独立系シンクタンクである経済ビジネス調査センターによると、英国の広範囲に及ぶ地域では、現在公共投資に大きく依存していることから、政府が最終的に歳出予算の削減を行うと、大きな打撃に直面することとなる。
同シンクタンクは、総選挙でたとえどの党が勝利しても、予算削減によって地域間で不均一な影響が及び、イングランド中西部、イングランド北部、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおいては、大きな影響があるだろうと予測している。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 26.4.2010
カテゴリー別アーカイブ: 英国
英国の風力発電基地にはよい風が吹いている
2010年04月23日欧州風力発電協会の調査によると、英国での風力発電所建設は、欧州の他のほとんどの地域に比べてはるかに容易であることがわかった。
英国はまた、計画に係る行政手続においても一番官僚的でない国のひとつだとのことだ。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について23.4.2010
主要政党の地方自治体に関連する政策(絶対多数政党のない議会状況下における地方所得税の影響力)
2010年04月22日自由民主党は、カウンシルタックスを廃止し、これに代わるものとして地方所得税を導入するという公約を長年にわたり掲げてきた。総選挙後下院で絶対多数政党のない状況となり、自由民主党が連立政権に加わる見通しが出てきたことから、この政策が今以前に増して詳しい検討の対象となっている。
現在の経済情勢を考慮すると、課税構造にこのような根本的な変更が早急に行われる可能性は低いが、長期的には地方財政改革に関する検討が行われることは確実である。自由民主党はまた、この政策を健康や教育の分野における交渉の手段として利用するのではないかとの観測もある。
また全ての政党は、程度の差はあるものの、中央政府による管理と監査を縮小することを約束している。労働党は業績指標数の更なる削減を、保守党は地方自治体が法律の範囲内で地域のために実施する活動を可能にする「一般的な権限の付与」を、また自由民主党は業績指標の全廃を提案している。
*参照MJ 22.4.2010, page 5
「腐った自治体*」:政府が機能不全に陥ったドンカスター市の権限剥奪に乗り出す
2010年04月20日エドリントンの児童虐待被害者の保護に失敗したドンカスター市はその責を果たせていないとして、政府は市のすべての執行権限を取り上げるという前例のない対応を「積極的に検討している」とタイムズ紙が報じた。
監査委員会(the Audit Commission)の報告書によって、ドンカスター市の直接公選市長およびあまりにも多くの幹部議員や職員が適切な行政執行能力を欠いていたということが明らかになったことを受けて、コミュニティ・地方自治大臣ジョン・デナム氏は、昨日、ドンカスター市の失政に対処するための即時行動を確約した。
*「rotton borough」の元々の意味は「腐敗選挙区」で、有権者の激減により資格を失いながら代議士を出していた選挙区を指していた(出典:リーダーズプラス) 。ここでは、激しい政争のために児童福祉部門を始めとする行政機能が麻痺したドンカスター市を比喩したもの。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 20.4.2010
LGAがドンカスター市支援を試みる一方、政府による介入も同様に進行
2010年04月20日監査委員会(the Audit Commission)による、ドンカスター市は行政運営に失敗した自治体(failing council)であるとの極めて批判的な調査報告書の発表後、LGAは、市の管理運営問題に取り組ませるため、2人の上級幹部職員、ジョー・ミラー(副事務総長)とロブ・ホワイトマン(IDeAの歳入マネジメント部長)をドンカスター市職員として派遣した。
しかしながら、ジョン・デナム コミュニティ・地方自治大臣は、政府も同様に国家公務員を派遣していくつかの権限を市から取り上げることになるだろうと断言している。
地方自治体に係る政策発表:都市問題対策基金の創設を発表
2010年03月02日2010年3月2日、サディク・カーン交通担当大臣が「都市問題対策基金(Urban Challenge Fund)」の創設を発表した。この基金は広い範囲の交通改善対策のパッケージに対して支援を行うものである。
