カテゴリー別アーカイブ: スウェーデン

移民を発展への潜在的可能性と見なそう

2010年03月02日 

(前略)
他国への移民を容易に、かつ、安全で人間的価値のある環境下で移民が行なえるようにすることは、全世界各国、つまり、富裕な国と貧しい国の双方にとっての責務である。SKL、スウェーデン地方自治体および州議会連合は、各国の参考となる移民の好事例を普及させ、経験を交換するための活動舞台を創り出す重要な役割を担っている。先週、SKLは、シンクタンク”グローバルな挑戦(Tankesmedjan “Global Utmaning” )”と共に、移民はすべての人々にとって有益な潜在的発展性であると見なした議論のスタートとなることを念願に、多くの参加者を迎えてコンファレンスを開催した。
注:Tankesmedjan “Global Utmaning” : 経済、環境、移民、政治問題の進展に関わる独立法人。
http://www.globalutmaning.se/default.aspx 参照。英文ページ有り。

(中略)
しかし、公的部門だけで、問題のすべてを解決することはできない。SKL関係機関自体も新しい移民者が職業や教育機会を可能な限り早急に得られるよう産業界との協調関係を改善する必要がある。私達は、SKLのコンファレンス、“移民社会における将来の自治体”が、移民問題が有する潜在的発展の可能性を実現させる活動のため、社会のあらゆる関係者と階層間で、継続的に互いの経験を交換し合える出発点になることを期待している。我々は、手を拱いて待っていてはいけない。

SKL副理事長 カローラ・グンナルソン、
“グローバルな挑戦”理事長 ヤン・オロフ・カールソン、
2010-02-25日、SKL新聞 “Dagens Samhälle”に発表された記事より抜粋
【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2010年3月2日発行分)


ストックホルム州の男女平等施策が表彰される

2010年02月09日 

 2月4日木曜日の夕べ、男女平等化促進に貢献したストックホルム州議会の職員戦略室に対して最初の報償金が与えられた。
 報奨金は、1万クローナで、SKLのホーカン・スールマン理事長およびオーサ・リンドESF(ヨーロッパ社会基金)会長から授与された。報奨金は、SKL、働く者の平等化を目指す協会“処遇の無差別 (Tema Likabehandling )”、ヨーテボリ大学、および発展と繁栄のための国家機関ヴィノヴァ(Vinova)と協同で構築した平等化推進プロジェクトである“equality.now — 平等化に関するすべて”の一部に対して与えられた。
 審査員は、平等化推進組織の監督者により構成され、授賞理由は下記のとおりである。
 職員戦略室は、疲れ知らずの推進役、ウルリカ・ヘレシュテッツを柱に、構造的手法で業務目的と労働者の立場の二つの観点から州議会(注:高度の医療を主務としている)内における男女不平等および性差による偏見を明白にする上での重要な役割を果たした。   
 職員戦略室は、州議会の管理者層向け男女平等に関する教育機関設立を通じて、参加者それぞれの職務における具体的な査定方法と対策手法を明らかにし、これによっての質的向上に導く数多くの発展活動を実現した。
 これら多くの事例は、今日、スウェーデン全国において、どのように職務を改善し、発展させることができるかについての創造性を得るための指標として活用されている。ストックホルム州議会は、職員戦略室の指導者指向の手法、および専門家としての資質を柱に、非平等性が順次明らかにされた際の対応措置に関して貴重な資産を有することとなった。 

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2010年2月9日発行分)


自活を望む生活補助を受ける若者達

2010年02月02日 

 現在、多数の地方自治体において、25歳未満の若者の世帯が労働市場に定着し、自活できるよう積極的な支援活動が行なわれている。
 この成果のカギは、各関連官公庁の連携活動の在り方にある。スウェーデン地方自治体および州議会連合(SKL)は、各自治体が相互に学び得るよう50種の支援策好事例を收集した。
 SKLのペルーアルネ・ アンデション部長は次のように語っている。「地方自治体レベルでの忍耐強い支援施策は、若者達自身の活力と生活補助依存体質からの脱却意欲を強化し、自活へと導こうとするものだ。 各地方自治体の行っている施策の中では、就職および学習についての指導に加えて、健康増進活動についての施策なども非常に効果的である。」
 SKLは、経済的援助の拡大状況を継続的にフォローアップしている。この大きな理由は、本年度の経済援助費の増加が大きく、今後もさらに増加すると見込まれていることにある。 中でも特に窮迫している階層は若年世帯である。
 私たちの編集した報告書は、16歳から24歳までの年齢層における労働市場への繋がりを強化することで、これにより若者を自活できる体質へと導くため、複数の官公庁による協調的対応策が現在の何倍も必要であることを示している、とペルーアルネ・ アンデションは語っている。

