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CLAIRメールマガジン vol.312(2023年1月13日)=「英国における車両速度規制強化の動き」

2023年01月13日 

ロンドンの路上で人が死亡または重傷を負った衝突事故の少なくとも37%は、スピード超過が要因とされています。このため、ロンドン交通局ではロンドン全域で道路の速度規制強化を進めています。この取り組みは、2041年までに道路上での死者や重傷者をゼロにするという、ロンドン市長のビジョン・ゼロ政策の一環によるもので、2024年までにロンドン交通局が管理するロンドン域内の道路網137マイル(約220km)で時速20マイル(時速約32km)の制限速度を達成するという公約を掲げています。この理由として、(1)車両の走行速度が速いほど、ドライバーが反応したり、停止したり、回避したりするための時間が短くなるため、衝突が起こりやすくなること、(2)人が時速30マイル(時速約48km)ではねられた場合、時速20マイルではねられた場合よりも死亡する可能性が5倍高くなること、(3)環境への影響が少なくなる(時速20マイルゾーンでは時速30マイルゾーンよりも加速や減速が少なく、よりスムーズに車が移動するため、タイヤやブレーキの摩耗による粒子状物質の排出を減少させる)ことを挙げています。

この取り組みにより、2020年の3月には既に、セントラルロンドンのコンジェスチョンチャージゾーン(渋滞緩和を目的とし、特定の時間帯に車で乗り入れる際に課金されるロンドン中心部の特定エリア)内のすべてのレッドルート(路肩での駐停車を禁止している道路)の制限速度が時速30マイルから時速20マイルに引き下げられており、これに続いて2022年3月31日に5つの区の道路で制限速度が時速30マイルから時速20マイルに引き下げられました。今後はさらに2つの区でも、時速20マイル制限道路が導入される予定です。ロンドン交通局では、これらの方法による速度規制強化の効果を継続的にモニターし、さらなる設計変更が必要かどうかを判断することとしています。

この速度規制強化は、ドライバーにストレスを与えるかもしれませんが、車との衝突事故や死亡者が減ることを期待したいと思います。詳細については、こちらのレポートをご覧ください。(https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/carspeedlimit/)ロンドン事務所 所長補佐 西田

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