国連経済社会局(UNDESA)が2020年7月に発表した、国連加盟193カ国を対象とした「世界電子政府ランキング」によると、デンマークが1位、フィンランドが4位、スウェーデンが6位と、北欧諸国が上位に名を連ねている。
今回のレポートでは、北欧諸国における最近のデジタル化の取り組み事例について、いくつか紹介する。
(1)デンマークにおける遠隔医療の推進
デンマークは遠隔医療の分野で、かねてより先進的に取り組んできている。2003年に稼働した国民健康保険のプラットフォームである、e-ヘルス・ポータル(Sundhed.dk)では、心理学者、理学療法士、カイロプラクター、足専門医、歯科などのオンライン診療を受けることができるようになっている。そこでは、デンマーク人全員の個人情報と一般的な健康管理データが含まれており、24時間365日、自分の医療記録、処方箋の更新、検査結果、臓器提供者の登録などにオンラインでアクセスすることができる。
2021年には、オンライン診療を拡大し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と心不全に苦しむ患者に、全国規模の遠隔医療が提供される。
(2)フィンランドにおけるAIを活用した求職マッチング
フィンランドの経済・雇用省は、2021年6月、行政サービスの向上と雇用促進を目的とした雇用サービス(求職システム)の改革案を発表した。
この新しいプラットフォームにおいて、求職者と仕事のマッチングを改善する新しいオンラインサービスが計画されており、AIを活用した機能により、求職者が自身のプロフィールを作成・公開すると、求職者と雇用主がより早く、より良くお互いのマッチングができるようになるとしている。
この改革案は、2022年の予算案に含まれており、予算と並行して審議される、その関連法は2022年5月2日に施行される予定。
<Job Market test version>
(3)スウェーデンの自治体におけるAIの利活用
スウェーデンにおいて、年間予算が逼迫する中で、より広範な行政業務でコスト削減を実現するために、AIを含むデジタルソリューションを活用する自治体が増えている。
スウェーデンの16の自治体は、ルンド大学(UoL)が主導する研究プロジェクトを利用して、基本的な行政サービスの提供における人工知能(AI)の活用のためのテストを実施した。
UoLの研究の予備的な結果によると、ソフトウェアロボットは、幅広い基本的な管理業務を行う上で、人間よりも優れていることが確認され、AIロボットは同じ仕事をする人間の作業員の2倍の効率で作業ができると結論づけられている。
出典
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08340/
https://publicadministration.un.org/Portals/1/E-Government%20Survey%202020%20Press%20Releases.pdf
https://investindk.com/set-up-a-business/life-sciences/ehealth
https://valtioneuvosto.fi/en/-/1410877/reform-of-digital-te-services-to-improve-customer-services-and-promote-employment-draft-proposal-out-for-comments
https://www.computerweekly.com/news/252480145/Swedish-municipalities-test-AI-to-drive-efficiencies-and-cost-savings
(2021年7月 所長補佐 西川)