「ゲーミフィケーション」とは、課題解決や顧客・ユーザーの獲得などを目的に、ゲームで使用されている技術や手法を活用するアプローチ法です。例えば、ゲームをクリアしていくことでスコアが上がる「ポイント制」やユーザーを特定行動に方向付ける「レベルアップ」、ユーザー同士の「競争」、ゲームを持続させる「モチベーション」を高める仕組みなどの手法が活用されます。行政においても、このアプローチ法がより多くの地域住民に対し、地域課題への認識を広め、行動を促すきっかけとなることが期待されています。ここでは、ドイツの自治体における「ゲーミフィケーション」の活用事例を紹介します。
ドイツ・オルデンブルク市では、市民の自動車の使用頻度を減らして、サイクリングの活用を促進するため、アプリを活用した取組を実施しています。同市が民間企業と共同で開発したアプリは、ユーザーがサイクリングを行った際に、速度や走行距離とあわせて、カロリー消費量や自動車利用時と比較したCO2削減量を表示する機能を持ちます。これにより、ユーザーに対して自身の行動が健康やCO2削減に与える影響の大きさを認識してもらい、市民のサイクリング頻度を高めるための動機付けを行うことを狙いとしています。 同市は、市民がこのアプリを利用し、一定期間内に定められた目標キロ数の達成を目指すイベントも開催しています。目標キロ数を達成すると、景品が当たるくじ引きへの参加権の取得や、1キロ走行するごとに、地元の提携店にて、割引クーポンへ交換することができる仮想通貨の貯金もできます。また、他のユーザーと走行距離を競い合うことのできるランキング機能や、アプリ内で他のユーザーとコミュニケーションをとることのできる機能も備わっており、サイクリングを継続してもらうためのモチベーションを高める仕組みも組み込まれています。 ゲームのワクワク感やドキドキ感を活用した「ゲーミフィケーション」は、日本の地域や自治体においても、課題解決のための有効なアプローチの一つになり得るのではないかと考えます。 ※欧州におけるその他の事例は、こちら(https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/gamification/)からご覧ください。ロンドン事務所 所長補佐 中村