基金から支援を受けられるのは都市に限定されており、様々な交通手段の選択肢の拡大、渋滞対策、安全性改善、二酸化炭素排出量削減、徒歩・自転車の活用促進と大気環境改善による健康増進等に関する計画に対して基金から補助金が拠出される。この「都市問題対策基金」は、通行料・通行税による歳入を交通インフラ整備のための補助金に充てる予定であった「交通改革基金(Transport Innovation Fund)」に代わるものである。通行料・通行税に関しては、エディンバラ及びマンチェスターでの提案に対して多くの反対意見があったため、導入が非常に困難であることが明らかとなっていた。このため政府は交通対策資金の配分ができなかったため、今回の新たな交通関連基金に切り替えたものである。
*参照 http://nds.coi.gov.uk/Content/detail.aspx?NewsAreaId=2&ReleaseID=411725&SubjectId=2
小規模都市にも都市圏「都市圏のミニ版がスタート」
2010年02月25日小規模の都市圏がイングランド全域で可能となることが、コミュニティ・地方自治省が発表した、「機能・経済市場地域(FEMAs)」についての指針、いわゆる「経済行政指導(economic note)」の中で明らかにされた。
FEMAsは単一の自治体よりも広域の機能上同一あるいは同一市場のエリアである。この単位を元に、各自治体は協同することによって得られる利益について考慮するよう求められることとなる。最初に公式に承認された都市圏であるマンチェスターやリーズのような大規模都市圏とは異なり、これらのより小さな都市圏は、より柔軟性が高い。ここでの連携関係は、たとえば、複数の自治体が地理的に同一の地域で経済評価を実施したり、異なる地域で健康問題に取り組む目的で自治体が別のグループを作ったりするようになるなど、いろいろな課題に協同で取り組む様々な自治体が含まれるようになるといったことがありうる。
*参照 The MJ 25.02.2010 page 2
政府のユニタリーに関する決定が自治体に受け入れられず(「ユニタリー計画はホワイトホールの茶番劇になり下がる」)
2010年02月18日政府は以前エクセター市とノーウィッチ市についてユニタリーへの移行を望む旨を表明していた。一方で、両市を包含するデボン県とノーフォーク県については、両市の部分を除き、現状のまま二層制を維持する意向を伝えていた。両県は両市のユニタリー化に強く反対しており、政府を裁判所に訴える構えも見せている。
ユニタリー化に関する政府の最初の表明の後、コミュニティ・地方自治省の最高幹部がジョン・デナム大臣に対して、2007年に示された基準のいくつかを満たしていないため、エクセター市とノーウィッチ市をユニタリーとする決定については反対である旨の警告を行う書簡を送付していたことが明らかになった。
問題は、当該基準が示された2007年とは経済情勢が現在大きく異なっており、組織改変のためのコストが多くの人の心配の種になっていることである。また、両市を包含するデボン県とノーフォーク県は、両市を除けば大部分が田園地域となってしまい、そのような「残り物」のみからなる県がふさわしい姿と言えるのか、という点も大問題である。
2010年6月までには国政選挙が行われることと、保守党がこれ以上の構造改編を行うつもりはないと表明していることから、両市が近い将来にユニタリーとなるかどうかは現時点では不透明である。
*参照 The MJ 18.02.2010 front page
地方自治体が人口統計に警告
2010年02月17日地方自治体は、東ヨーロッパ出身の人々は母国に戻るまでの短期間だけ英国に滞在しているに過ぎないという主張に対して異を唱え、人口統計では東ヨーロッパ移民の真の数が反映されていないと主張した
地方自治体協議会の広報担当官は「移民者は英国経済に貢献し、多額の利益を英国に毎年もたらしている。問題は生み出された利益が地域レベルに必ずしも十分に還元されていないことである。」と述べた。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について17.02.2010
介護費用について地方自治体が反発
2010年02月16日超党派の地方自治体協議会は、在宅介護法案が地方自治体に財源負担を求めていることについて懸念を表明した。
地方自治体協議会は、政府は無料介護の対象となる人数を過小評価しており、「これは新たな重荷となる。中央政府の財源で経費の全額が賄われるか、地方自治体の負担を取り除く必要がある」と述べている。
*参照 地方自治体協議会(Local Government Association)の「News headlines」について 16.02.2010
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