カテゴリー別アーカイブ: 地方自治一般

「腐った自治体*」:政府が機能不全に陥ったドンカスター市の権限剥奪に乗り出す

2010年04月20日 

エドリントンの児童虐待被害者の保護に失敗したドンカスター市はその責を果たせていないとして、政府は市のすべての執行権限を取り上げるという前例のない対応を「積極的に検討している」とタイムズ紙が報じた。
監査委員会(the Audit Commission)の報告書によって、ドンカスター市の直接公選市長およびあまりにも多くの幹部議員や職員が適切な行政執行能力を欠いていたということが明らかになったことを受けて、コミュニティ・地方自治大臣ジョン・デナム氏は、昨日、ドンカスター市の失政に対処するための即時行動を確約した。
*「rotton borough」の元々の意味は「腐敗選挙区」で、有権者の激減により資格を失いながら代議士を出していた選挙区を指していた(出典:リーダーズプラス) 。ここでは、激しい政争のために児童福祉部門を始めとする行政機能が麻痺したドンカスター市を比喩したもの。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 20.4.2010


LGAがドンカスター市支援を試みる一方、政府による介入も同様に進行

2010年04月20日 

監査委員会(the Audit Commission)による、ドンカスター市は行政運営に失敗した自治体(failing council)であるとの極めて批判的な調査報告書の発表後、LGAは、市の管理運営問題に取り組ませるため、2人の上級幹部職員、ジョー・ミラー(副事務総長)とロブ・ホワイトマン(IDeAの歳入マネジメント部長)をドンカスター市職員として派遣した。
しかしながら、ジョン・デナム コミュニティ・地方自治大臣は、政府も同様に国家公務員を派遣していくつかの権限を市から取り上げることになるだろうと断言している。


小規模都市にも都市圏「都市圏のミニ版がスタート」

2010年02月25日 

小規模の都市圏がイングランド全域で可能となることが、コミュニティ・地方自治省が発表した、「機能・経済市場地域(FEMAs)」についての指針、いわゆる「経済行政指導(economic note)」の中で明らかにされた。
FEMAsは単一の自治体よりも広域の機能上同一あるいは同一市場のエリアである。この単位を元に、各自治体は協同することによって得られる利益について考慮するよう求められることとなる。最初に公式に承認された都市圏であるマンチェスターやリーズのような大規模都市圏とは異なり、これらのより小さな都市圏は、より柔軟性が高い。ここでの連携関係は、たとえば、複数の自治体が地理的に同一の地域で経済評価を実施したり、異なる地域で健康問題に取り組む目的で自治体が別のグループを作ったりするようになるなど、いろいろな課題に協同で取り組む様々な自治体が含まれるようになるといったことがありうる。
*参照 The MJ 25.02.2010 page 2


政府のユニタリーに関する決定が自治体に受け入れられず(「ユニタリー計画はホワイトホールの茶番劇になり下がる」)

2010年02月18日 

政府は以前エクセター市とノーウィッチ市についてユニタリーへの移行を望む旨を表明していた。一方で、両市を包含するデボン県とノーフォーク県については、両市の部分を除き、現状のまま二層制を維持する意向を伝えていた。両県は両市のユニタリー化に強く反対しており、政府を裁判所に訴える構えも見せている。
ユニタリー化に関する政府の最初の表明の後、コミュニティ・地方自治省の最高幹部がジョン・デナム大臣に対して、2007年に示された基準のいくつかを満たしていないため、エクセター市とノーウィッチ市をユニタリーとする決定については反対である旨の警告を行う書簡を送付していたことが明らかになった。
問題は、当該基準が示された2007年とは経済情勢が現在大きく異なっており、組織改変のためのコストが多くの人の心配の種になっていることである。また、両市を包含するデボン県とノーフォーク県は、両市を除けば大部分が田園地域となってしまい、そのような「残り物」のみからなる県がふさわしい姿と言えるのか、という点も大問題である。
2010年6月までには国政選挙が行われることと、保守党がこれ以上の構造改編を行うつもりはないと表明していることから、両市が近い将来にユニタリーとなるかどうかは現時点では不透明である。
*参照 The MJ 18.02.2010 front page


