2017 年2 月15 日に欧州委員会は、二酸化窒素(NO2)の大気汚染基準に対する違反が継続しているとして、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、イギリスに対し、最終警告を通知した。ドイツにおいては28 都市ゾーンの中でEU 大気質指令のNO2 の基準をはるかに超えているが、かなりの部分は道路交通部門に起因しているため、都市交通が対策対象となっている。
2017 年2 月15 日に欧州委員会は、二酸化窒素(NO2)の大気汚染基準に対する違反が継続しているとして、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、イギリスに対し、最終警告を通知した。ドイツにおいては28 都市ゾーンの中でEU 大気質指令のNO2 の基準をはるかに超えているが、かなりの部分は道路交通部門に起因しているため、都市交通が対策対象となっている。
2005年から、医療制度におけるICチップ付きIDカードの導入が進められてきた。
しかし、技術的な問題や個人情報保護の観点から、全国規模の制度の導入が難航している。
もともと、電子カルテのような制度として計画され、ICチップを含むIDカードには医療データが保存され、許可を得た医療サービスのスタッフだけがそれにアクセスでき、基本データと保険データの確認ができるという構造であった。また、処方箋の発行と薬局による薬の配分も制度に入る予定であった。
健康保険機関はすでに1995年から電子データを含むカードを導入し、被保険者の基本的な個人情報と保険情報が記録されていた。医療機関にかかる時に、保険の状況を確認するために利用されていたが、本人の医療データや治療についての情報は登録されていなかった。
2006年秋から、ドイツの7つの地方において、ICチップを含む保険IDカードの導入が試験的に行われた。カードの試験的な運営には、被保険者6万3千人、11の病院、190人の医者と115の薬局が参加した。このカードには、被保険者の了解で医療データが記録され、処方箋の電子データ発行と薬の配分が可能となっていた。しかしながら、多くの場合、制度の運営には問題が発生し、医者、薬剤師そして患者にとって使いにくいと報告されていた。従って、この制度の全国的な導入には時期尚早との判断になった。もともと2009年末までに全国のICチップを含む保険証明書、電子カルテ、そして電子処方箋制度として利用できるカードの導入が予定されていたが、実現できなかった。
現在では、試験的な運営が続けられているが、2010年に入ってから、電子カルテと電子処方箋制度の導入がまた延期されることとなった。
2009年12月18日に、州の代表から構成される連邦参議院は、「経済成長促進法」を可決した。
この法律は、さらに経済を活性化し、減税措置を通じて消費を促すことを目標にした景気対策である。
2010年1月から施行となる主な政策は、家庭を支援する措置として、子供手当の20ユーロ増額である。1人目と2人目に対しては、月額が164ユーロから184ユーロとなり、3人目は170から190ユーロに、そして4人目以上は195から215ユーロとなる。
企業に対しては税控除条件が緩和される。損失および利払いを税額から控除できるようになる。この政策は主に中小企業を対象としている。
また、相続税も変更された。兄弟姉妹や甥姪の立場に当たる相続人が課税対象となる場合、税率は相続遺産の規模により、現在の30%~50%の税率が15%~43%までに引き下げられることとなる。
そして、観光分野を活性化する措置として、ホテルに対する付加価値税の税率が19%から7%へ引き下げられる。この措置は、連立政権の与党であるキリスト教民主同盟(CDU)のバイエルン州のみに活動する連携政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が強く推進した政策である。
この様々な減税措置は、連邦政府だけでなく、州および地方自治体の税収にも響くため、反対意見も強かった。連邦参議院で可決させるため、メルケル首相は、州に対する特別財源措置の約束が必要となったが、その詳細は明らかになっていない。また、いくつかの地方自治体では、税収のギャップを少しでも埋めるために、すでに独自の新しい課税を考えている。例えばケルン市では「宿泊税」を検討しているという報道がある。
2009年9月27日に、連邦議会の選挙と同時にシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州のそれぞれの州議会議員選挙も行われた。
2009年には、16の地方選挙と欧州議会議員選挙を含む選挙が実施されたため、「スーパー選挙年」と呼ばれることもあった。そのうち6州で州議会議員選挙もあり、その結果生まれた連立政権を見ると、連邦レベルでの政治的傾向と異なるため興味深い。
最初の州議会議員選挙は、ヘッセン州で1月18日に行われた。ここでは、2008年秋に最後に州選挙があったが、その後連立政権成立が失敗し、選挙をやり直す結果となった。この結果、キリスト教民主同盟(CDU)がトップに出て、自由民主党(FDP)と緑の党も得票率を伸ばすことができたが、社会民主党は敗北し、今度はCDUとFDPの連立政権が無事成立した。
