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CLAIRメールマガジン vol.316(2023年3月10日)=「イングランド各地のバス運賃に上限価格を設定」

2023年03月10日 

ロンドンのアイコン的存在である二階建てバス。今ではすっかり見慣れてしまいましたが、赴任後初めて乗車した時の感動は今でも鮮明に覚えています。ロンドン市内には溢れんばかりに走っていて、いつも車内は混雑しており、市民や観光客の重要な移動手段であることがわかります。しかしながら、乗客数は新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の水準までは回復していないのが現状です。地方においてもその状況は深刻で、地方のバス路線は現在危機的状況にあるといわれています。燃料費や人件費の高騰により、英国のバスの運賃は年々増加しています。英国政府は地方におけるバスの利用促進と利用者の家計支援を図るため、イングランド各地(ロンドン等既に運賃上限価格を導入している地域を除く)のバス会社に対して6,000万ポンド(約96億円)の資金援助を行い、バス運賃の上限価格の設定を試みました。ロンドン郊外のバスの片道運賃は平均2.8ポンド(約450円)、へき地では5ポンド(約800円)を超えるエリアもありますが、この支援により130以上のバス会社において運賃の上限が2ポンド(約320円)に制限されます。一方でこのキャンペーンは2023年1月から3月末までの期間限定の支援であり、バス業界は政府に対して継続的な支援を要求しています。バス会社を代表する旅客輸送連盟によると、支援が4月以降に継続されない場合には、イングランド全土で最大15%の路線が廃止される可能性があるとのことです。日本においても地方のバス路線の維持は喫緊の課題とされています。英国政府の今後の対応とその行方が注目されます。

ロンドン事務所 所長補佐 中込

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