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2010年2月2日発行分)


イスラム教徒による暴力の「時限爆弾」への対処

2010年01月25日 

 Nyamko Sabuni統合・男女共同参画大臣は、ラジオ・スウェーデンに対して次のように述べた。
 スウェーデンは、暴力を肯定する若いイスラム教徒が過激派組織に背を向けるよう支援する必要がある。通常の生活へ戻ることを社会が支援するか、もしくは時限爆弾を社会に抱えるかどちらかだ。また、イスラム教過激派組織からの脱退支援を必要としている人のニーズを調査するよう、スウェーデン国立青少年対策委員会へ指示した。
 スウェーデンは以前、ネオナチ組織からの脱退を試みる人を支援した経験があるが、暴力的なイスラム過激主義に魅力を感じている若者に対し、同様のプログラムを構築する必要がある。社会から疎外感を感じている若者を主に勧誘する多数の組織を特定済みであり、また、多くの者がこれらの組織を脱退したいと考えているが、社会からの支援がないことも分かっている。
 Sabuni大臣は、スウェーデン地方自治体協議会に対し過激派への予防策に取り組むよう依頼し、また「あらゆる種類の予防策は地方レベルに置いて最も有効に機能するため、地方自治体は非常に重要である」と述べている。

【出典】The Localのウェブサイト
http://www.thelocal.se/24456/20100119/


スウェーデンの気候変動政策

2009年11月30日 

 スウェーデンは、二酸化炭素の排出を必要なレベルに削減することを目的とした国際的な取組に貢献するため、低炭素社会への移行を急いでいる。
 スウェーデンの気候変動戦略は国内手段とEU共通手段から構成されており、エネルギー、運輸、環境及び税政策の分野において1990年代初めから導入されている。主に炭素税の増税、投資助成金など、より目的を明確にした方策は2002年から導入されている。
 今年発表された新たな気候変動及びエネルギー政策では、スウェーデンの温室効果ガス排出量を、EU排出権取引による削減分を除き、2020年までに1990年比で40%削減する目標を掲げている。これは約2,000万トンの二酸化炭素排出量削減に相当し、主に運輸部門、住宅、廃棄物処理、農林水産業などが対象となっている。
 既にこの目標の20%は達成されており、残る80%は次の方法により削減される見込みである。

・税制の変更や経済手段の強化。炭素税等現在の制度は継続。
・自動車からの二酸化炭素排出規制等EU政策の実施。
・途上国へのグリーン投資や他の国々におけるイニシアチブを通した削減。
 三つのアクションプランの実行により、次の結果を見込んでいる。
・2020年にスウェーデンで消費されるエネルギーの半分を再生可能エネルギーとする。
・スウェーデンの温室効果ガス正味排出量を今世紀半ばまでにゼロとする。
・2020年に20%効率的なエネルギー消費を目指す。
・2020年に運輸部門における再生可能エネルギーの使用割合を10%とする。

【出典】
スウェーデン環境保護庁ウェブサイト
http://www.naturvardsverket.se/en/In-English/Menu/Climate-change/Climate-policy/Swedens-climate-policy/


医療の質と効率の評価

2009年11月24日 

州議会医療委員会における新しい保健および医療の質と効率の評価結果
 
 本年度の医療における品質と効率の評価が完了した。例えば、乳癌やその他の癌における生存率は改善されている。脳卒中の死亡率は減少傾向、広域スペクトル抗生剤の処方箋発行数は減少し、受診などの医療資源や患者が受けている施療についても満足度は増加している。
 これらが、2009年度の報告書、”ありのままの比較 ― 各地州議会医療委員会の比較2009”における保健および医療の質と効率の評価結果である。本年度報告は、社会保健福祉委員会および地方自治体および州議会連合(SKL)が発行する第4版目に当たる。 