次に、8月30日には、欧州議会選挙と同時に、ザクセン州、テューリンゲン州とザールラント州において州議会議員選挙が行われた。ザクセン州では、CDUは少々票を落としたが、全体では最も強い政党としての座に残った。FDPも票を伸ばし、SPDの得票は減少した。結果として、前のCDU-SPDの「大連合」が崩壊し、ここでもCDUとFDPの連立政権が誕生した。テューリンゲン州では、単独で政権を取っていたCDUは過半数を失ったが、最強党としての座を維持した。左党とSPDは両方得票を伸ばし、緑の党とFDPは1990年以来となる議席を獲得した。SPDと左党の連立は計算上では可能であったが、SPDはCDUの州首相が率いる大連立を選択した。ザールラント州では、CDUとSPDは票を伸ばすことができず、FDP、緑の党及び左党が得票率を伸ばした。ザールラント州における連立形成のための交渉に時間がかかり、11月9日にCDU,FDPと緑の党からなる政権が誕生した。このような連立政権はドイツで初めてである。それは企業優先の政策をとるFDPと環境政策を第一にする緑の党が今まで共有する分野をあまり持っていないためである。
最後の州選挙が行われたシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州は、連立政権を決めるのにそれほど時間がかからなかった。シュレスウイヒ・ホルシュタイン州は他州と同様、大きな政党(SPDとCDU)は票を落としたが、小さい政党は票を伸ばした。結果的にCDUとFDPによる少数連立政権が誕生した。ブランデンブルク州は、以前CDUとSPDの大連立政権であったが、SPDがほぼ支持率を維持することができ、今度は左党との連立を選んだ。しかし、それについて
は批判も多かった。
州政権の構成は、地方を代表する連邦参議院の構成に直接反映される。
連邦参議院では、州及び地方自治体に影響を及ぼす法律を議論し、議決することとなっている。
シュレスウイヒ・ホルシュタイン州のCDU・FDP連立政権が最近成立したため、
連邦議会及び連邦参議院では同じくCDU・FDPが与党となっている。
2009年10月3日の「ドイツ統一記念日」を機に、東西ドイツ統一の20周年祝いが行われる。
それに間に合うよう、連邦政府は元東ドイツ地域の発展について経済指数や社会的状況を分析した報告書をまとめた。報告書は、毎年発表されるものであるが、今年の分は特に意味のあるものと考えられる。
経済発展を見ると、旧東ドイツ地域の発展は目覚しいものがある。2000年から2008年の間に、一人当たりのGDPは14.1%上昇した。旧西ドイツ地域における一人当たりのGDPは9.1%の上昇であった。
GDP全体を見れば、2000年では旧西ドイツ地域で67%であったが、2008年には71%まで上昇した。生産性は旧西ドイツ地域との比較で75%から79%まで上がり、輸出も50%から72%まで上昇した。企業や自営業の1000人当たりの設立率も西ドイツ地域とほぼ同様である。
しかしながら、一人当たりのGDPは西ドイツ地域の最も経済が弱い州であるシュレスウィヒ・ホルシュタイン州よりまだ低い。そのため、連邦政府は旧東ドイツ地域の一人当たりのGDPを旧西ドイツ地域の少なくとも最低レベルまで引き上げることを、これから10年間の目標としている。
特定の産業においては、旧東ドイツ地域の方が先行している。エネルギーや環境産業はその例である。これらの分野では、旧東ドイツ地域の上昇率は7%で、旧西ドイツ地域においては4.3%の上昇に留まっている。つまり、新開拓の分野においては、旧東ドイツには大きなチャンスがある。
新しい仕事が生まれ、過去3年間で約50万人が新たに就職できたにもかかわらず、失業は旧西ドイツ地域と比べてまだ2倍近くあり、失業対策は依前として最も重要である。
連邦政府の旧東ドイツ地域の担当相となっているウォルフガング・ティーフェンゼー氏は、法律上の統一は成功だったが、社会的な統一を実現するために、もっと努力する必要があると述べた。
【出典】
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/mauerfall/DE/BerichtStandDeutscheEinheit/bericht-zum-stand-der-deutschen-einheit.html
1949年5月23日に、西ドイツの憲法に当たる「基本法」が施行となった。
ワイマール時代とナチ時代の教訓を生かして、新しい民主主義の構造を設定し、「社会的市場経済」のモデルを活用することにより、前の世代が夢にも見なかったような繁栄を獲得した。ただし東ドイツは別の道を歩んだため、40年後の1989年にやっとドイツ統一の日が来た。したがって、2009年には選挙が多い年だけでなく、祝うべきことが多い年でもある。5月23日には首都ベルリンで連邦大統領の選出が行われたと同時に、「市民祭」が開催された。特別に集会される連邦会議により、現役の大統領ホルスト・ケーラーが新たな5年間の任期を務めるために再選された。「市民祭」の他に全国の多くの都市や地方では、基本法、または連邦共和国の歴史に関係のあるイベントが数多く開催される予定となっている。
また、ドイツ郡会議は、基本法に地方自治の保障が含まれていることが大いにドイツ連邦共和国の成功に貢献していることから、地方自治体にとっても、基本法の施行を祝う理由となっているとコメントしている。
【出典】
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/buergerfest/DE/Startseite/startseite.html
ドイツ連邦政府は、1月に500億ユーロの第二の経済促進政策を決定した。この中には、子供を対象にする特別給付金が含まれた。
この給付金は、子供一人当たりに100ユーロとなる。原則として、2009年に1ヶ月間以上の児童手当(Kindergeld)受給権を有する子供(0歳から18歳未満、学生の場合27歳未満まで)に対して、給付される。
