カテゴリー別アーカイブ: 英国

深刻な児童虐待が過去最高を記録

2011年05月01日 

 NSPCC(※)のヘルプラインへの連絡を通じて警察や地方自治体の社会サービス部に持ち込まれた深刻な児童虐待の件数が、昨年度、過去最高を記録した。

 同団体の電話カウンセラーが2010年4月から2011年3月までの1年間で、前年比37%増の16,385件を警察や自治体に持ち込んだ。NSPCCの最近の別の調査によれば、英国の中等学校の生徒のうち5人に1人近くが児童期に虐待を受けていて、その大部分がネグレクト(養育放棄)を通じたものであることがわかっている。
 同団体は、児童虐待におけるより早期で効果的な介入に向かうよう、英国の児童保護政策の大きな変革を求めている。これは、児童が虐待を受けていることについて疑義がある場合に通報をするといった、地域住民の素早い行動を当てにしている。
 NSPCCのヘルプラインの責任者は「我々は、虐待を止めるために、できる限り早く子供の問題に気がつかなければならない。ソーシャルワーカーがいつもコミュニティにいることはできないが、地域住民こそが情報源になりうる。」と話した。
※NSPCC: National Society for the Prevention of Cruelty to Children
児童青少年の福利厚生を推進するため、調査研究や情報提供、政策形成への働きかけ等を行う慈善団体。

【出典】
・地方自治体協議会(Local Government Association)の「Daily News headlines」について 2011年4月21日
・NSPCCウェブサイト
http://www.nspcc.org.uk/news-and-views/media-centre/press-releases/2011/11-04-21-Serios-child-abuse-reports-to-NSPCC-Helpline-at-all-time-high/11-04-21-Serious-child-abuse-reports-to-NSPCC-Helpline-at-all-time-high_wdn82023.html