― 報告書の中で多くの項目に改善結果を見られることは大変喜ばしいことです。このことが、”ありのままの比較”報告の本来の狙いです。報告書は、医療の実情についての対話を創造し、保健および医療の改善を促進します。本報告書は、州議会医療委員会の指導部にとっては保健医療行政の現況を追跡し、改善・開発を図るための基盤です。患者達が診断結果に応じて医療施設(病院など)を選択出来ることは、医療選択権の思想が導入されて以来の大きな課題です。このようにホーカン・スールマンは語っている。
 報告書の図表には124項目の結果について各地州議会医療委員会のランク付けがされている。さらに報告書は、各病院のレベルについての資料の詳細を記載している。総括的な結論として、各州議会医療委員会はその活動を改善しつつあると言える。しかしながら、各州議会医療委員会のそれぞれの部門、および各州議会医療委員会間で結果に依然として大きな差がある。― すなわち、施療と手術、受診や施療までの待機時間、医薬品の処方箋発行、および医療資源の活用度などである。

― 保健および医療の現状は、数多くの改善事項を残しているものの正しい方向へ向かっています。今後、医療の質的改善推進作業の支援について大きな要請が州議会医療委員会からSKLに寄せられています。私達は、各医療分野における良質な医療について国家レベルの方向付けを確立し、さらにより多くの比較分析と、フォローアップ内容を綿密にする中でこの要望に応えるつもりです。各医療分野における不均衡は低減しなければなりません。 このように社会保健福祉委員会理事長、ラーシュ・エリック・ホルム氏は語っている。

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年11月24日発行分)
注:スウェーデンでは、医療サービス提供の責任は、主としてランスティング(州)にあり、ランスティングがほぼ全ての医療サービスを提供している。


待ち望んでいた提案

2009年11月17日 

 職業紹介所および保険局と各自治体の生活援助部門、労働市場部門、および難民担当部門との密接な協調関係を築く試みに少なくとも15自治体が参画することとなった。
 この試みは、調査グループ“地域サービスの連携改善”から行われた提案によるものであるが、SKL、スウェーデン地方自治体および州議会連合は、この提案を賛意をもって迎えている。

― この提案を私達は待ち望んでいました。私達は長い間、地域レベルでのリハビリテーリング、労働および生活を担当する部門の関係者相互間における協調関係を強化することのメリットを主張してきました。と、SKL、スウェーデン地方自治体および州議会連合のアンデシュ・クナーペ理事長は語っている。
 SKLでは、“共通の入り口”と言う呼称の下に地域レベルでの組織統合化のモデルを独自に立案していた。すなわち、複数の組織から何らかの措置を受ける必要のある人々は、各組織間の間隙に埋没するリスクを負ってはならないとするものである。 例えば、ノルウエー、デンマーク、イギリスなど幾つかの国々においては類似の福祉組織が開発されている。
 第一段階として調査グループは、政府の専任チームに改善組織を創設する任務を付与し、少なくとも15地方自治体が参画して試験的に運営するよう提案している。この試行結果は、全国的規模で新組織を運営する際の基盤とし、最終目的は 長期的、かつ協調して活動し得る福祉組織を形成することである。

― この組織改善計画、“共通の入り口”は、各地方自治体から非常に高い支持を受けているため、2010年度中にも試験的運営を開始できるよう国会のすべての政党が合意することをSKLは期待しています。 

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年11月17日発行分)


教師の資格認定を厳格化

2009年10月12日 

 スウェーデン政府は学校で勤務する教師に対する資格認定を厳格にすることを計画している。
 Björklund教育大臣は来春、教員免許状の要件を厳格にする新しい政策を導入する予定である。

・資格のない教師は、スウェーデンの学校におけるフルタイムのポジションに着くことが不可能となる。
・この新政策の導入に伴う特別な教員教育は不要で、大学教育で十分である。
・資格のない教師を完全に教育現場から排除するものではない。