昨年に消費のための給付金が議論された時には、その金額はもっと高かったが、最終的には子供一人当たり100ユーロとなった。しかし、子供が多い家庭ほど、給付額が上がるということでもある。
この政策を施行する法律は3月に有効となり、4月からは支給が開始された。支給は普通の児童手当と併せて自動的に行われるため、申請は必要ない。
受ける側の両親は、貯金するという人もいるが、世論調査によれば、多くの人は子供が直接利益を受けるものに使うと答えている。
【出典】
http://www.arbeitsagentur.de/nn_26252/zentraler-Content/A09-Kindergeld/A091-steuerrechtliche-Leistungen/Allgemein/Kinderbonus.html
http://www.zeit.de/online/2009/17/kinderbonus-umfrage
市民の社会における自発的な活動、すなわちボランティア活動が社会の結合に不可欠であり、社会的な粘着剤であることは広く認識されている。
記事本文はマンスリートピック2月分に掲載しております。
https://www.jlgc.org.uk/jp/information/index.html#monthly
1990 年半ばから、地方自治体の行政管理に対する要求は高まっている。まず、市民サービスの質、そして行政の効率化に対する期待が強まった上、政治的参加の多様化への期待も高まった。
記事本文はマンスリートピック2月分に掲載しております。
https://www.jlgc.org.uk/jp/information/index.html#monthly
2006年四月、ドイツ連邦政府は行政手続に伴う負担を軽減するプログラムを議決し、開始させた。
その目的は、連邦政府の規制で義務付けられている情報提供のために、企業、市民、そして行政自体に現在かかっている負担を軽減することであり、連邦レベルだけでなく、州及び地方自治体も含まれている。
情報提供のために現在かかっている負担とは、たとえば情報の提出、申請書等の記入、関連資料の収集や保存などである。目標は、2011年までに情報提供による負担をすべて把握し、25%カットを実現することである。このため、欧州で広く使われているオランダ政府が開発した「標準コストモデル」を利用することになっている。プログラムを発足させたと同時に、独立した機関として、「国立規制監理委員会Nationaler Normenkontrollrat」を設立した。この委員会は、目標を達成するために助言を行うほかに、新しい規制がもとらす負担を最低限に抑えるために行動する。
最初の軽減対象は企業に対する情報提供負担である。2006年末までの間、すべての連邦官庁は、企業に情報提供を義務付けられているEUまたは連邦規制による情報提供は1万900件が存在すると明らかにしてきた。そのうちの2100件の情報提供だけで、約270億ユーロの費用がかかった。負担の内容と分量が明らかになったため、次のステップはいくつかの段階に分けて負担を軽減することである。2009年末まで企業に対する情報提供の負担を4分の1に軽減する予定である。
他の事業もこれから始まっている。市民や行政に対する負担の削減が目的になっているため、地方自治体は市民にサービスを提供する重要な主体のひとつとして最初からこの問題への対応に参加していた。
2009年2月に初めて連邦、州および地方自治体すべてが関係するモデル事業が発足している。その内容は、住居手当(低所得者に対する手当て)と両親手当て(子供が生まれた後に子育てのために仕事が休めるよう、減った収入分を補填する手当て。両親のうち一人に支給される。)の申請と支給に関する負担の調査である。現在、年間では住居手当に対する申請は100万件(初申請、再申請、変更申請を含む)、両親手当ては75万件である。
モデル事業では、法に基づく申請から決定通知までその過程すべてにおける、市民に対する情報提供の負担、そして行政に対する情報提供の負担等を調査することとなっている。また、他のサービス(たとえば、両親手当ての場合、児童手当の申請とその支給)との重複や関連には配慮することも重視される。
地方自治体を代表する自治体3団体(ドイツ都市会議、ドイツ郡会議及びドイツ市町村連盟)はこのモデル事業へ参画し、地方自治体にとっては、行政手続による負担を軽減することは、市民のためだけでなく、行政内部の簡素化のためにも重要であると強調している。
【出典】
REGIERUNGonline, ‘Bürokratieabbau
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/DE/Buerokratieabbau/buerokratieabbau.html
Pressemitteilung der Bundesregierung 11. 2.;19.2.2008
http://www.bundesregierung.de/nn_1494/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-11-nkr-pilotprojekt.html
http://www.bundesregierung.de/nn_1272/Content/DE/Pressemitteilungen/BPA/2009/02/2009-02-19-buerokratieabbau-bund-kommunen-vereinbaren-zusammenarbeit.html