ロンドンの近現代美術館「テート・モダン」でオノ・ヨーコ展が開催されました。
ある日の館内のこと――閉館時間直前にもかかわらず、片手にビールを持ったまま次々と入ってくる多くの若者たち。「なぜ閉館間際にこんなに人が?」と不思議に思うでしょう。ふとエントランスを見ると、「テート・モダン・レイツ」という表示が掲げられていて――実は、この日は「ナイトミュージアムイベント」の開催日だったのです。
「テート・モダン・レイツ」は、毎月最終金曜日に行われる特別イベントで、通常は夕方6時に閉館するところ、夜10時まで開館時間が延長されます。イベント中は、常設展示に加えて、特定のテーマに沿ったワークショップや音楽イベント、さらにはフードやカクテルも楽しむことができます。
筆者が訪れた日は、ナイジェリア系イギリス人のシンガーソングライターによるキュレーションが行われており、彼女の文化やアイデンティティが随所に反映されていました。会場は若者や仕事帰りの社会人、さらには家族連れでにぎわい、活気に満ちていました。
日本でも一部の美術館が金曜日や土曜日に開館時間を延長する取り組みをしていますが、ロンドンのように音楽やフード、ワークショップと組み合わせたイベントはまだ一般的ではありません。ナイトタイムエコノミー先進都市とされるロンドンの事例から、日本の自治体も新たな文化施設の活用方法を学ぶことができるのではないでしょうか。地域活性化や観光誘致の新たな手段として「ナイトミュージアムイベント」の実施を検討する価値があるかもしれません。
ロンドン事務所 所長補佐 藤本
<参考文献・引用文献>
・ Tate Modern Webサイト
https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-modern/tate-modern-lates