バッキンガムシャー県が、地方自治体で初めて職員採用を全て民間企業へ外部委託した。
他の地方自治体も追随することになりそうだ。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 07.08.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2959306)
カテゴリー別アーカイブ: 欧州の地方自治情報
社会保障制度の総点検が求められている
2009年08月07日イギリスの政策研究シンクタンク「the Centre for Policy Studies」の報告によると、政府予算の4分の1は社会保障費として支出されている。
「the Centre for Policy Studies」は、社会保障制度の簡素化を求めている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 03.08.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2759381)
学校教育法の授業時間規定を廃止せよ
2009年08月01日 先頃、政府は、 諸点において学校教育における成果改善に寄与すると考えられる新しい学校教育法を提案した。
しかし、この提案には、現在稟議中の法改正案に当然含まれるべき重要な改正事項が欠けている。このようにSKL地方自治体および州議会連合は論説コラムに述べている。
新法の明白な欠陥は、国定授業時間基準が廃止されていないことである。私達は、各校のすべての生徒に、すべての科目についてまったく同一の授業時間を課する不合理を数年間に亘って指摘してきた。固定授業時間制の現実はまったく別で、例えば数学、スウェーデン語、体育などそれぞれの科目で、各生徒が定められた学校の目標を満たすために必要な時間はそれぞれ異なっている。適応性のある授業時間制を適用した広範な実験では、特に学習に追従困難であった生徒間で良好な結果を示している。
また、柔軟な学業の開始時期についても同一の問題を抱えている。 柔軟な就学時期についての改正は、人よりも早く、または人よりも遅く就学、あるいは進級する必要のある生徒にとって効果的である。
より柔軟性のある学校教育は、学習の困難な生徒、および学習の容易な生徒の双方に有益である。国が給食や水泳教育の様な詳細部分の管理を提案している一方、この様な大局的な問題を黙視することはどうにも理解できない。この様にスウェーデン地方自治体および州議会連合は述べている。
新学校教育法における素晴らしい提案事項の一つは、校長が個々の生徒のニーズを早期に把握する義務を負うことである。加えて、各生徒は、校長の決定する措置に対して抗議する権利を有する点である。この点は、生徒の法的安全性を強化でき、より多くの生徒が学校の定める学習目標に到達するよう寄与できるので評価できる提案である。
適正な学校教育法は必要であるが、すべての生徒が学習目標を達成できるよう発展させるだけでは不十分である。下記の幾つかの分野についても中心課題でなければばならない。
• 教師の資格・能力: 大部分の教師の資格・能力は良質であるが、社会の変化に対応した継続的な能力開発が必要である。一方では、教師の上級課程の補足教育および 資質・能力の向上、各学校の異なる必要性への配慮などに対する国家措置が必要である一方、専門科目の知識を深化すること、および系統的新人教師の養成が要求される。さらに、地方自治体は、教師の資質開発のための方策と教師間において相互に学習する気風の改善が必要である。
• 成果の優良な教師には充分な報酬を与えるべき:地方自治体への事業主機関としてSKLは、長期に亘り個別給与制問題を熟考してきた。教師の資格要件を基盤とした好結果は報償されるべきである。
• 教師の在校時間を延長:生徒の成績向上を図るには教師の在校時間を延長する必要がある。これは、授業時間、およびその他、生徒と共に学習活動する時間の双方であり、また、生徒が在校しない時間に同僚と共に自己の職務開発に宛てる時間である。
• 目標の明確化と定期的フォローアップ: 多くの場合、各地方自治体は、生徒が目標を継続的、確実に達成できるよう適切な手段を企画することが出来る。国による学校教育審査と頻繁な国家試験は、これらに加えて有功である。
• 学校教育に密着した研究:国は、学校教育の目標達成に関連した研究向け補助金を増加する必要がある。例えば、数学の成績向上のための方策、および他国から新たに移入してきた生徒への方策など具体策が必要である。この点についても、研究者、地方自治体、および各学校は有益な協調体制を確立できる。
スウェーデンの学校は多くの良い成果を挙げているが、一方では各種の問題を抱えている。前述した各種の対応策と相俟って、これらの各種問題に対して柔軟な解決策を容認する学校教育法は、より一層学校教育における成果向上を指向するための第一歩である。
【出典】
スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年9月1日発行)
http://www.skl.se/artikel.asp?C=1955&A=61768
ノッティンガム市で「職場の駐車場課税」
2009年07月31日ノッティンガム市は、10台分以上駐車スペースのある職員駐車場を所有している企業に年間250ポンドを支払う駐車場課税を導入する予定である。
その課税から得た資金は、地方の公共交通機関の改善のために使用する予定だ。英国初となるこの「職場の駐車場課税」は、2012年にノッティンガム市で施行される予定で、その後他の地方自治体でも採用されることになるだろう。ミルトン・キーンズ、エクセター、ケンブリッジそしてオックスフォードの地方自治体が、報告書のスキームに関心を示している。バーミンガム、マンチェスター、ブリストル、リーズ、リバプール、ニューカッスルそしてシェフィールドもまた、関心を寄せている。英国商業会議所(The British Chambers of Commerce)は、もし英国の全自治体がノッティンガム市の事例に従うならば、企業に年間34億ポンドの負担をかけることになるだろうと警告した。
