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カテゴリー別アーカイブ: EUの地方自治情報メモ

ウェールズ自治政府、構造基金の無駄遣い指摘される

2010年05月20日 

 西ウェールズ・ビジネスイニシアチブ(WWBI)がウェールズ自治政府を公然と批判している。「収れん(Convergence)プログラム」向けのEU資金の事実上全てが、公的機関が運営するプロジェクトに充てられ、その大半が富の創出ではなく管理費として使われているとの主張だ。
 収れん(Convergence)プログラムは、EU構造基金の目的の一つとして、地域間格差の是正を目指すもの。同基金は住民1人当たりGDPが、EU平均の75%を下回る地域を対象とし、経済発展の促進に振り向けられる。
 だがWWBIは、資金がウェールズの経済レベル底上げに寄与しておらず、統計的にも英国の他地域や欧州他国との格差は縮まるどころか開く一方だと指摘。例えば、ウェールズでは2009年、国内の他地域と比べ雇用が著しく悪化した。WWBIは現在、収れんプログラムの下で承認された各スキームの効果について、独立調査を実施するよう求めている。

【出典】ユーロジャパンセンター


スコットランド、EU資金で雇用・訓練促進

2010年05月20日 

 スコットランド自治政府は5月初め、「欧州社会基金(ESF)」から3,000万ポンド超の資金を獲得した。労働者の訓練、技能開発、雇用維持・促進に充てる。
 エディンバラ、ダンディー、インバークライド、ウエストロジアン、ウエストダンバートンシャーなどの地域で、計73のプロジェクトを援助。その一環として、3万人以上に労働・訓練の機会を与え、特に学習障害者や身体障害者、独り立ちする若者など、雇用市場で不利な立場にある人々の支援に力を入れる。
 スコットランドは4月末にも、「欧州地域開発基金(ERDF)」を通じて約270万ポンドを確保したばかり。こちらはアンガスの新たなビジネスパークや訓練施設に投じられる。

【出典】ユーロジャパンセンター
– “Cash for job creation”, The Scottish Government, 20 April 2010
http://www.scotland.gov.uk/News/Releases/2010/04/20120958
“£30 million to improve skills”, The Scottish Government, 10 May 2010
http://www.scotland.gov.uk/News/Releases/2010/05/10114059


欧州議会、構造基金の簡素化案を承認

2010年05月01日 

 欧州議会地域開発委員会(REGI)は3月18日、欧州委員会が2009年7月に提案した構造基金の簡素化をようやく承認した。この案は経済・金融危機の影響を和らげるのが目的で、早ければ今夏にも新たな規則として最終的に採択される。
 提案中、技術的な簡素化に関連する方策を除いて一番目立つのは、経済危機の影響が最も深刻な地域向けに、2010年に前金の形で追加的に拠出される資金である。これに伴い、これらの国は欧州社会基金(ESF)を通じて2%、EU地域基金を通じて4%の前金を2010年中に受け取ることができる。結果的に、職業訓練、若者の見習、公共事業、雇用と成長の促進に向けた他のプロジェクトが、より迅速に実施されることになりそうだ。加盟国はまた、受け取った資金を使うための時間的猶予が与えられる見込み。2007年に資金の使用をコミットしたプロジェクトが遅れていても、受領資格を失うことはない。