バーミンガム市で2000人の雇用削減

2010年02月11日 

英国最大の地方公共団体であるバーミンガム市では、最大2000人を解雇し、職員給与を凍結し、公共サービスを削減することを発表した。

これは全国の地方公共団体が予算を大幅に削減する前兆とみられる。Stephen Hughes市長は、地方公共団体が今直面している財政危機はサッチャー政権時代に経験したものよりもさらに深刻でさえあると述べた。また、地方自治体協議会の広報担当官は、すべての地方公共団体において2011年4月からは財政状況が極端に厳しい時代を迎え、その財政をいかに運営するかを模索することになるだろうと述べた。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 11.02.2010


リーズ都市圏が中央政府からより大きな権限を与えられる

2009年11月27日 

11月27日、中央政府とリーズ都市圏リーダー委員会は、雇用や職業技術、住宅、地域再生、交通に係る財政上の意思決定の権限を都市圏に与える協定を締結した。
リーズ都市圏パートナーシップは、都市圏の11の地方自治体(Barnsley, Bradford, Calderdale, Craven, Harrogate, Kirklees, Leeds, Selby, Wakefield, York and North Yorkshire)が集まって結成されたものである。リーズ都市圏は、10万社の企業と470億ポンドの経済力を含む、300万人を超える人口の経済圏であり、マンチェスターに続く2番目の都市圏(City Region)である。


「EUの定める支払命令」が、公共部門の財政に影響を及ぼす

2009年11月27日 

EUは、支払い期限までに支払われない各請求書の金額に対し、5%の課徴金を課すことを公共部門の機関に要求する「支払命令」を提案している。
この命令は、来年から導入される予定で、これによる公共部門の追加費用は、1億7000万ポンドから6億ポンドに及ぶと見積もられている。この他にも2つのEU命令が、地方自治体にさらなる負担を生みだしている。1つは、ゴミの埋め立てに対する支払命令で、地方自治体は、2009年夏に施行された法律により、廃棄物削減目標に到達しなかった場合に罰金が科されるもの。もう1つは、EU関係機関に勤務する職員に対する命令で、これは同じポジションに12週間勤めた臨時職員には正規職員と同様の雇用条件を与えるというものである。これら3つの提案はすべて、地方自治体にとっては大きな財政的負担を意味している。地方自治体は、ちょうど今厳しい財政的困難に直面しており、管理的経費の軽減に努めている最中であり、地方自治体協議会は、懸念を表明している。
*参照MJ 26.11.2009 Front page


公文書に関する新政策

2009年11月27日 

マイケル・ウィリーズ司法相は、公文書に関する新たな政策「21世紀の公文書」を発表した。
今後、主要機関である国立公文書館、博物館・図書館・公文書館機構及び他の関係機関は、この政策を踏まえた10年間の行動計画を策定する。この計画の目的は、サービスを改善し、より広い利用を提供できるようにすることにある。
 「21世紀の公文書」では、上記の公文書関係機関が将来に渡って持続可能となるような基盤整備を行うため、またデジタル社会における課題に対処するための5つの主要提案がなされている。具体的には以下のとおり。
①パートナーシップによってサービスを向上させること―公文書関係機関において持続可能性拡大へ向けた取組を行う
②リーダーシップの強化、専門的知識・技術をもった職員の養成
③現在及び将来におけるアクセスを可能とするため、デジタル情報の取り扱いに関する課題に対し一体となって取り組むこと
④目録による公文書の利用・検索やデジタルアーカイブの利用について、一元的なオンラインシステムを構築し、利便性を高めること
⑤人々の地域社会とのつながりを強化するため、文化面、学術面でのパートナーシップに積極的に参画すること


地方自治体への配分が32億ポンド増額

2009年11月27日 

イングランドの地方自治体に中央政府から来年支給される予算額は、32億ポンド(約4800億円)増の760億ポンド(約11兆4000億円)となる見込みである。
政府は2007年に発表された歳出計画の実行に専念しているとコミュニティ・地方自治省政務次官のBarbara Follett議員は述べた。地方自治体協議会のMargaret Eaton議長は、過剰な規制により最前線のサービスは予算を奪われている、と指摘している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 27.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=6124956)


クィーンズ・スピーチ

2009年11月20日 

政府は昨日のクイーンズ・スピーチ(女王による政府の施政方針演説)で、今季国会で法制化を目指す優先事項の概要を示した。
スピーチで示された法案には、貧困者への在宅介護の無償提供、教員に新たな教員免許の取得を要求すること、地方自治体に洪水の危機管理への責任を与えることなどが盛り込まれている。
           
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 19.11.2009(http://www.lga.gov.uk/lga/core/page.do?pageId=5925895)


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