、住民に対する地方自治体からのコミュニケーション不足が、この認識のずれの背景にあるだろう、と考えている。
*Place Surveyとは、コミュニティ・地方自治省が発注している各地方自治体内で行われた調査
*参照The MJ 25.06.2009
地方自治体による外での飲酒の取り締まり
2009年06月26日イングランド内で地方自治体が700以上の「飲酒制限地区」を設けた。
このことにより、警察は午後の飲酒を静かに嗜んでいる人にまでビールやワインを没収する権限を持つことになる。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 25.06.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2108682)
住民に対する意識調査(Place survey)結果
2009年06月26日政府が昨日発表した住民に対する意識調査結果によると、住民の4分の3は警察は反社会的な行動や飲酒による暴力の把握に失敗していると考えている。
しかしその一方で、33%は地方自治体は相応に価値がある予算の使い方をしていると考えており、45%は地方自治体の進め方に満足しており、78%はごみ収集に満足している。地方自治体協議会の広報担当者は「この調査結果は大部分の住民は地方自治体が行うサービスに満足していることを示している」としている
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 24.06.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2091076)
地方自治体が不適切に年金基金の資金を使用
2009年06月19日地方自治体は、一般基金を区分せずに管理しており、投資に際し、地方政府年金基金の資金を、年金とは関係のない日々の地方自治体サービスのために使用していた。
情報公開により明らかになった情報によると、多くの地方自治体が、投資の際に年金基金の現金を使用していたという。異なった財源から成る資金の混合は、「コミングリング(co-mingling。「混合」)」とも呼ばれており、1998年から規定により認められている。
しかし問題なのは、銀行預金の利息収益が、投資に比例した割合で地方政府年金基金に再分配されているのではないということである。そうではなく、いくつかの地方自治体では、一般基金の全体に対してその利息を支払っており、イングランド銀行の低い短期変動金利に従った利息しか、年金基金に対しては支払っていない。これは年金基金が、本来受け取るよりも少額の利息しか受けていないことを意味している。このような行為が許されるのか許されないのかは問題だが、政府はこの行為をやめさせるための規制の変更を検討中である。
*参照LGC 18.06.2009 front page
地方と中央政府の関係をより強固で明確なものに
2009年06月19日6月10日、コミュニティ・地方自治省のジョン・デナム新大臣が発表したことによると、彼はより強固でより明確な基盤に基づく地方と中央政府の関係を構築することを提案しており、そのための新しい法律の導入を考えているという。
2007年12月にサインされた中央・地方協定が、地方と中央政府の権利と義務を定めたにもかかわらず、これには関心が薄い。今回の発表は、新大臣がこれに関して再び議論を蒸し返す意図のあることを示唆している。
ディリー・メール紙が車輪付きごみ箱に対するキャンペーンを立ち上げる
2009年06月19日ディリー・メール紙は、「自分の家の前には置きたくない」と名付けたキャンペーンを立ち上げた。
これは、ごみ収集に対する無用の変更を強行しようとしている(とディリー・メールが考えている:訳注)地方自治体に対する異議申し立てである。
ディリー・メール紙は、地方自治体が車輪付きごみ箱を使用していることに注目し、納税者には車輪付きごみ箱、普通のごみ箱及び生分解性の袋からの選択肢が与えられるべきだと主張している。これに対し、地方自治体協議会の広報担当者は次のように述べている。「万能な答えはない。ロンドン市内で有効に機能するものであっても、地方都市のNorfolkでは必ずしも有効であるとは限らない。地方自治体は地域の住民を一番よく知っているので、彼らにとって最善のタイプのごみ箱を用いているだろう。」
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 18.06.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2013588)