【出典】ユーロジャパンセンター


欧州委員会、構造基金の使用状況を初めて評価

2010年05月01日 

 欧州委員会は3月31日、EU加盟各国による構造・結束基金の使用状況をまとめた報告書を発表した。合意済みの結束政策目標について、同委員会が各国の達成度を評価するのはこれが初めて。
 2007〜2013年分のうち、既に27%以上(930億ユーロ)が現地での約18カ月の申請期間を経て、具体的なプロジェクトに割り当てられた。これは2000〜2006年向けのプログラムが終了する中、経済危機・回復の観点から見ると肯定的な結果である。
 ただ27カ国の間で成績の差が激しいことも分かった。ベルギー、アイルランド、オランダなどEU予算の純支払い国が上位に付けたのに対し、ギリシャ、ルーマニア、スロバキア、ポーランド、ブルガリアは最も進展が遅れていた。
 研究・開発(R&D)、イノベーション、生涯学習・労働市場活性化政策、リスボン戦略で定義された成長と雇用のための政策上の優先課題といった重要分野では、全般的に進展が良好だった。しかし欧州委は、鉄道セクター、主要なエネルギー・環境投資、デジタル経済、社会的包摂(Social inclusion: 失業者、外国人、低所得者、ホームレス等社会から排除された人々を取り込む政策)支援の分野でプロジェクトの実施を加速するには、まだすべきことが沢山あると述べている。

【出典】
“New Commission report presents first assessment of roll-out of European cohesion policy”, European Commission Press Release, 31 March 2010
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/10/396&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en


結束政策、欧州2020戦略の中心に

2010年05月01日 

 欧州委員会は3月3日、今後10年のEU圏の経済戦略を包括する「欧州2020戦略」を発表した。各加盟国や地域の「賢く、持続可能で、包摂的な成長」という最優先目標を達成するための主要な実行メカニズムとして、結束政策の役割が強調されている。戦略上、結束政策はより明確な優先順位付けと、欧州2020戦略との綿密な連携を図る必要がある。
 欧州委によるいくつかの提案においては、経済的、社会的、領域的な結束が、欧州2020戦略の中心に据えられている。『新たな技能と雇用のためのアジェンダ』イニシアチブは、EU全域における労働移動性の促進・推進のほか、構造基金(特に欧州社会基金(ESF))からの適切な資金援助を伴う、より需要に即した労働供給を提案。『イノベーション連合』イニシアチブはイノベーション支援に向け、構造基金、地方開発基金、研究・開発(R&D)枠組みプログラムの役割強化を目指す。また『欧州のためのデジタルアジェンダ』イニシアチブは、このアジェンダを追求するために構造基金へのアクセスを簡素化することを提案している。

【出典】
– “Cohesion policy: at the heart of Europe 2020”, EU Commission press release, 3 March 2010
– “Europe 2020: Commission proposes new economic strategy in Europe”, EU Commission press release, 3 March 2010
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/10/225&format=HTML


EU、結束政策の運輸・環境への影響を評価

2010年05月01日 

 欧州委員会は、結束政策の運輸・環境セクターへの影響について一連の事後評価を行い、4月にその結果を発表した。
 2000年から2006年にかけて総額340億ユーロが運輸セクターに投じられ、総延長2,000キロの高速道路や4,000キロの鉄道が敷設された。これはそれぞれ、EU内で開発された全高速道路の24%、全高速鉄道の13%に相当する。しかし欧州委は欧州地域開発基金(ERDF)が重視すべき分野として、公共交通機関、インターモーダル(共同一貫輸送)、国境間の連結を提案。都市交通への投資額を増やせば、渋滞緩和や炭素その他の排出削減につながるとしている。
 2000〜2006年にはまた、413億ユーロが環境関連の介入措置に投じられた。主な分野は、環境インフラと復興である。2,000万人超の市民が廃水プロジェクトの恩恵を受け、さらに1,400 万人に水道がつながった。

【出典】
“New evaluation studies show impact of EU cohesion policy investment in transport and environment”, EU Commission press release, 8 April 2010
http://ec.europa.eu/regional_policy/sources/docgener/evaluation/rado2_en.htm


EU地域、造船業界の支援を要請

2010年05月01日 

 2010年4月8日、6,000万人以上の市民を代表する30余りの欧州地域が、経済危機で大きな痛手を被った造船業界の緊急支援プログラムを作成するよう求める請願書を、欧州委員会等EU機関に提出した。これら造船所では、2009年末時点で約20%の職が失われており、2010年に入って状況は悪化している。
 問題の33地域にとり、欧州造船業界の将来は経済発展のための最優先事項となっている。今回の提案は一時的な需給ギャップを埋め、企業に対する主な枠組み条件を改善するのが目的。請願者は船舶買い替えプログラムを導入すれば、地域投資と産業活動を促進し、インフラを改善し、船からの危険な排ガスを大幅に削減し、結果として健全な環境作りにも貢献すると主張している。EU機関はそうしたプログラムの実現の可能性について、まだ正式に方針を表明していない。

