英国において、政府レベル、自治体レベルそれぞれで、システムの共通化の取り組みが活発化しており、その内容についてご紹介します。
(1)政府レベルの取り組みについて
英国政府は、内閣府内のデジタル化推進組織である「ガバメント・デジタル・サービス」の下、電子政府の推進を図っています。その具体的な成果として、2012 年に運用を開始した英国政府の Web サイト「GOV.UK」があり、省庁ごとに作成・管理されたそれまでの Web サイトに代わり、政府として統一された共通プラットフォームとして運用されています。
また、英国政府は、その共通プラットフォームの「GOV.UK Pay(電子決済サービス)」「GOV.UK Notify(通知・管理サービス)」といった一部機能について、自治体をはじめとした公的機関に提供しており、多数の自治体がそれらの機能を無料又は安価に利用しています。
(2)自治体レベルの取り組みについて
自治体レベルのシステム共通化のプロジェクトの1つが、2019年頃にロンドンのクロイドン区と、イングランド南部のブライトン・アンド・ホーヴ市によって構築された「LocalGovDrupal」というパブリッシングプラットフォーム(コンテンツ管理システム)です。そもそもこのシステムは、政府の共通プラットフォームである「GOV.UK」から着想を得て、そのアプローチを自治体レベルで適用した、”自治体のための、自治体によって作成された”オープンソースのコンテンツ管理システムです。
「LocalGovDrupal」は、2020年に政府からの資金提供を受けて、より一層の機能強化を行っており、また、導入コストが安価であること(自治体向けには無償提供)、開発期間が通常のシステム導入よりも大幅に短縮できることなど、自治体にとって様々なメリットがあります。そのため、公開されてから数年しか経過していないにも関わらず、このシステムを導入した自治体は、2022年2月現在で、24団体にまで拡大しています。
さらに詳しい内容はこちらをご覧ください。
(https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/system-standardization/)
ロンドン事務所 所長補佐 西川