スウェーデンの公的個人認証サービスを再検討せよ

2011年03月01日 

電子個人認証の調査グループは、インターネット上で我々が身分証明するための公的個人認証サービスをどのように発展させて行くか、提案書を提出した。しかしこの提案は不十分で、議論から除外されるべきものであり、再調査が妥当である、とSKLのホーカン・スールマン事務総長はSvD(スウェーデンの日刊紙)の論考欄で発表している。以下はその論考の邦訳である。
インターネット上における身分証明の必要性は増加しているが、今日の手段は継続的に維持できるものではない。したがって今回のスウェーデンの電子個人認証に関する調査によって、全ての公的機関に有効で、また新しい電子サービスの開発にもより良い環境をもたらし、さらにコストも低減するような解決方法が提案されるものと、我々は信頼を持って期待していた。提案書が提出された今では、それはつまらない読み物に過ぎない。同提案書は一項ごとに疑問を感じるものであり、初めからやり直す以外に方法はないと考えざるを得ないほどのものである。
 ここでいう公的個人認証サービスとは、出生証明書に比べて、プラスチックカードなのかそれとも小さな箱なのかといったことではなく、我々一人一人の個別の電子セキュリティ番号のことである。レポートにおいて、電子個人認証(証明書)の開発は、誰もが考えるような税務局や警察ではなく、今後も継続的に民間の事業者により運営されるべきだと提案されている。
 証明書の発行を民間市場の事業者が請け負うべきでないということは、我々にとって基本原則である。民間事業者は、市民の身元といったデリケートな機密情報を取り扱うべきではない。したがって、銀行やその他の民間事業者がプラスチックカードや箱その他のものに置き換え、電子個人認証として利用できるよう、政府が証明書を発行するべきである。民間事業者の場合、証明書の発行を中止したり、また破産したり売却されたりする可能性もあるが、政府による証明であれば万全であり、継続的に維持することができる。これは我々が民間市場による解決策について常に否定しているということではない。むしろ逆であり、民間市場に開放された医療選択の自由や新しい公共交通機関法について我々は積極的である。しかし本件に関しては民間市場による解決策は適切ではない。
同提案での解決策は、例えば医療といった分野において課されている、個人情報に関する安全基準も満たしていない。調査グループの提案によれば、異なる事業ごとに並行したシステムを構築することが予想されるのだが、スウェーデンの公的個人認証サービスがそうなることを意味する。銀行で電子認証を使い、医師と連絡するのに別の電子認証、またネット上で税務申告に署名するのにさらに別の電子認証を用いることが必要になる。人々にとって大変不便なだけではなく、このことはリソースの巨大な浪費も意味するのである。
 この提案における別の問題点は、システムの財源となるビジネスモデルがすべて、公的個人認証サービスの需要像についての時代遅れな見方に基づいていることである。需要は多様であり、法的にこのモデルがLOV(選択の自由システム法)による選択オプションを許容することが出来るかは疑問である。このビジネスモデルは技術的にも複雑であり、公的個人認証システムを必要以上に割高にすることは明らかである。
 地方自治体や州議会は、市民との接点のうちの80%を占める。すなわち、自治体と州議会に適した解決策を見つけることを最優先にすべきである。すでに自治体や州議会は、公的個人認証システムに多額の投資を行っており、我々はそれが将来の解決策の基礎になると常に思ってきた。しかし今や今回の調査ではこれらの投資は考慮されず、無駄になることが明らかになった。我々が非常に批判的にならざるを得ない、社会的リソースの大きな損失である。
 最後に、今回の調査で提案された解決策は、技術的に非常に複雑なもので、地方自治体や州議会の諸活動に理解のないITコンサルトにより立案されたものである。同提案モデルは技術的、法的な両観点から複雑・不可解なものであり、それを理解し検討するためには、情報技術に関するトレーニングを要する。議論が行われないのは、それが理由なのだろうか?
 多くの人々が今回の提案に批判的である。事実、良好な解決策であると捉える人が仮にいるとしても、それはごく少数である。国家の認証による公的個人認証サービスシステムを、現在そして将来の諸活動の必要性に基づいて開発するよう、政府は再調査を早急に始めるべきだ。
【出典】スウェーデン地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions: SALAR)のニューズレター(2011年3月1日発行)
http://www.skl.se/press/debattartiklar/utred-svensk-e-legitimation-pa-nytt


地域コミュニティが行政機関所有地を再開発

2011年02月04日 

住宅大臣のグラント・シャップス氏が本日、一般住民に土地再開発の権利を与え、行政機関の所有する何百エーカーにも及ぶ広大な未利用の土地や建物を開発できるようにする計画について発表した。
このようなことは、現在の状況では情報の入手が困難なため、実行が難しかった。今回発表された新計画「土地再利用のためのコミュニティの権利」では、地域コミュニティーが行政機関所有の未利用地を新たに開発することで、地域の改善を支援することができるようになる。
http://www.communities.gov.uk/news/corporate/1833082


歳出削減で何百ものバス路線が存亡の危機に

2011年02月03日 

歳出削減により、3分の2以上の自治体が、バス路線に対する補助金を削減する予定であることが調査の結果明らかとなった。
チャリティ団体「よりよい公共交通のためのキャンペーン」では、国内のいくつかの地域では、バス路線そのものが消滅してしまうと警告している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 3.2.2011


リバプール市が「大きな社会(Big Society)」プロジェクトのモデル地域から離脱(リバプール市の大きな社会プロジェクトクトが離陸に失敗

2011年02月03日 

リバプール市が「大きな社会」プロジェクトのパイロット事業から離脱した。この理念の推進者として任命されたテレビ番組のプロデューサーは、この事業にはあまりにも多くの中央政府からのトップダウンの指示があったことや、同時に財政削減がこの課題を推し進めることを困難にしたことを語った。
市長は、市役所がプロジェクトの最初の段階からは関与させてもらえなかったことや、財政削減がボランティア団体にまで強い影響を及ぼしたことに不満を述べた。
参照:LGC 3.2.2011, page 1


