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CLAIRメールマガジン vol.329(2023年10月13日)=イングランドの市議会が事実上の財政破綻を宣言

2023年10月13日 

 人口約114万人を擁するイングランド第二の都市、バーミンガム市議会が事実上の財政破綻を宣言しました。バーミンガム市議会は、財源不足に陥った原因として、男性職員より不当に低い賃金で働いていた女性職員に対する、男女同一賃金となるよう過去に遡った賃金の支払いや、事業税収の減少、インフレーションの影響などを挙げています。
 バーミンガム市議会は、困窮者支援やごみ収集などの必要不可欠な公共サービスを除き、すべての支出を直ちに停止すると発表しました。市側は健全な財政基盤を取り戻すため必要な措置だとしていますが、市民の間では公共サービスへの影響について不安が広がっています。現時点で2023~2024会計年度に8,700万ポンド(約160億円)の赤字を見込んでいるバーミンガム市では、市の公園や道路のほか、図書館や文化事業などに影響が出る可能性があります。
 イギリス国内では他にも2000年にロンドン東部のハックニー区議会、2018年にイングランド中部のノーサンプトンシャー群議会、2022年にエセックス州サーロック市議会が事実上の財政破綻に陥るなど事例が相次いでおり、危機的な財政状況に直面する自治体が増えています。また、海外では2009年にギリシャが経済危機を迎えたり、直近では中国の自治体が事実上財政破綻したりするなどの例があります。
 世界的な物価上昇局面が続く中、イギリスの自治体の財政改革に注目が集まります。

          ロンドン事務所 所長補佐 藤本

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