住宅建設にさらなる政府の資金を投入
2009年07月31日ジョン・ヒーリー住宅担当大臣は、全国で停滞していた公営住宅建設のために9億2500万ポンドの政府資金を投入すると発表した。
政府の「キックスタート(促進)スキーム」では、(全国で2万2400戸を建設する目標を掲げているが)まずは引き伸ばされていた270戸の公営住宅が、資金を受けることになっている。また8千戸以上は、安価な住宅(市場価格で同種の住宅を購入、賃貸するよりは安い)として割り当てる予定であり、またこの建設計画では、最大2万人の雇用を創出できるものと期待されている。住宅開発会社には、5年以内にローンを返済すべき厳しい期限があり、また民間住宅開発会社よりも多くの住宅協会が、この(住宅コニュニティ局により調整されている)スキームから利益を得ることになるだろう。ショートリストに掲載されている計画の大部分は、ノースウエスト地区で建設を54件予定しているもので、一方ウエスト・ミッドランド地区同様イースト・ミッドランド地区においても32件、35件とそれぞれ建設計画に入っている。
*The MJ 30.07.2009 p.4
ハイストリートで空き店舗が急増
2009年07月31日ある報告書によると、大通りの空き店舗数が昨年は2倍以上になり、景気後退の悲惨な影響が反映されている。
大規模な町や市の10店舗に1店舗は空き店舗となっており、この数値は2008年の中ごろから比べて4%上昇している。閉店とは別に、新装開店する店舗数はこの18ヶ月で半分となった。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 31.07.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2742015)
保守党の新設道路通行料案
2009年07月31日保守党が発表した公費削減案では、新しく整備された道路では自動車運転者は通行料を支払うことになる。
この通行料は、公的負債が1兆ポンドを超えることが予想されるため、David Cameron氏が導入しなければならないと考えている新税制の一環である。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 27.07.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=2641204)
より強化される地方政府の評価の役割
2009年07月24日地方の民主制と地方自治体(地方議会)の役割を強化させたいとする中央政府による最近の発表には、評価の役割の拡張に関することも含まれている。
この提案では、地方自治体の直轄ではないが公共サービスを提供している機関のトップは、地方自治体の評価委員会に出席することができるようになる見込みだ。ここには、地域の警察や地域のHealth Trustsの代表、またバスや鉄道会社、公益事業会社が含まれる予定である。また地方自治体には、彼らが適切に機能できるよう、評価委員会に十分な資金を割り当てることが義務づけられる。今回の提案は、(直接公選首長や直接公選機関同様の権限を与えることになるかもしれない)都市圏*(City regions)や地域連携協定**(multi-area agreements)の民主的説明責任を増加させるというものでもある。しかしその協議事項についてはかなり曖昧である。ジョン・デナム大臣は、まだ構造はしっかり定まっていないが、準地域***(sub-regions)は今後益々重要になると強調した。ただ次期総選挙が来春と予想されているため、議会の時間的には非常にタイトな状況であり、このような法律を成立させるのは難しいだろう。
*一つまたはそれ以上の中心的な都市とその周辺エリアが一つの地域を形成しているものとみなし、経済開発、都市計画、雇用、交通等に関する権限を与えるという考え方
**経済開発の促進を目的に、2つもしくは複数の自治体が行政区画を超えて連携することを約束する協定
***準地域とは、広範囲にわたる地域(Region)を構成するより小規模の地域で、イングランドの場合、政府地域事務所の管轄エリアで分けられた9地域の一部を構成する。それぞれの準地域は、2つ以上の自治体で構成され、イングランド全土に存在する
*参照LGC 23.07.2009 front page
地方自治政策の発表:地方自治体の新しい権限に関する意見の公募
2009年07月24日7月21日、コミュニティ・地方自治省のジョン・デナム大臣は、地方での民主制をより強固なものにするための政府が提案した改革について、意見の公募を行うと発表した。
この改革によって、住民は自らが住む地域や自ら利用する公共サービスのあり方を決めるためにより大きな役割を果たせるようになる。地方議員もまた住民の代表としての務めを果たせるようにするため、より大きな権限が与えられる。地方議員に与えられる主な権限は以下のとおり。
・監査権限の強化
・現在は地方議員の監督権限が及んでいない公共サービス分野への監督権限の拡大
・公共住宅運営制度の抜本的な改正を通じての資金の柔軟な利用(この点については別途協議が行われる)、追加的なビジネスレイトの設定(この点は既に存在しており新規の権限ではない)
・16歳から19歳の若者への教育や職業訓練の方針策定に関与する権限(既に発表された政策)
・政府が設定した国全体での基準よりも厳しい二酸化炭素排出基準の設定
今回の意見公募手続きでは、これまで個別に発表された政策がまとめて検討されることとなる。
公共サービスの「苦悩の10年」
2009年07月24日イギリスの研究機関であるThe Institute for Fiscal Studiesは、次期選挙で誰が勝利しようと、公共支出が1977年以降最も厳しい状況となる「苦悩の10年」を迎えるだろうと警告している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 24.07.2009