 また、11月15日から、スウェーデンの教師は80%の給与を支給されながら留学する機会を与えられ、経費は政府とコミューンが負担する。
 Björklund教育大臣はGothenburgでEUの大臣と会合し、教師の社会的地位を向上し若い学生を教員養成プログラムへ引き入れる方法について議論した。多くのEU諸国では、スウェーデンと同様に資格認定された教師の不足に直面しているが、来年更に多数の退職が見込まれている。
 Björklund教育大臣はヨーロッパ内における教師の交流機会を向上し、教師が他のヨーロッパ諸国で働き学ぶことを可能にするよう欧州委員会がイニシアチブを取ることを目指している。

【出典】The Local
http://www.thelocal.se/22256/20090924/#


労働市場における男女同権に向けた戦略

2009年09月23日 

 スウェーデン政府は労働市場及びビジネス部門における男女同権に向けた戦略を発表した。
 この戦略は、男女全てに対する機会均等を促進することを目的とした方策に関する分析と解説から構成されている。男女同権に関する特別戦略の政府予算からの2億3500万スウェーデンクローネ(約33億円)の拠出を含む60以上の方策が発表された。
 男女同権を目指す政策の目的は、社会及び自らの生活を形成する男女が同等の権利を有することである。男女同権の実現により、人の技能と創造力を活用することが可能であり、経済成長に貢献することができる。数十年間男女同権に向けた取組を行ってきたが、スウェーデンの労働市場とビジネス部門においては未だに男女同権は実現していない。例えば、給与水準、雇用機会、病気休暇等における不平等や、女性幹部の不足が挙げられる。
 これらの点を考慮し、政府は労働市場とビジネス部門における男女同権政策の指針となる長期的戦略が必要であると考えている。
 長期的戦略は、次の通り。

・労働市場とビジネス部門における男女間の役割分担への対応
 政府は、男女全てが性別役割分担に基づくステレオタイプに制限されることなく、教育や職業の選択を行うことが可能で、より効率的で男女平等な労働市場を創出するための取組を行う。この取組は、就学前から高等教育まで、教育システム全体に浸透させる必要がある。
・起業家に対する男女同権な条件の整備
 政府は男女全ての起業の可能性を生かし、イニシアチブを通して事業を起こし経営する機会を改善することを目的に取組を行う。また政府は、スウェーデンの発展を促進するために、国有企業、政府機関、民間企業において女性管理職の数を増加させることが重要であると考えている。
・職業生活における男女同権
 男女全てが、希望する範囲で有償労働を行えるよう均等な機会持つべきである。政府はこれを実現するため、家事労働に対する税控除のような方法により、有償労働と無償労働の配分を均等にすることを目指した取組を行う。
・職業生活における男女同権
 政府は、男女全てが職業生活において平等な立場を築くため、必要な条件を整えることを目指した取組を行う。イニシアチブは職業生活における差別、暴力、嫌がらせを根絶することを目的としている。

【出典】Government Office of Swedenのウェブサイト
http://www.regeringen.se/sb/d/4096/a/130290


ワクチン接種に10億クローナを追加予算

2009年08月25日 

 政府は、州議会に対して10億クローナの追加予算支出を決定した。追加予算は、集団ワクチン接種に振り向けられる。
 「政府が世界的感染症に対して参画し、責任を採ることは大歓迎。」、とSKLのアンデシュ・クナーペ会長は述べている。
 ワクチンの費用は、13億クローナに達するが、SKLでは、ほとんど同額の費用が注射、人件費、その他などに必要であると見込んでいる。
 「追加予算が総費用を賄えないとしても、ともかく、各州議会にとっては一安心である、これで通常の医療活動への影響を少なくすることが出来るだろう。」とアンデシュ・クナーペは語っている。
 また、クナーペ会長は、これで集団ワクチン接種の準備作業に新しい息を吹き込むだろう、と指摘して、
 「この接種作業を順調に達成するには、各企業や学校の健康管理部門の双方と協同して活働することが非常に重要だ。」と述べた。

【出典】スウェーデンの地方自治体協議会(Swedish Association of Local Authorities and Regions:SALAR)のニューズレター(2009年8月25日発行)
http://www.skl.se/artikel.asp?C=361&A=61686

<参考>
社会保健福祉委員会は、全州議会に対してポスター、パンフレット、文書、記事、Web本文など新型インフルエンザの予防接種に関する文書を送付した。SKLは、これを受け移民者向けに16言語に翻訳することを決定した。
【出典】SALARのウェブサイト http://www.skl.se/bunt.asp?C=7983


ページの先頭へ