【出典】
ユーロジャパンセンター


ドナウ戦略、追加支援実現せず

2010年03月19日 

 2月25~26日にブダペストで開催された「欧州のドナウ地域戦略」会議で、EUの2007〜2013年中期予算において、同地域向けに追加的な資金が割り当てられないことが確認された。
 14カ国を対象とするドナウ地域戦略は、環境持続可能性、経済的繁栄、地理的なアクセスのしやすさと魅力のほか、地域の安全性向上を重点分野とする。同地域はEU結束政策に基づき、対象国同士の協力やEU基金の恩恵を引き続き受けられるが、現行のEU政策でますます一般化している直接支援については、当期予算から新たなマクロ地域協力への助成金を別途拠出することが不可能になったため、実現しない。
 しかしながら、ドナウ地域は将来的により多くの資金にアクセスできる可能性がある。次期予算(2014~020年)においては、いかなる加盟国も、同戦略のようなマクロ地域戦略への予算割り当て拡大を提案できるようになる可能性があるためだ。

【出典】
– Declaration of the Danube Summit on 25th February 2010 in Budapest
http://www.mfa.gov.hu/kum/en/bal/actualities/spokesman_statements/20100225_duna_csucs.htm
Council of European Municipalities and Regions
http://www.ccre.org/news_detail_en.htm?ID=1791
Strategy for Danube Region
http://ec.europa.eu/regional_policy/cooperation/danube/events_en.htm


ヨークシャー・ハンバー地方に新たな助成金

2010年03月19日 

 ヨークシャー・ハンバー地方で3月、9,000万ポンドの新たなベンチャーキャピタル・貸付基金が設立された。ロージー・ウィンタートン・ヨークシャー・ハンバー地域担当閣外相が明らかにしたもので、本貸付基金と将来的な助成金へのアクセスを確実にするため、300万ポンドの支援プログラムも併せて導入されている。
 この基金は「ファイナンス・ヨークシャー」と呼ばれ、ヨークシャー開発公社(ヨークシャー・フォワード)の「単一プログラム(Single Programme)」、欧州連合(EU)の「欧州地域開発基金(ERDF)」、欧州投資銀行(EIB)の中小企業支援イニシアティブ「JEREMIE」がそれぞれ1,500万ポンド、3,000万ポンド、4,500万ポンドを拠出。大きな成長や地域経済への貢献が見込める企業に対し、シードコーン(研究助成)、融資、出資の形での投資を行う。援助額は1社当たり1万5,000〜200万ポンドで、4月から利用可能。不景気で正念場を迎えている地域にとり、新たな基金は非常に重要な存在になるとみられている。

【出典】
ユーロジャパンセンター


EIBの助成スキームに見直し求める声

2010年03月19日 

 欧州投資銀行(EIB)を通じた助成スキームへの批判が強まっている。最近公表されたEIBの年次報告書の内容を踏まえたもので、欧州手工業・中小企業連合(UEAPME)はかねて、経済危機の打撃が大きい中小企業(特に小規模企業)にとっては、スキームが大規模で複雑過ぎると指摘。来る見直しに合わせて再設計すべきとしている。
 景気低迷を背景とする資金不足の折、欧州議員もEU新規加盟国における共同支援枠組みの成功を念頭に、地域開発プロジェクトを支援するための革新的なツールを新たに導入するよう要求している。EIBのフィリップ・マイシュタット総裁はこうした声を受け、新たな地域支援ツールは、次期財政規則に盛り込まれるだろうと発言。EUの現行の中小企業支援策に沿った形で、決定を下すという。

【出典】
ユーロジャパンセンター


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