エリック・ピクルス大臣が歳出削減を4年間均等にして欲しいという自治体の訴えを拒否

2011年02月01日 

コミュニティ・地方自治大臣のエリック・ピクルス氏は、予算カットを今後4年間にわたり均等に行って欲しいという自治体からの要望を断固拒否した。
これにより自治体は、過去最大の歳出削減を、今後12カ月の間に行わなければならないことになる。この政府による地方自治体財政計画の発表に対して、地方自治体協議会(LGA)のリチャード・ケンプ副議長は、「知っている限りで最も厳しい予算」だと表現した。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 1.2.2011


英国における2009年温室効果ガス排出量最終値

2011年02月01日 

英国の2009年の京都議定書に定められた6種の温室効果ガスの総排出量は、二酸化炭素換算で5億6,630万トンであった。

これは2008年の6億2,050万トンよりも8.7%低い数字である。2008年と2009年とでは、エネルギー供給部門が11.0%(2,420万トン)減少、ビジネス部門が11.8%(1,150万トン)減少、産業部門が36.5%(600万トン)減少、運輸部門が4.2%(540万トン)減少、住宅部門が5.8%(480万トン)減少とすべての分野で排出量が減少している。
二酸化炭素が主な温室効果ガスであり、2009年の英国の温室効果ガス総排出量の約84%を占めている。 2009年の英国における二酸化炭素排出量は、4億7,370万トンを見込んでおり、これは2008年の5億2,510万トンよりも約9.8%低い数字である。内訳は、エネルギー供給部門11.5%(2,410万トン)、ビジネス部門13.1%(1,150万トン)、運輸部門4.2%(520万トン)、住宅部門5.9%(470万トン)それぞれ排出量が減少している。

全体の排出量の削減は、主として、すべての部門におけるエネルギー消費が大きく減少したこと、及び石炭や天然ガスを用いた火力発電に代わり原子力発電が増加したことの二つの要因に起因している。また2009年は英国経済が不況であったことから、電気需要の減少及び事業所や家庭における化石燃料消費の減少を招いた。

【出典】
エネルギー・気候変動省のウェブサイト
http://www.decc.gov.uk/en/content/cms/news/stat_09_ghg/stat_09_ghg.aspx


歳出削減で250ものシュア・スタート児童センターが閉鎖見込みとチャリティ団体が発表

2011年01月28日 

子どもとその家族のためのチャリティー団体「4Children」が発表した新たな報告によると、地方自治体の財政削減の結果として、何百ものシュア・スタート児童センター(※)が閉鎖の危機に直面し、さらに何千ものセンターがそのサービスをカットする見込みである。
この調査では、250のセンターが閉鎖、2,000のセンターがサービスの縮小提案、そして3,000のセンターで予算縮小になるだろうと報告している。
※シュア・スタート児童センター(Sure Start centre)
各地域において、5歳以下の子どもとその家族を対象に、早期教育、保育、家庭支援、保健サービス及び就労支援等を統合したサービスと情報を提供する。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 28.1.2011


政府の成長政策の実現には時間が必要(クレッグ副首相が成長政策の実現には「時間的な問題」があることを認める

2011年01月27日 

地域経済を支援し、経済成長に拍車をかけることを目的として計画された政府の政策は、導入までしばらく時間を要し、現在の経済危機に対処する支援策としては遅すぎるものとなる可能性がある。
また、現在議論されている、ビジネスレイトの地方移譲と増加税収財源措置(Tax Increment Financing)についても、2013年4月以前に実施される可能性は低い。
*参照 LGC 27.1.2011, page 1


自治体の財務状況公開期限

2011年01月25日 

2011年1月25日、エリック・ピクルス コミュニティ・地方自治大臣は、地方自治体が500ポンド以上の公共支出についてインターネット上で公開しなければならない期限は1月末であると発表し、地方自治体に対してその実施を促した
。コミュニティ・地方自治省は、公表していない自治体に圧力をかけるため、自身のウェブサイト上で、どの自治体が既に公表しており、どの自治体が公表していないかの詳細を発表した。
参照:http://www.communities.gov.uk/news/corporate/1825217


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