毎年3月15日は「世界消費者権利デー」です。
世界消費者権利デーは、米国のケネディ大統領が消費者の4つの権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)を提唱したことに由来しており、1983年に国際消費者機構により提唱されました。以降、毎年この日には、消費者の権利やニーズに関する認識を高めるためのイベントやキャンペーンなどが世界各地で行われており、今年は40周年という節目の年を迎えました。
国際消費者機構は、毎年世界共通の消費者関連テーマを設定したうえで、そのテーマに沿った啓発活動を展開しています。今年の世界消費者権利デーのテーマは「クリーンエネルギーへの移行(Empowering Consumers through Clean Energy Transitions)」が選定されました。その背景について、「国際的なエネルギー情勢が大きく変動する中、エネルギーを利用するうえで不利な状況に置かれている消費者が大きな影響を受けている」、「信頼性の高い持続可能なクリーンエネルギーを手頃な価格で利用できるようになれば、壊滅的な気候変動を回避する上で重要な役割を果たすようになる」ことを挙げています。
また国際消費者機構では、今年の世界消費者権利デーのイベントとして、3月13日から17日の5日間にかけてオンラインカンファレンスを開催し、「クリーンエネルギーへの移行」について考えるきっかけを全世界に向けて発信しました。カンファレンスでは、世界中の政府関係者や企業、消費者保護団体、エネルギー専門家などが集まり、議論が交わされました。
カンファレンスの様子
(国際消費者機構より引用、
https://www.consumersinternational.org/news-resources/news/releases/world-consumer-rights-day-unites-a-powerful-coalition-for-just-energy-transitions/)
そのうち、世界消費者権利デー当日の3月15日に開催されたカンファレンス「Our consumer vision for clean and affordable energy」では、エネルギー転換を図っていくために「Security」「Sustainability」「Affordability」の3次元のバランスを総合的に考える必要性を指摘しました。
エネルギー情勢が大きく変化している中、私たちはいまエネルギーの「Security」「Sustainability」「Affordability」のトリレンマに直面しています(特に「Affordability」は、単なる「手頃な価格」という意味で捉えるのではなく、「エネルギー使用により消費者が得ることのできる価値」、すなわち「消費者がそのエネルギー使用に対する支払いを継続したいと考えるかどうか」という意味で捉える必要があります)。このような状況の中、エネルギー会社は脱炭素化だけに焦点を当てるのではなく、「お客様にサービスを提供する」というそもそもの存在意義に立ち返り、消費者が考える「Security」「Sustainability」「Affordability」とは何なのか、消費者を中心に据えたうえで総合的に議論を進めていく必要がある、という見解が示されました。
また、この解決策の1つとして、消費者がエネルギー会社を自由に選択できるオープンな市場を作っていくことが有効であることが示されました。
所長補佐 西田隆章
(参考)
World Consumer Rights Day
(Consumers International(国際消費者機構)ホームページ)
https://www.consumersinternational.org/what-we-do/world-consumer-rights-day/
「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって (令和5年3月14日)
(消費者庁ホームページ)
https://www.caa.go.jp/about_us/minister/kono2_message_004/
世界消費者権利デー(3月15日)
(PR TIMES MAGAZINEホームページ)
https://prtimes.jp/magazine/today/world-consumer-rights-day/